大谷選手のディールはオフに延期
現地2022年8月2日のトレードデッドライン日に書ききれなかった分を今後の備忘録の意味でもしたためておきたいと思います。
まず、エンゼルスは噂通り、ノア・シンダーガードが出ました。デッドライン前には大谷選手に関する引き合いもオープンにするという姿勢でしたが、直前になってクローズとしましたね。大谷選手の場合、あまりにも未決事項が多すぎて、シーズン真っ只中のこのタイミングではさすがに決まりませんでした。
エンゼルスは$10M前後のサラリーの選手をもっと出すのかと予想していました。左腕のアーロン・ループ、リリーバーのライアン・テペラらはかなり引き合いがありそうに思ったのですが、彼ら以外のビッグネームを出すことになりましたね。
【1】ライセル・イグレシアスはブレーブスへ
まず、かなりインパクトがあったのはやはりライセル・イグレシアスでしょう。現地2021年11月30日に旧CBAの期限前にディールを決めたばかりで、4年/$58M (2022-25)の契約が始まったばかりでしたから。
そのディールの詳細です。
ブレーブスGet
- ライセル・イグレシアス(Raisel Iglesias/32)RHP
エンゼルスGet
- ジェシー・チャベス(Jesse Chavez/38) LHP
- タッカー・デービッドソン(Tucker Davidson/26) LHP
イグレシアスの高額サラリーをカット
ブレーブスはこのトレードデッドラインで40manの贅沢税上のサラリーが$206Mに到達。かなり奮発しましたね。
ブレーブスの件は一旦置いて置いて、エンゼルスは5月の好調時とは打って変わって、現地2022年8月3日時点で44勝60敗でもう完全に「売り」の状態でありました。
さすがに今季のトラウトとレンドンでは怪我が多く、このトレード・デッドラインで受け手側のエンジンに火が点く訳でもないので、二人のディールはありませんでしたが、彼らのサラリーがかなり圧迫しているのも事実。二人だけで$70M以上ですから(贅沢税の算出上)。
よって、今季は$10Mではあるものの、贅沢税上は$14Mとなるライセル・イグレシアスを放出し、サラリーをカットする方向に出ました。
この契約ではエンゼルスがライセル・イグレシアスのサラリーをカバーする話は出ていないので、今季分は日割りによる算出のみということに。今季とそれ以降の残額はブレーブスの負担になります。
チャベスとデービッドソン
ジェシー・チャベスは2022年8月21日の誕生日で39才になるベテラン左腕。エンゼルスには2016年から2017年まで在籍していたので、カムバックということに。ほとんどがリリーフですが、ごくたまに先発もこなします。2021年はブレーブスに在籍し、30試合に登板して4度の先発。シーズン成績は、ERA 2.14とかなりよかったのです。
2022年3月14日にFAとしてカブスとサイン。しかし、4月21日にショーン・ニューカム+金銭のトレードで再びブレーブスに。カブスでは3試合のみに登板。ブレーブスで31試合に登板し、ERAは2.11。年齢は重ねていますが、非常に信頼のおけるリリーバーでもあります。
タッカー・デービッドソンは、26才の左腕。2016年のブレーブスの19巡目。デビューは2020年で1.2イニングのみの登板でした。
2021年は4スタートで、20.0イニングのみでERAは3.60。2022年は4試合、3先発で1勝2敗、ERA 6.46。マイナーで6シーズンを過ごし、484.2イニングを投げており、基礎的なことはしっかりとしています。
2021年はワールドシリーズGame5でも登板。2イニングで4失点ではありましたが、大舞台も経験。なんとか花開いて欲しい投手でもあります。エンゼルスでは先発のチャンスも掴めるかもしれません。なお、アクティブ・ロスターには入っております。
【2】ノア・シンダーガードはフィリーズへ
そしてノア・シンダーガードです。彼は今季$21Mという高額サラリーでもありました。$18.4Mのクオリファイング・オファーに期待値の色がついた金額というところかと。
フィリーズGet
- ノア・シンダーガード(Noah Syndergaard/29)RHP
トミー・ジョン手術明けのフルシーズンということで、今季は1年を通じた投球にフォーカスしてややセーブしていたのか、かつての100mph連発の姿は影を潜め、Mid-90mphのコントロール重視のスタイルとなっています。今季はエンゼルスで15試合、80.0イニングで5勝8敗、ERA 3.83。HR 9は1.0。BB2.5はトミー・ジョン前とほぼ同じ数字です。しかし、SO9がややダウン。2019年は9.2だったものの、今季は7.2。果たしてフィリーズでどこまで貢献できるかはちょっと注目ポイントでもあります。
エンゼルスGet
- ミッキー・モニアック(Mickey Moniak/24) OF/右投げ左打ち/ 2016年1巡目
- ジャディエル・サンチェス(Jadiel Sanchez/21)OF/右投げ両打/ 2019年12巡目
エンゼルス、二人のOFを獲得
エンゼルスはミッキー・モニアックを獲得。
清宮が1年生で出場し、中京大中京の上野が好投した2015年のU-18のUSAのメンバーだった選手。2020年にデビュー。期待された2021年はせっかくのチャンスも不振がつづき21試合で、打率.167でマイナーに落ちました。
今季は怪我もあり、フィリーズでは18試合に出場。打率は.130。伸び悩んでいる素材をエンゼルスが開花させることができるか?注目です。
ジャディエル・サンチェスはプエルトリコ出身。プエルトリコゆえ、ドラフト対象でした。今季はここまでルーキーとクラスAに所属。怪我があったようですね。クラスAでは38試合で、打率.236、OBP .286、SLG .429、HR6。
【3】ブランドン・マーシュもフィリーズへ
そしてこちらも驚きでしたが、ブランドン・マーシュが動きました。彼もフィリーズです。
フィリーズGet
- ブランドン・マーシュ(Brandon Marsh/24) OF/右投げ左打ち
エンゼルスGet
- ローガン・オホッピー※(Logan O’Hoppe/22) C/ 右投げ右打ち/ 2018年23巡目
※今後、表記ゆれがあればすみません。たぶん、オホッピーの発音です。
オホッピーはTDLでの唯一の成果
ブランドン・マーシュのトレードは大谷マニアにとってはかなりの衝撃だったようです。確かにこれからさらに磨き上げて行きたい選手でもありました。もともとの期待値も高かった選手ですし。
今季は93試合で、292-66、打率.226、OBP .284、SLG .353、HR8、RBI 37、盗塁8。2022年のrWARは0.9。現状のエンゼルスにとってはかなり貴重な戦力でしたが、OFとしては打撃が伸びてこなかったというのが正直なところでもあります。チャンスに強い選手でもあるので、打率がもう少し上がればさらに評価も上がる選手だと思います。
そんな惜しいマーシュを出してでも獲得したローガン・オホッピーはニューヨーク生まれの22才のキャッチング・プロスペクト。
フィリーズはよく出したなという選手で、J.T.リアルミュートの後継として考えられていたような素材。今季はダブルAに所属し、75試合で打率.275、OBP .392、SLG .496、HR15、盗塁6!
2022年のフューチャー・ゲームにも出場しました。とにかく、打つ捕手です。マックス・スタッシの下でリードを研究すれば相当チームに貢献できる素材。エンゼルスはメジャー・デビュー済みのマーシュを出してでも次世代の捕手を獲得できたのは大きいです。
なお、ニューヨーク生まれの彼は、アマチュア時代(これはドラフトイヤーだと思います)に、ヤンキー・スタジアムで敵チームのHRボールをグランドに投げ返した逸材で、なんだこの肩のいいお客は!と話題にもなったことがあります。
エンゼルス、アデルは出さず
このトレードデッドラインでエンゼルスはジョー・アデルも出すのではないか?とも個人的には思っていました。素材は一級品なものの、いかんせん野球観があまりにも幼いというか、もったいなさすぎる素材だからです。中にはその素材をチューンナップしようというクラブもあるかと思ったのですが、シーズン真っ只中でそこまでの余裕のあるクラブはなかったようです。
エンゼルスはとにかく、トラウトとレンドンが機能しなくてはどうしようもありません。せめてトラウトがシーズン中に復帰してくれれば良いなと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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