気になるトッププロスペクトの術後
MLBのディール情報に関する年末年始ですが、ほぼ関係ない状態で発表されたりします。ただ、やはり通常よりは情報量が落ちる感じがします。これはGM達の活動量の増減というよりは、情報をサイトにアップする記者の皆さんの休み次第と言えるかもしれません。GM達は依然見えないところで話し合いを続けており、年明け早々にディール発表ということもよくあります。貪欲な記者にとっては、独占スクープするチャンスでもあります。
ということで現地2019年12月29日は目立ったディールの発表がなかったので、ずっと気になっていたプロスペクトのことに触れようと思います。タンパベイ・レイズのプロスペクト、ブレント・ハニーウェル・ジュニア(Brent Honeywell Jr. )のことです。
ブレント・ハニーウェル・ジュニアとは
まずブレント・ハニーウェル・ジュニアについて簡単に記しておきたいと思います。当ブログでは今までブレント・ハニーウェルとのみ記載していましたが、公式サイトおよびBaseball Referenceによれば、Jr.がつくようですので以降はジュニアもしくはJr.をつけて記載したいと思います。
順調だったマイナーでの成長
ブレント・ハニーウェル・ジュニアは1995年3月31日生まれの24才。2020年は25才のシーズンを迎えます。2014年アマチュアドラフトでレイズから2巡目指名を受け、プロ入り。もう少し正確に書くと、Competitive Balance Pickになります。全体順位は72位。ちなみに2014年の全体1位はアストロズが指名したブレイディー・エイクン(Brady Aiken)でした。彼はドラフト後に肘の故障が見つかり、アストロズが契約金をグンと下げてきたので入団を拒否。翌年の2015年ドラフトで今度はインディアンスから1巡目指名を受け、プロ入り。肘の故障などがあり、まだ未デビュー。2019年はシングルA。
2017年にトリプルAに!
ブレント・ハニーウェルですが、2014シーズンはルーキーリーグ、2015年はシングルAとシングルA+に。2016年にはシングルA+からダブルAに昇格。この年の秋にAFL(アリゾナ・フォール・リーグ)にも参加。
2017年はダブルAスタートでオールスターゲームの前々日に行われるフューチャー・ゲームにも登板。
トリプルAまで昇格し、まもなくデビューというところまでたどり着いていた投手です。
2017年のスタッツ
ブレント・ハニーウェル・Jr.のマイナーでのスタッツのうち、直近のダブルA、トリプルAでの成績は以下の通りです。
- 2A: 2GS/ 13.0 IP/ 1勝1敗/ERA 2.08/SO 20/ H9 2.8/ HR9 0.7
- 3A: 24GS/ 123.2IP/ 12勝8敗/ ERA 3.64/ SO 152/ H9 9.5/ HR9 0.8/ SO9 11.1/BB9 2.3
2018年2月にUCL断裂が判明
とても順調だったブレント・ハニーウェル・Jr.ですが、2018年2月のスプリングトレーニングで肘の不調を訴えます。精密検査を行ったところ、2月22日にUCL(内側側副靭帯)が断裂していたことが判明。トミージョン手術を行い、2018シーズンを全休したのでした。
2019年6月に、手術箇所を骨折!
ここからが痛ましいのですが、TJ手術から約1年3ヶ月が経過した2019年6月8日、リハビリはブルペンセッションにまで回復していました。
ところが!そのブルペン・セッションで手術した右肘の骨を骨折するという非常に痛ましいトラブルが発生。
「手術後のジョイント部分」という痛ましさ
検査の結果、骨折したのはright medial epicondyleという場所で右内側上顆(みぎないそくじょうか)と呼ばれるところと判明。
要は、トミージョン手術でUCLをつなぎ合わせるために空けていた片側の穴が壊れたということですね。UCL(内側側副靭帯)がくっついていた片側の骨が右内側上顆(みぎないそくじょうか)と呼ばれる箇所ですが、トミージョン手術はそれに穴を空けてUCLをくっつます。その穴が壊れてしまったというのは想像しただけでゾッとするような出来事ですね。
レイズが医療過誤で医者を訴えたかどうかは定かではありません。しかし、医者にとっても本人にとってもレイズにとっても非常に厳しい事故となってしまいました。
ETAに向けて!
6月に手術をして現地2019年12月29日で約半年が経過。UCLの回復途中で起こった事故ゆえに骨と腱の双方の経過を慎重に見極める必要があるため、詳細なタイムテーブルは出せない状態です。
しかし、ブレント・ハニーウェルは2020年1月からスローイングプログラムに入って行く予定です。
腱自体はフレッシュです。ポイントは骨との接合具合と、つけ直しが発生しているために伸ばすという経過観察も必要になってくるのではないかと思います。
デビューは2021年か?
よって、長めの想定としてトミージョン手術を2年連続で行ったというスケジュールの想定になるではないかと推察します。一般的に投手の場合、術後1.5年が実践マウンドと言われていますから、だとすると完治状態は2020年12月。
2020年のETA(合流)は厳しいかもしれませんね。あくまでも長めの想定です。上記のリンクで術後のリハビリスケジュールを確認しましたが、術後120日ほどで軽いキャッチボールが許される具合ですから、ほぼ上記リンクのスケジュールとなるでしょう。
なぜハニーウェルを見たいか?
ブレント・ハニーウェル・Jrの魅力は、本格派の右腕ということは言うまでもなく、緩急の効いたピッチングです。ファストボールは Low-90からmid-90。アベレージではありませんが、だいたい95mph(152.88kmh)。あとはカーブ、チェンジアップ、スプリット、カット、スクリューととても球種が豊富です。
スクリュー使いとして名を馳せる
そしてなんと言ってもスクリュー・ボーラーとして非常に評価の高い投手です。若くて未デビューなのに、スクリューと言えば、彼の名前が上がるほどです。
MLBでは右投手もスクリュー
日本でスクリューと言えば、山本昌投手でしょうか。要は左投手がシュート気味に、右打者なら遠くに、左打者なら近くに落下を伴いながら曲がるボールのことをいう定義だったと思います。
しかし、筆者も初めて知ったのですが、右投手がシュートの曲がりで落下を伴い、左打者相手なら遠くに、右打者相手なら近くに曲がるボールをスクリューと呼び、左右両投手に使うようです。
ブレント・ハニーウェル・Jr.は右投手ですから、日本で言うならシンカーでしょうかね。
そういうことで、ブレント・ハニーウェル・Jr.のメジャーのマウンドでの勇姿を早く見たいと思い、エールを送るつもりで書きました。
もしもですが、ブレント・ハニーウェル・Jr.に肘のトラブルがなければ、レイズは2019年、チャーリー・モートン、タイラー・グラスノーとともに、強烈な右腕が3名もローテーションを回していたかもわかりませんね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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