DFA=クビではない
よく出てくるMLB契約用語の中のDFA(Designated for Assignment)について記しておきたいと思います。
流れとして、言葉の意味→個人的な理解→制度の細かい点について記して行きます。
MLBのDFA
DFAが即クビに当たるものでないことはMLB通の皆様ならすでにご存じかと思います。もしもDFAを一言で言い表すなら、
DFAとはチームが選手を40manロスターから外すこと。
になります。
その目的は選手の入れ替えが大半です。なかにはマイナー・オプション(後日記載)の切れた選手(out of option)への手段、あるいはマイナーへの降格を拒否する権利をもつ選手を25人枠から外す際の手続きの一つとして用いられることもあります。
英語の言葉の意味
言葉の意味からDFAの中身の理解を直結させるのはなかなか難しいのですが、かなり実態に近い訳にするとなると、
designated for assignment →「譲渡に指定」
になると思います。「designated」は指名打者(Designated Hitter)に使われる”Designated”と同じ意味で、「指名」とか「指定」の意味。” assignment”は「割当」という意味よりもここでは「譲渡」の意味として捉えた方がいいと思います。
なかなかピンと来ないのはDFAの言葉の中に1プロセス、つまり理由が抜けているからだと思います。「要らないので、あるいはマイナーオプションの関係から譲渡に指定します」。
そして、言葉の定義=手続きの説明に終わってしまう面もあります。そう説明するしかないというのもあります。
この「要らないので」を強調してしまうと、日本語の「戦力外通告」と簡単にリンクしてしまい、ついつい「DFA」=FIREと捉えがちで、DFAの正確な意味と離れてしまいます。
確かに結果的にクビになることもあるのですが、しかしそれはDFA後の結果の一つに過ぎないので、DFA=即クビではなく、とりあえず40manロスターから外すというふうに連想するのがいいのではないかと思います。
個人的な理解
「DFA」と聞くと、筆者は以下のように考えます。これは個人的な理解なので、あとで複数の英語サイトに基づいた細かいルールを見て行きますので、まずは概要として個人の理解を参照していただければと思います。
ある選手がDFAになった。”チーム名 designated 選手名 for assignment”との報道があったら、筆者はこう考えています。上の例だと、”Yankees Designated Kendrys Morales For Assignment.”
これを目にした時にまず思うことは、
- 新しい選手を入れるために、40manロスターを空けるんだな。
※この時点で即クビとは考えない。クビになる可能性も高いが、一旦保留。
- これは筆者の解釈ですが、DFAとなった選手はDFAという名前の箱(枠でもいいですが)に一旦納まると考える。
感覚としてはけが人がILに入るのと同じ感覚で見ています。箱に入りつつも即座に以下の手続きに入る。
DFAになった選手の手続きは以下なので、どれになるだろう?と考える。
- トレード(実際はウェーバーの前に成立することがあるのかはやや疑問ですが、手続き上は優先されます。ウェーバーにしても7日以内に行わないといけないことから、ひょっとしたら、トレードのオファーも入る余地は確かにあります)
- ウェーバーにかけられた後に、
- 獲得申し出の交渉が成立するのか?
- クラブがマイナーへ行かせる意思があるのか?
- あれば、ウェーバーで獲得申し出がなかった場合、本人がマイナーに残ることを選択するのか?
- あるいは拒否してリリースされ、FAとなるのか?
- (クラブにマイナーへ行かせる意思が)なければ、そのままリリースとなるのか?
- あれば、ウェーバーで獲得申し出がなかった場合、本人がマイナーに残ることを選択するのか?
- ウェーバーで他球団が獲得の意思を評しているのかどうかの途中経過は公開されておらず、結果からだけしかわかりません。
上のモラレスの場合、6/25にヤンキースがDFAにし、7/2にリリースとなっています。ヤンキースがマイナーへ送る意思がなかったのかはわかりませんでした。ただ、モラレスはFAとしてオファーはあるとマイナーを拒否したと思います。
また、下記の手続きにもありますが、すでにベテランなのでマイナーを拒否したとも言えるでしょう。
前提の理解として、1)まずアクティブ・ロスター(25man)に入らないとゲームには出られません。2)アクティブ・ロスターに入るには、40manロスターに入っておく必要があります。ここまでがメジャー契約。
複数のサイトを参照したDFAのまとめ
定義
クラブが選手の入れかえなどで40manロスターの枠を空けたいときに、使う制度。プレーヤーがDFAとなったとき、即座にそして7日以内※にトレードか、リリースか、マイナーにアサインされる。
※以前の2012-2016の労使協定では10日以内でしたが、短くなりました
また、マイナー・オプションの切れた選手をアクティブ・ロスター(25人枠)から取り除きたい場合にも使われる。
DFAとなった場合
トレード
- DFAとなった選手はまずはトレードの可能性がある。DFAとなった選手の獲得に関心のあるクラブが出た場合、所属先のクラブは当該選手をウェーバーに置く前にトレードの推進に注力し、ウェーバーの優先順位の高いクラブに獲得される可能性を排除しなければならない。10年−5年ルールがあり、MLB在籍が10年以上で且つ所属していたチームに5年以上在籍している選手はこのトレードを拒否することもできる。
ウェーバー
他の29のクラブに対して、ウェーバー公示をします。「選手の保有を権利放棄します」というアナウンスです。これはコミッショナー・オフィスで一括管理されています。
- クラブが選手をマイナーに送りたい場合はまずイレボカブル・アウトライト・ウェーバーをコミッショナーオフィスに申請し、他の29のクラブに公示する。獲得は勝率の低い順を優先とする。
- ウェーバーで交渉成立ならず(トレードとならず)、所属クラブがマイナーアサインを考えていない場合はリリースとなり、選手はFAに。
- ウェーバーで獲得申し込みがあった場合、獲得した側は2万ドルの費用を払い、その選手の残りの契約を引き継ぐ。
- ウェーバーで獲得申し込みがなく、クラブが選手をマイナーに送る意思がる場合はマイナーにアサインすることができる。選手の許可なくマイナーにアサインできるのはキャリアの中で1回だけである。それゆえ選手は
- マイナーを拒否し、FAになることができる
- マイナーを受け入れ、シーズン中に40manに戻ることがなければ、シーズン終了後にFAとなることができる。
- 【拒否権】MLS(サービスタイム)が3年の場合は、過去にDFAによるメジャー契約解除の経験がある選手はこのマイナーへのアサインを拒否し、FAとなることができる
- 【拒否権】MLS(サービスタイム)が5年の選手もマイナーへのアサインを拒否することができる。
なお一旦DFAとなり、マイナーでクラブに残った選手が再び25人枠に戻ることもあります。
また、DFAはオプション、ウェーバーとも絡んでいるので両者の記事が揃ったら、関係がわかるように少しリライトしたいと思います。
上記だけでもDFAとはなんぞやの骨組みは理解できるようには作成しました。
参照サイト
お読みいただき、ありがとうございました。
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