2020ETA その1
2019シーズンは47勝114敗とア・リーグ中地区最下位に沈んだデトロイト・タイガース。2011年から14年まで4年連続で中地区制覇を成し遂げたかつての強豪も今はリビルドの真っ最中。
強烈なメンバーがいたDETの2011-2014
タイガースの直近の黄金時代は2011〜2014年。早くも6年が経とうとしているんですね。当時の戦力としては打線ではミゲル・カブレラが残ってはいるものの、そろそろキャリアの終焉が見えてきている状態。V・マートは引退。そして強い時代を牽引した強烈だったローテーションは解体。ジャスティン・バーランダー、マックス・シャーザー、リック・ポーセロ、そしてデービッド・プライスは他クラブへ。サイ・ヤング賞投手が3人もローテーションを回していたというすごいシーズンもありましたね。野手ではホセ・イグレシアス、イアン・キンスラーの名二遊間がいましたが、FAでコンビを解消。
その後のタイガースは2015年から2019年までの5シーズンで最下位を3度経験(2016年に2位、2018年に3位)。
DETはドラフトピックで挽回中
成績不振となった反面、ドラフトでは上位指名が可能になったという良い面もありました。そこでデトロイト・タイガースの超強力な3名のプロスペクトをご紹介しておきたいと思います。メジャー通の方ならご存じの投手ばかりですが、アーカイブのためにも記載しておきたいと思います。
なお、タイガースにはライリー・グリーンという19才で2019年1巡目指名、2022年ETAの素晴らしい外野手がいますが、彼はまた別の機会に採り上げます。
まず一人目。
ケイシー・マイズとは
2018年アマチュアドラフト全体1位がケイシー・マイズ(Casey Mize)。現地2020年5月30日時点で23才。オーバーン大学出身。
カレッジ出身で全体1位の指名を受けるほどの投手は通常、高校時代も騒がれます。マイズもアラバマ州でNO.1高校投手として名を馳せていたのですが、当時、足首を捻挫していたのとプロ入りへの懸念から2015年のドラフトにかからなかったという珍しいパターンの投手です。
大学で才能が開花。2年生の時にシーズン8勝2敗で大学アメリカ代表に。2018年の3年生の時にはノーヒッターを記録。スピードもさることながら、コントロールに高い評価が集まりました。大学野球のMVPであるゴールデン・スパイク賞のファイナリストに。惜しくも2019年にホワイトソックスに指名されたアンドリュー・ボーンに明け渡してしまいましたが、非常に高い評価を得たのでした。大学時代は現ロイヤルズのブレイディー・シンガーと1、2を争っていました。
タイガースとは$7.5Mのサイニング・ボーナスで入団。
ダブルAデビューでノーヒッター
プロ入り後、2018年はルーキーとシングルA+で5試合に登板。13.2イニングで0勝1敗、ERA 3.95。
2019シーズンはシングルA+でスタート。4スタートで2勝0敗、ERA 0.35。シングルA+の最後のゲームでは8イニング1ヒットスコアレス。ヒットは2イニング目の2人目に一本許したのみ。
4月29日にダブルAに昇格。そのデビュー戦でいきなり9イニングノーヒッターを達成。
2試合目の登板では5イニングを被安打2、失点1。
56BF連続無安打
ケイシー・マイズはシングルA+での最後のゲームの2回2アウト目からダブルA昇格後の2試合の計3試合で56打者連続ヒットレスを達成。
【マイナーでの56打者連続無安打の内訳】
- A+ 最後のゲーム:2回2アウト目から8回終了まで:20打者連続無安打
- AA昇格後のデビュー戦でノーヒットノーラン:28打者連続無安打
- AA昇格後2試合目の3回2アウト後にヒット:8打者連続無安打
右肩痛で8月に強制的にシーズン終了
ダブルA昇格後9試合目(2019年13試合目)となった6月13日、マイズは明らかに様子がおかしくなり、3回途中で降板(Score)。最後の投球は85mphだったと言われています。このとき、右肩痛を発症していました。翌日、すぐにMRIで検査したところ、重大な状態ではありませんでした。
約1ヶ月、様子見をし、7月10日にシングルAでリハビリ投球を開始。2試合4.2イニングに登板。
7月21日に再びダブルAに昇格。8月17日まで6試合26.2イニングに登板。タイガースは球界の宝を潰してはならないと判断し、残りのシーズンの登板を止めさせました。
結局、2019シーズンは2レベルで21試合、109.1イニングに登板。8勝3敗、ERA 2.55 、奪三振は106。HR 9は0.4、BB9は1.9、SO 9は8.7。
回復は順調そう!@2020スプリングトレーニング
2020年のパンデミック前のスプリングトレーニングでは2試合に登板。右肩痛はおさまっていました。順調に回復し、このまま行けば夏、早くて6月にメジャーデビューかと思われていました。
武器はスプリット
ファストボールが最速で97mph、平均で93-95mphを投げ、スライダー、スプリットが球種。なんと言っても武器は”Unhittable”とまで言わしめるスプリット。アメリカの若い投手でスプリットが武器なのは珍しいです。
とにかく、完成度が高い彼の投球が待ち遠しい限りです。
風貌・フォーム
ケイシー・マイズの風貌はどこかゲリット・コールと似ているところがあるなと思います。彼のように活躍してもらえればよいなと思います。
そしてフォームですが、2019年は肩を痛めましたが、これは急な登板増による炎症であればよいなと思っています。そもそも肘を高く上げる投げ方なので肘への負担がそれほどかからないよい腕の使い方ではないかとも思っています。
その肘を高く上げて投げるスタイルはどこかジャック・モリスの投げ方にも似ているようでもあります。タイガースOBで通算254勝、野球殿堂入り。モリスのキャリア後半、ツインズ時代の投げ方が割と近いかもしれません。
いずれにせよ、いい投手とイメージが重なります。
その2へ続く
お読みいただき、ありがとうございました。
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