ワールドシリーズに勝つとどれくらいもらえる?
現地時間2021年12月13日もMLBはロックアウト中。
去る現地2021年12月10日のこととなりますが、2021年にワールドシリーズ・チャンプとなったブレーブスのポストシーズン・シェアが明らかになりました。$32.5Mです・・・と、この数字だけでは何のことだかわかりませんね。筆者もこのトピックについては今まで追ってなかったのですが、ロックアウト中ということで今年は時間が出来たこともあり、調べてみました。
もっとも、日本時間2021年12月13日は仕事の方で疲れ果てて更新できなかったのですが・・・そこは失礼しました。
それではポストシーズン・シェアについて見てみたいと思います。言ってみれば、ワールドシリーズに勝つとどれくらいもらえるのか、その概要です。
ポストシーズン・シェア=分け前!
このポストシーズン・シェアですが、これは文字通り、シェア=分け前ということになります。そして2021年チャンプのブレーブスは$32.5Mを獲得と。
その原資はどこから?
ではその原資はどこからくるのかというと、「プレーオフ中のゲート収入」ということになります。つまりは入場料収入ですね。
そしてブレーブスが獲得した$32.5Mというのは、「プレーヤーズ・プール」で、ブレーブスの選手に割り振られた総額です。
では各クラブにどのように配分されるのか?
プレーヤーズ・プールに入るゲート収入の比率
各クラブに入るプレーヤーズ・プールの比率は下記のように定められています。
- ワイルド・カード:ゲート収入の50%
- DS(地区シリーズ):Game 1-3のゲート収入の60%
- LCS (リーグ・チャンピオンシップ・シリーズ):Game 1-4のゲート収入の60%
- WS(ワールドシリーズ): Game 1-4のゲート収入の60%
ポストシーズンのチケットが異常に高くなるのは、言ってみればこの影響でもあります。一応、選手に有利になるように最低限の試合数(DSは3戦、LCS以上は4戦先勝)から選手に入るような設定となっています。1番盛り上がるワールドシリーズの後半戦はポストシーズン・シェアだけで考えれば選手のポケットに入りはしないのですが、当の選手達はプレーヤーとしての本能に覚醒していますから、そんなどころではありませんね。
なお、プレーヤー・プールに入らないゲート収入が具体的にどこに入るのか?は明確に規定されていません。開催しているゲームのホーム・クラブ側の収益になるとともにMLB側もいくらかは取ると思います。
2021年のプレーヤーズ・プール総額は90.47Mドル
2021年の全プレーオフ・ゲームのゲート収入は明らかになっていませんが、プレーヤーズ・プールの総額は$90.47Mであったことが明らかになっています。
ここからポストシーズンに参加した全10クラブ(ア・リーグ5/ナ・リーグ5)で分けます。当然のことながら、ワールドシリーズ・チャンプとなったブレーブスのシェアが1番多くなります。
各クラブへの割合
10クラブへの配当はご覧の通り。上のシリーズに上がれば、その比率が支払われるという仕組みゆえ、たとえばブレーブスにDSやLCSでの比率が定められている訳ではありません。その代わりチャンプとなったので、シェアが高い訳ですね。
- ワールシリーズ・チャンプ: 36%
- ワールシリーズ敗者 24%
- LCS 敗者(2クラブ): 24% (12% ずつ)
- DS敗者(4クラブ): 13% (3.2% ずつ)
- ワイルドカード敗者(2クラブ): 3% (1.5% ずつ )
2021年であれば$90.47Mのうち、ブレーブスが36%(= 約$32.5M)を、アストロズが24%(= 約 $21.73M)を受領。そしてLCSで敗退したレッドソックス、ドジャースはそれぞれ12%ずつ(= @ $10.8M/Club)、DSで敗退したレイズ、ホワイトソックス、ジャイアンツ、ブルワーズにそれぞれ3.2%ずつ(= @ $2.8M/Club)、ワイルドカードで敗退したヤンキースとカージナルスにそれぞれ3.2%ずつ(= @ $1.3M/ Club)が分配されます。
プール総額、チャンプ・シェアともに歴代1位
今季のプレーヤーズ・プール総額$90.47Mは、それまでの最高であった2018年の$88Mを上回り過去最高。そしてチャンプにシェアされた$32.5Mも2018年のレッドソックスの$31.75Mを上回り、過去最高額となっています。
Year | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 | 2017 |
---|---|---|---|---|---|
Players pool | $90.47M | – | $80.86M | $88M | $ 84.5M |
Champ | ATL | LAD | WSH | BOS | HOU |
Champ Share | $32.57M | $29.11M | $31.75M | $30,42M |
なお、2020年はコロナ・パンデミックであったため、お客さんを入れたゲームはグローブ・ライフ・フィールドで行われたNLCSとWSのみでした。それぞれ約1.1万人ほどの観客でのゲームだったのですが、プレーヤーズ・プールとポストシーズン・シェアが公表されていません。
選手への分配は?
ここからが選手がもらえる金額についてです。
上記のように各クラブにシェアされるプレーヤーズ・プールはゲート収入によってその配分が決められていました。
では肝心の選手に入る額はどうなるのか?
各クラブがどうやってその分け前を決めるのか?おとぎ話で出てくるような盗賊の親分のさじ加減で決まる訳ではありません。ただ、その要素も無きにしもあらず。それには一つのフォーマットがあります。フル・シェア、パーシャル・シェア、キャシュ・アウォーズです。
Full share |
pertial share |
Cash Awards |
フルシェア=満額でもらえる金額
まず、株のように1株当たりの値段が決まります。
per share | 1株当たり$ |
それぞれ見てくと「フル・シェア」はいわゆる満額です。正確に言うと、満額をもらえる人数を指します。対象は1シーズンを通じ、40manロスターにいた選手などは自動的にその対象。そして選手だけでなく、コーチ、クラブのスタッフなど1年を通じて貢献した人を幅広くその対象に含めます。
Full share | 満額 $ Per Head | 1シーズンいた選手など年間を通じて貢献した人々 |
パーシャル・シェアとは?
フルシェアの反対がパーシャル・シェア。こちらはいわゆる部分的なシェアで、満額ではないけれども、その貢献度で分配しましょうというような考え方。途中移籍の選手やシーズン途中から40manに入った選手、あるいはフルシーズンではないけれども貢献したスタッフなどがその対象。
partial share | 満額ではない | 途中移籍の選手や、満額ではないけれども貢献した人々 |
キャッシュ・アウォーズ
こちらは第三番目に該当する人たちが対象となります。
2021年のブレーブス
では2021年のブレーブスがどうであったかというとこのような感じです。
Per Share | $ 397,391 = 約 $0.4M |
Full share | 66 = 66 people |
partial share | 14.25 |
Cash Awards | 38 |
1株 $ 397,391 (= 約 $0.397M) を貰える選手、スタッフが66人いたことになります。太っ腹です。
そして、パーシャル・シェアですが、こちらは確証を得られなかったのですが、おそらくフルシェアと同じ考えで、14.25人分がこれに該当。肝心のパーシャルシェアがフルシェアの何%もらえるのかまではわかりませんでした。端数も出ているがゆえに、数レベル設定されているのではないか?と思います。
そしてキャッシュ・アウォーズが38名。これはパーシャル・シェアよりも低い金額の人達になり、おそらく38名がその対象ということかと。金一封ということはないと思いますが、レベルを設定しているのなら、そのような方もいるかもしれませんね。金一封とはもう本当に気持ちだけです。
過去のクラブ内の分け前
2020年を除いた直近4シーズンの分け前はこちらです。実は2017年のアストロズの Per Shareが1番多いという結果でした。これはシャアする数でそうなってしまいます。
– | 2021 ブレーブス | 2019 ナショナルズ | 2018 レッドソックス | 2017 アストロズ |
---|---|---|---|---|
Per Share | $ 397,391 | $382,358.18 | $ 416,837.72 | $ 438,901.57 |
Full Share | 66 | 61 | 66 | 60 |
partial share | 14.25 | 14.13 | 10.025 | 9.23 |
Cash Awards | 38 | 2 | 8 | 4 |
もめないのか?
こういうのは例えば戦国時代の論功行賞など、時代物の小説などを見るとかなり揉めていますね。不平不満も出てくるでしょう。だから丸く収まっているのかどうか心配になります。
その点に関しては一応、クラブ内の分配にはMLBPAの関係者が中に入ってチェックすることになっているので、故意に金額を上げたり下げたりなどがないようにお目付け役がいることは一言記しておきたいと思います。
高いのか?安いのか?
結局、フルシェア(=1株満額)でいくらもらえるのか?というのが高い安いを決めます。
ここで1つ大事なこととして、選手達のサラリーについて。選手たちの10年/$300Mというサラリーはあくまでレギュラー・シーズンの中での金額。選手によっては、アウォード・ボーナスでポストシーズンのMVPを獲ればという設定を入れている人もいますが、それはそれ。
選手たちのサラリーには、ポストシーズンは含まれておりません!!
選手たちはポストシーズンは無給なのです。MLSもPSではカウントされませんからね。
では何をモチベーションにやっているかというと、1つは選手としての本能でワールシリーズ制覇を成し遂げること。2つ目はポストシーズンの活躍がFAの選手にとっては大いにサラリーを上げる要素になることなどです。
無給であるがゆえに、このポストシーズン・シェアというのが選手たちのお給料になるわけです。
ではブレーブスのフルシェアの$ 397,391は高いのか安いのかと言えば、もちろん高いです!なぜなら、2021年のメジャーの最低年俸が$570,500。
これは1年を通じて(180日)の金額です。
ポストシーズンの1ヶ月でワールシリーズ・チャンプなら$ 397,391が手にはいる訳です。日本円だと4000万円以上です。高いですよね!
ブレーブスはNLDSで4試合、NLCSで6試合、ワールシリーズで6試合の計16試合をこなしました。ということは1試合当たり$24,837、日本円でざっと250万円以上。
以上、ポストシーズン・シェアについて記載しました。本当はワールシリーズ・チャンプ以下の詳細も書きたかったのですが、これでポストシーズンの分け前の決まり方があらかた整理できた・・・ということであれば幸いです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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