アストロズ、またも疑惑をかけられる
現地2019年10月16日に予定されていたアストロズ@ヤンキースのALCS Game4はひどい天候のため順延。その間隙をぬって、場外でのバトルが明らかになっています。
疑惑内容
Yankees players and coaches became angry with the Astros during Game 1 of the ALCS when they noticed a whistling sound in the Astros’ dugout
— which they believed was an over-the-line example of sign stealing, and a violation of the game’s unwritten rules.
ESPNより
「ヤンキースの選手とコーチは、ALCSのGame1の最中にアストロズのダグアウトから口笛が聞こえてくるのに気づいて激怒した。サイン盗みの度が過ぎている。一線を超えている」と。
口笛で球種を示唆
実はALCS Game1はヤンキースが7−0で勝利していたのです。
ところが、田中投手が投げている時にベンチから口笛を吹いて球種を知らせていたというのです。結果から見れば、アストロズがその行為をやっていたとしても全く機能していなかったということに尽きるのですが、これは守っている方としてはかなり気になりますし、嫌な行為ですね。
結論:とくに不正はやっていない
非常に重大な局面ゆえにMLBも結論を早くも出しています。曰く、「特に不正は見当たらない」と。
ヒンチ監督は盗み疑惑を否定
アストロズのA.J.ヒンチ監督はこの疑惑については”kind of funny”と笑って否定。そんなことはしないと。そんな馬鹿げたことはしないよというくらいの勢いでした。
ここで話題になったサイン盗み疑惑について触れておきたいと思います。
過去のサイン盗み疑惑
近年のサイン盗み疑惑の大きなものはこの3つ。
1. 2018 ALDS Game 3 (アストロズ)
アストロズはインディアンス側のカメラマン席にスパイを送り、ベンチを撮影して怪しかったため、2度もカメラ席から退場させられていました。このゲームでアストロズがインディアンスをスイープ。ALCSへ進みました。
インディアンスはこの行為をMLBに告発しています。
https://www.mlb4journal.com/2018-ds-hou-lad-advanced-to-lcs/
2. 2018 ALCS Game1 (アストロズ)
これはインディアンスの時と同じやり口です。レッドソックス側のカメラマン席にスパイを送り、レッドソックス・ベンチを撮影し、レポートしていたという報道がありました。工夫はないのか!?と皆さん、突っ込んだと思います。
3. アップルウォッチ使用 2017年 (レッドソックス)
実はレッドソックスもベンチからの球種指示にアップルウォッチを使っていたとヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMからMLBに訴えられたことがありました。
超えてはいけないラインとは?
野球はサイン盗みが不可欠です。むしろそれによってゲームが面白くなったりします。ただし、超えていいかどうかの一線はどこにあるのでしょうか?
【1】テクノロジーを使ったサイン盗みの線引き
スマホなどのテクノロジーや電子デバイスを使った盗み行為は不文律というより、一部では明文化されています。
- The only live feed of a broadcast will be the one provided to each team’s designated replay official.
(生でリアルタイムのブロードキャストでそれぞれが見られるのはリプレイ・オフィシャルに提供される素材のみである)
2. A specially trained monitor, not a Resident Security Expect, will be assigned to each designated replay official to make sure that person has no communication with team personnel regarding signs, either in person, by phone or any other device.
(リプレイ担当者には特別に訓練された人が割り当てられる。これは警備用ではない。彼らは電話またはその他のデバイスでサインに関するチームスタッフとの連絡がないことを確認されます。)
3. All other bullpen and clubhouse television monitors will receive game broadcasts on an eight-second delay.
(他のすべてのブルペンおよびクラブハウスにあるテレビモニターは、8秒の遅延でゲームブロードキャストを受信。)※リアルタイムではないということです。
4. No television monitors are permitted in the tunnels or auxiliary rooms between the dugout and the clubhouse
(ダッグアウトとクラブハウスの間の通路またはそれに関連する部屋にテレビモニターを設置することは不可)※これは生放送の素材ということかと思います。
5. Each club must provide to MLB an audit of every in-house camera, detailing its purpose, its wiring and where its signal can be viewed.
(各クラブは社内のすべてのカメラの配置目的、配線、および信号を表示できる場所を監査し、それをMLBに提供しなければならない)
【2】リアルタイムに教えるのは不文律に触れる
相手チームを怒らせる行為は明らかにリアルタイムでの行為。たった今打席に立っている打者にベンチから今このときの球種なりを伝える行為。今回の口笛もそうですし、デバイスを使った示唆もそうです。やはりこれをやると逆鱗に触れますね。
【3】事前対策による共有はOK
これは不文律ですが、事前に研究に研究を重ね、試合前のミーティングやイニング間にそれを共有した上で打席に向かわせるのはOK。直近ではALDSの対タイラー・グラスノーの対策が記憶に新しいです。
ダルビッシュ投手もやられた
その点に関してはアストロズはベンチ内に名人がいるようです。過去にアストロズに対策をされてしまった投手の一例です。他にも多数いそうです。
- タイラー・グラスノー:2019 ALDS Game 5 >>記事
- クレイグ・キンブレル: 2018 ALCS 癖を見抜かれていました。
- ダルビッシュ有: 2017 World Series スライダーのときの右手
サイン盗みの報道が出るタイミングにも注意したい
相手への動揺を誘う要素などもありますので、悪質ゆえに出てしまったのか、それともリークすることでメリットを受ける誰かがいるのかはよく見て行きたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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