ベンチのキーマンが46才の若さで亡くなる
悲報です。ミネソタ・ツインズのベンチ・コーチのマイク・ベル(Mike Bell)氏が現地2021年3月26日、腎臓がんでお亡くなりになりました。享年46才。
ツインズがマイク・ベル氏の病状を公表したのが2021年2月。先月のことです。マイク・ベル氏は2020年のオフシーズンに腎臓がんと診断され、1月には手術も受けていました。スプリングトレーニングが行われるフロリダには行かずに、自宅のあるアリゾナで治療に専念していましたが、あまりに短い闘病の末の結末に関係者はショックを隠せないようです。
2020年からツインズのベンチコーチに
マイク・ベル氏がツインズのベンチコーチに就任したのは、2020年2月のこと。
前ベンチコーチであったデレク・シェルドン(Derek Shelton)がパイレーツの監督に引き抜かれたのがきっかけでした。
2020シーズン、連覇に貢献
ご承知の通り、ツインズは2019シーズンにつづき、36勝24敗で2020年もア・リーグ中地区を制覇。マイク・ベル氏はロッコ・バルデッリ監督の右腕としてダグアウト内外で大いにツインズの連覇に貢献した人でした。
ベースボール・ファミリー
マイク・ベル氏の一家は、まさにベースボール・ファミリー。まず、お兄さんのデービッド・ベルは現レッズ監督。現役時代はイチロー選手ともチームメイトでした。
そしてお父さんのバディー・ベル(Buddy Bell)は3B/OFとしてインディアンス、レンジャーズなどで活躍。メジャー通算18年で、2,514安打、オールスター出場5度、ゴールドグラブ賞受賞6度、シルバースラッガー賞受賞1度を誇る名選手。
そしておじいさんもメジャーリーガーで、1950年から1964年までOFとしてパイレーツ、メッツなどに所属し、オールスター出場4度を誇る選手でした。
現役時代は芽が出ず
そんなベースボール・ファミリーに育ったマイク・ベル氏ですが、残念ながら、選手としては芽が出ませんでした。
もともとは、1993年に高校卒でレンジャーズから1巡目指名された期待の右投げ右打ちの3B。しかし、レンジャーズ、エンゼルス、Dバックス、メッツ、レッズ、ロッキーズ、ホワイトソックス、カージナルス、インディアンスなどを転々とし、唯一のメジャー出場は、2000年のレッズ時代。
このとき、25才で、結局、メジャーでは、19試合、27打数6安打、HR 2、三振7という成績に終わりました。
キャリアの大半は、マイナーで、トリプルAでは9シーズンを過ごしました。
2005年、30才のときに現役を引退。
Dバックスでコーチキャリアを積む
しかし、彼のキャリアが実を結ぶのはその後からでした。
2007年から2009年までDバックスのクラスAショートシーズンのヤキマ・ベアーズ(Yakima Bears/ワシントン州)、クラスAアドバンスドのバイセイリア・ローハイド(Visalia Rawhide/カリフォルニア州)で監督を務めました。
2010年にDバックスのマイナーの選手開発、フィールド・コーディネーターの要職に就任。2011年から2016年まで選手開発のダイレクターとして手腕を発揮。
さらにツインズに入る前の2017年から2019年までの2年間は、選手開発のバイス・プレジデントにまで昇格。
マイク・ベル氏は選手開発といういわゆる選手育成について徹底的にプロと言える人で、フィールド内のパフォーマンスだけでなく、フィールド外においても育成に関する施設などにも気が回る人材でした。
まさに将来の監督候補だったが
徹底した現場の指導、その仕組みづくり、選手育成のあらゆる面に精通したマイク・ベル氏は、このままベンチコーチとして数年経験を積めば、監督候補として名前の上がるキャリアを歩いていました。
そんな優秀な人材だっただけに、今回、病で倒れたのは惜しいとしか言いようがありません。
あらためてご冥福をお祈り申し上げます。
シーズン開幕後に挽回へ
2021年のスプリングトレーニングのツインズの成績は思わしくありません。グレープフルーツ・リーグでは、現地2021年3月26日時点で、10勝13敗で15クラブ中12位。115失点に対して94得点ととにかく打線が湿っているのが原因。
攻撃のキーマンの1人であったエディー・ロザリオにノンテンダーを出し、ロスターとポジションを空けることで、プロスペクトで2020年のポストシーズンからメジャー・デビューしたアレックス・キリロフ(Alex Kirilloff)を入れようとしましたが、失敗。キリロフは成績が上がらず、開幕マイナーとなりました。これからレギュラーを獲ろうかという選手が沈んではちょっと勢いが出ませんからね。
キリロフの不調もひょっとしたらマイク・ベル氏不在が影響した面もあるかもしれません。
以上、お読みいただき、ありがとうございました。
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