現時点でのNLウェストの3強
2021年は勝っても勝ってもジャイアンツの存在が壁になっていたドジャース。今季はそのジャイアンツが、バスター・ポージーの引退、ケビン・ゴーズマンの流出などによってさすがに戦力ダウンし、ここまで勝率.500近辺で漂っています。
その代わりに前年、鬼の敵のように争い、シーズン序盤からプレーオフのような戦いぶりを繰り広げていたパドレスが浮上。ただし、パドレスもタティス・Jr.がオフシーズンの不注意(バイク事故)で怪我をし、未だシーズン・デビューしていない状況ゆえ、ドジャースを脅かすには至っていない状況。
かく言うドジャースは攻撃ではフレディー・フリーマンを獲得し、打線には厚みが。しかし、投手ではクローザーのケンリー・ジャンセンを流出させ、そして若きローテーションの柱、ウォーカー・ビューラーを右肘の遊離軟骨除去手術で6月半ばに欠いている非常事態。決して盤石ではない中、打撃陣に大きな勇気を与えているのが、左腕のタイラー・アンダーソンと現地2022年7月7日に先発した右腕のトニー・ゴンソリンです。
今季のゴンソリンの凄さとは
現地2022年7月7日、ドジャースはホームでカブスを迎えての4GameシリーズのGame1。ドジャースのマウンドにはトニー・ゴンソリン。このゲーム前まで10勝0敗でERA 1.54。
4シームは決して速くありません。右のオーバーハンドではメジャーではむしろ物足りないくらいの93mphアベレージのベロシティー。 しかも結構、高めに浮きます。打たれる要素がまあまああるのですが、スピンの平均が2323。スピン量の多いバーランダーは2413を誇り、さすがにそれには劣りますが、いいキレだと思います。
今季素晴らしいのが、スライダーのコントロール。これが絶妙で、打てると思って手を出したら、凡打というのがかなり多いです。そしてもう1つの武器はスプリット。実はスライダーより多いのがスプリットで、投球の27.6%です。Whiff%(空振り率)は31.1%。
さらに、あまり速くないファストボールを速く見せるのに有効なカーブは、平均で80.7mph。ゲーム中は78mphなど頻繁に出します。
2022年のH9はシングルシーズンで歴代NO.1
2022年のH9が4.9。これは9イニングを投げたとして何安打されるか?という指標ですが、ゴンソリンの2022年のH9の4.9(現地2022年7月7日終了時点)は、シングルシーズンでは歴代NO.1です!
7イニングで被安打4、失点2
そのトニー・ゴンソリンはこの日も安定した投球を披露。2回、3回、6回、7回と7イニング中4イニングを三者凡退に抑える好投。
5回表はクリストファー・モレルに2ランHRを浴びてしまいましたが、3イニングを投げて2安打されるかどうかという投球はリズム感の良さそのものを表しています。
7イニングを投げて93球は、1イニング平均で13.2球。目安の1イニング15球を下回っています。
そしてこの日も四球は0。これが素晴らしいですね。ゾーン勝負で打つ時にはずれているという、変化球の威力を体現したような投球です。
ベッツが援護
この日だけでなく、ゴンソリンが投げる日は打線も嬉しいと思います。守っていてリズムはありますし、なんと言っても今季は負けてないわけですから。
この日は1回にムーキー・ベッツがソロHR。2回にはギャビン・ラックスの見事な2ランHRなどで立ち上がりから3点を援護。さらに4回にはジャスティン・ターナーのソロHRで4-2とリード。
ゴンソリン降板後の8回にはムーキーのこの日2本目となるHRも出てドジャースが5-2とリードを拡大。
キンブレル、不安定
ドジャースはクローザー・ロールのクレイグ・キンブレルがあまりよくありません。この日は9回表に登場し、2者連続三振まではよかったです。ところが、2アウトからイアン・ハップにシングルを打たれた後、鈴木誠也選手にアンラッキーな当たりではありましたが、RF線に落とされ1失点。
さらに次打者のパトリック・ウィズダムにも四球を出し、さすがにデーブ・ロバーツもこれには我慢できず、交代を告げました。
その後はアレックス・ベシアがネルソン・ベラスケスを三振に仕留め、事なきを得ましたが、ちょっとキンブレルの危うさはいただけませんね。
結果は5-3でドジャースが勝利。ムーキーの追加の一発が出ていて本当に助かったというゲームでした。
これでトニー・ゴンソリンは11勝0敗!ERAは1.62、そしてWHIPは0.80。勝利数11はMLBではバーランダーと並んでいますが、NLではもちろん1位。そしてERAとWHIPはMLBでNO.1です。
ビューラーがいない中、ゴンソリンの活躍はドジャースにとって大きいですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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