ウリアスの95mphがアゴに直撃
現地2020年3月8日、カクタス・リーグのドジャース@レンジャーズ戦で非常に痛々しいトラブルが発生しました。
1回裏、レンジャーズの攻撃は2アウトランナー無しでバッターボックスには3番LFでスタメン出場のウィリー・カルフーン(Willie Calhoun )。ドジャースのマウンドはフリオ・ウリアス(Julio Urías)。
ウリアスはリードオフのチェ・シンスにシングルヒットで出塁を許すも、続く2番のエルビス・アンドラスを1-4-3のダブルプレーで仕留め、2アウトランナー無しに。これから落ち着いて立て直すぞというその初球。
衝撃的なHBP(Hit By Pitch)を投じてしまいました。
ウィリー・カルフーン、避ける暇なし
左打席のウィリー・カルフーンに投げた初球は力のあるファストボール。これが完全に抜けてしまい、ウィリー・カルフーンは避ける暇もないほどのコースに。一瞬、脳震とうでも起こしたかのような倒れ方に現場はパニックに。
鈍い音ととともにアゴを抑えて動けなくなるウィリー・カルフーン。
すぐさま次打者のジョーイ・ギャロが駆け寄りますが、なす術なくうずくまるカルフーン。
約10分立てず
この間約10分。ウィリー・カルフーンは息ができないほど口周辺に大怪我を負いました。こうなると手の施しようがなく、一刻も早く病院に向かうしかありませんでした。これはウィリー・カルフーン、地獄の苦しみだったのではないかと思います。
アゴを骨折
診断の結果、ウィリー・カルフーンはアゴを骨折したことが判明。復帰見込みは立っておりません。
追記:現地2020年5月3日
情報をアップデートします。現地2020年5月3日の情報ですが、ウィリー・カルフーンはMLB Network Radioに出演。100 %回復したと宣言しました。よかったですね。
100%ではない
ただ、よくよくお話を聞いてみるとプレーするにはまったく問題がなくなったという意味のようです。進捗としてはもうパッティングプラクティスを行えるくらになっております。
ただ、100%でないというのは、まず体重減を戻すということが必要なようです。アゴを骨折すると、噛めませんから流動食の期間がかなりあったはずです。よってかなりウェイトも落ち、本人もこの辺は辛かったでしょう。
そして、右頬から舌にかけて無感覚の箇所があるようですから、今後約半年をかけてそこも治療していくようです。
これからバッティング・プラクティスのレベルも上げていく上で、果たしてメンタルの部分は大丈夫なのか?こういったところも徐々に慣らしていくほかありません。頑張って欲しいですね。
今季エブリデーLF予定だった!
2017年にデビューして以来、13試合、35試合、85試合と着実に力をつけてきたカルフーン。2019年は打率.269、OBP .323、SLG .524、HR 21、RBI 48、WAR 0.6。25才の今季はレンジャーズのエブリデーLFの座をほぼ手中にしていました。それだけにこの死球は肉体的な痛みもさることなら、レギュラーの座を手放すという意味で非常に痛い事故となりました。
友人、ギャロも言葉を失う
ウィリー・カルフーンの一番の友人でもあったジョーイ・ギャロは目の前の惨事を見て言葉を失いました。
そして悔いたのがCフラップの着用。
C・フラップをつけていた時期もあったのに!
C・フラップとはいわゆる顎当て。打者の投手側の耳のヘルメットの先に延びたあの防具のことです。ジョーイ・ギャロは、ウィリーはつけていたことも合ったのに!ということで非常に悔しそうなコメントを出しました。
このゲームでは上の動画の通り、ヘルメットにC・フラップはついておらず。
ただ、下記の動画でもあるようにメジャー1号を放った2017年にはつけていたんです。
万が一のC・フラップの効用
今、かなりの数のメジャーリーグのバッターはこのC・フラップをつけて打席に立っています。
このC・フラップは視界が狭まるとか、走りにくいというデメリットもあるものの、こういう事故があった時、やはり効力を発揮する防具であろうと思います。
ジャンカルロ・スタントンから始まった
C・フラップが着用されるきっかけとなったのは2014年9月のジャンカルロ・スタントンの顔面への死球。これも本当に痛々しいHBPでした。
このHBPでジャンカルロ・スタントンは顔面骨折とともに歯にもダメージを負い、これはMLB史上ワーストHBPの一つとして数えられています。なお、当ててしまった投手はマイク・ファイヤーズ。後にアストロズのサインスティーリング・スキャンダルを告発した投手です。勇気ある行動を起こした投手ですが、プレー的には抜け球も多い投手です。だいぶ改善はされてきましたが。
ジャンカルロ・スタントンが復帰した2015シーズンからアメフトのヘルメットを改良したアゴ当てを着用し始めました。
古くはマニュエルのアメフトモデル
元フィリーズ監督のチャーリー・マニュエル(マニエル表記が多かった)が、かつて近鉄に所属し、ロッテの八木沢投手からアゴに死球を受け、復帰後アメフトモデルのヘルメットを着用していたことはあまりにも有名です。
1979年6月の死球から、約35年が経過した2015年、ジャンカルロ・スタントンが上記のようなモデルを着用し、そして現在の形に進化してきました。
Cフラップはファッションでも何でもなく防具だということですね。
ウリアスは元チームメイト
死球を当てた後、ややエキサイトしているように見えた当てた側のフリオ・ウリアスですが、NO INTENTIONであることは確か。ややエキサイトしたのはあまりの酷さに自己防衛してしまったのでしょう。
ウィリー・カルフーンはもともと2015年ドジャース4巡目指名でプロ入り。2017年のトレードデッドラインでダルビッシュ投手らとのトレードでレンジャーズに動いたのでした。
よって、ドジャース時代はフリオ・ウリアスとはマイナーでのチームメイト。やや強がってしまった感のあるフリオ・ウリアスですが、ゲーム後かなり肩を落としていたそうです。
ここは周囲の励ましも必要かもしれません。イップスになる可能性もある。
いずれにせよ、この死球によってウィリー・カルフーンがトラウマにでもならなければ良いなと思います。早く復帰してもらいたいところです。ホントにほぼレギュラーを掴んでいただけに。
お読みいただき、ありがとうございました。
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