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【MLB 2022】Dバックスのザック・ギャレン、スコアレス・イニングを”41.1″に伸ばす!(追記:44.1でストップ)

ザック・ギャレン、出れば勝利という状態

 今季のナ・リーグ西地区と言えば、やはりドジャースとパドレスが目立ってしまい、ドジャースの牙城をなんとか崩そうと執念を見せ、大補強も実施したパドレスでしたが、今のところ、大きな差をつけられております。ただ、パドレスもポストシーズン進出は堅いところにおります。

 そんな中、実はヒタヒタと地味に勝利を積み上げているのが、アリゾナ・ダイヤモンドバックス。現地2022年9月4日終了時点で64勝69敗とまだ借金がある状態で、正直、ポストシーズン進出が狙える位置にいるわけではありませんが、同じく借金を抱える3位のジャイアンツが64勝68敗で、もう背中を掴んでいる状態です。

 そのダイヤモンドバックス(以下Dバックス)の勝利の積み上げに大きく貢献しているのが、右腕のザック・ギャレン(Zac Gallen)です。ザック・ギャレンは7月後半以降は、出れば勝つような状態のピッチングを披露し続けています。細かく見て行きます。

ザック・ギャレン、スコアレスイニングを41.1に伸ばす

 そのザック・ギャレンが現地2022年9月4日にチェイス・フィールドで行われたブルワーズ戦に登板。7イニング、103球を投げ、被安打2、スコアレス、BB1、SO7で勝利投手となり、今季11勝目(11勝2敗、ERA 2.42)をマーク。そして、スコアレス・イニングを41.1イニングに伸ばしました。

危ないシーンもチームメイトがバックアップ

 このゲームではザック・ギャレン自身も「記録は終わった」と思ったシーンがありました。それが2回表というゲームの序盤にあったのです。

 ギャレンは先頭のケストン・ヒウラを四球で歩かせたものの、ルイス・ウリアス、オマール・ナルバエスを打ち取り2アウトを奪っていました。

 そしてタイロン・テイラーを迎えたその初球。カット・ボールが真ん中高めに入る失投で、これを右中間深くへ運ばれます。「もう、ヒウラが還って1点」と思った瞬間、RFのドールトン・バーショ(Daulton Varsho)が打球に対し、素晴らしいチャージを見せ、フェンス際で好捕。走路の選択も良かったので、最後は少し余裕があるほどのキャッチでした。

 大きな記録が生まれる背景には必ず、このような素晴らしいプレーがあります。バーショのキャッチはギャレンを救いました。

ザック・ギャレンのスコアレス・イニング・ストリーク

 ザック・ギャレンのスコアレス・ストリークは現地2022年8月8日のパイレーツ戦からスタート。そこから現地2022年9月4日のブルワーズ戦まで6試合連続でスコアレス投球を継続。記録はまだ継続中です。

DateVSGm結果イニング勝/敗IPHRERBBSO
Aug 8PITW,3-0GS-7W(7-2)7.030028
Aug 13COLW,6-0GS-7W(8-2)7.020016
Aug 18SFGW,5-0GS-8W(9-2)7.1400012
Aug 24KCRL,3-5GS-66.030036
Aug 30PHIW,12-3GS-7W(10-2)7.020017
Sep 4MILW,5-1GS-7W(11-2)7.020017
ザック・ギャレンのスコアレス・ストリーク

 なお、この一覧の前の8月2日のガーディアンズ戦でもザック・ギャレンは勝利投手になっているのですが、そのゲームでは5.2イニングを投げて3失点。その3失点目は降板した6回裏に奪われた1点だったので、スコアレス・イニングのスタートは上記の8月8日のパイレーツ戦からになります。

無失点イニングのカウント方法

 なお、記録を認定する機関でもあるエリアス・スポーツ・ビューロー(the Elias Sports Bureau)は、スコアレス・イニング・ストリークの計上を1998年に再定義。投手が失点したイニングのアウトはカウントしないことになりました。つまり、そのイニングの失点がER(自責点)であるか否かを問わず、とにかく失点すれば、そのイニングのアウトはカウントに入れずということになっています。

 細かいですが、ザック・ギャレンの記録に1/3がついています。これは8月18日のジャイアンツ戦でザック・ギャレンは8回1アウトで降板したものの、そのイニングは結果、ジャイアンツは無得点だったので、ギャレンが投げた1アウト分はむしろ計上されているということです。

6試合連続先発の無失点はメジャー・タイ

 なお、ザック・ギャレンはこの日で先発6試合連続無失点となりましたが、これはメジャー・タイ記録です。

スコアレスIPのメジャー最長はハーシュハイザー

 なお、スコアレス・イニングのメジャー記録はご覧のようになっています。

  1. オーレル・ハーシュハイザー(LAD): 59 IP (1988)
  2. ドン・ドライスデール(Don Drysdale/LAD) : 58 IP (1968)
  3. ボブ・ギブソン(STL): 47 IP (1968)
  4. ザック・グレイキ(LAD) : 45.2 IP (2015)
  5. カール・ハッベル( Carl Hubbell/SFG) : 45.1 IP (1933)
  6. サル・マグリー(Sal Maglie/SFG) : 45 IP (1950)
  7. ザック・ギャレン(ARI): 44.1 IP (2022)  
  8. ブランドン・ウェブ(ARI) : 42 IP (2007)
  9. クレイトン・カーショウ(LAD) : 41 IP (2014)
    テッド・ライオンズ(Ted Lyons/CWS) : 41 IP (1926)
    ルイス・ティアント(Luis Tiant/CLE) : 41 IP (1968)

Live Ball EraとDead Ball Era

 なお、上記の記録はLive Ball Eraでの区分です。Live Ball Era(ライブ・ボール・エラ)とは、1920年以降のこと。反対にPre1920の時代をDead Ball Eraと言います。

 この違いは、ボールが見やすくなったきっかけが1920年で、実際、それ以降は打撃力が上昇しているおり、野球の質が変わったことから境を設けております。

 どうして1920年にルールが変わったのかというと、1920年シーズンにクリーブランドのレイ・チャップマンという選手が、ヤンキース戦でデッドボールを受け死亡したことがきっかけでそうなりました。

 夕刻のかなり薄暗い中で、サブマリン投手の投げたボールが見えにくかったがゆえに起こったということで、以降はきれいなボールを使用することが義務付けられております。

 なお、Dead Ball Eraの記録を含めたリストは下記です。それでもハーシュハイザーの1位は変わりません。水色の文字がDead Ball Eraの選手で、サイ・ヤングも入っています。

  1. オーレル・ハーシュハイザー(LAD): 59 IP (1988)
  2. ドン・ドライスデール(Don Drysdale/LAD) : 58 IP (1968)
  3. ウォルター・ジョンソン(セネターズ): 55.2 (1913)
  4. ジャック・クームス(Jack Coombs/アスレチックス): 53IP (1910)
  5. ボブ・ギブソン(STL): 47 IP (1968)
  6. ザック・グレイキ(LAD) : 45.2 IP (2015)
  7. カール・ハッベル( Carl Hubbell/SFG) : 45.1 IP (1933)
  8. サイ・ヤング(BOS) : 45 IP (1904)
    ドク・ホワイト(Doc White): 45 IP (1904)

    サル・マグリー(Sal Maglie/SFG) : 45 IP (1950)

 ザック・ギャレン、あとアウト2つでDバックスOBのブランドン・ウェブと並びます。また、ザック・ギャレンは2022年8月のNL ピッチャー・オブ・ザ・マンスに選ばれました。

追記:44.1でストップ

 ザック・ギャレンは現地2022年9月11日のロッキーズ戦に登板。1回から3回まではパーフェクト。

 しかし、4回表、先頭からシングルを3連打され、ついに失点。打ったのはC.J.クロンでした。

 これにより、ザック・ギャレンのスコアレス・イニング・ストリークは44.1イニングで終わりました。これでLive Ball Eraでは7位にランクインしております。

 お読みいただき、ありがとうございました。

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