超有名選手もクラブオプション拒否
現地2020年10月30日の情報です。2021シーズンに向けた契約の動きを記載しておきたいと思います。
この冬は非常に厳しいFA市場となりそうなのは、今シーズンオフの初日の記事にも書かせていただいた通りです。
とりわけ長期契約が終了し、単価が高いままのベテラン選手は一様に厳しいお話になっています。
ライアン・ブラウン、ついにブルワーズから離れる
まずはブルワーズのライアン・ブラウンについてですが、生え抜きがついにクラブを離れることとなりました。
ライアン・ブラウンは2011年4月にブルワーズと5年/$105M (2016-20)でサイン。この際、 2021年は$15Mのミューチュアル・オプションがついていました。バイアウトは$4M。
ミューチュアルオプションがつく場合、通常、べスティングオプションのようになんらかの基準成績がつくことが多いのですが、ライアン・ブラウンの場合はそれがありませんでした。一応、期間中にMVPなどを獲得すると年間のサラリーが上がる条項はありました。もしMVP、シルバースラッガー賞、ゴールドグラブを獲得するなら、$20M/年に上がるというものです。そして上がった分は繰延払い。しかし、それは実現せず。
2011年にMVP
ライアン・ブラウンは2021シーズンで37才のシーズンを迎えるベテラン外野手で、ブルワーズの顔のような選手でした。2005年のアマチュアドラフト1巡目でブルワーズから指名されてプロ入りして以来ブルワーズ一筋。
2007年に23才でメジャーデビュー。その後は輝かしい成績が続いていました。
- 2007年 ROY
- 2011年 MVP
- オールスター: 6 度出場 (2008-2012、2015)
- シルバースラッガー賞:5度受賞(2008-2012)
- シーズン安打数1位:2009年/ 203
- Runs Scored 1位: 2012年/ 108
- HR 1位: 2012年/ 41本
マイアミのPEDS問題
通算1963安打、452HR、Av. 296 (現地2020年10月31日時点)を誇るライアン・ブラウン。上記の契約でもサラリーが上がる条項がありましたが、それは実現しませんでした。なぜか?
それは2013年に大問題となったマイアミの診療所のPeds(Performance Enhancing Drugs)の摂取の疑いが発生したのが災いしました。A・ロッドが現役最後に直面したあの問題です。メルキー・カブレラ、ネルソン・クルーズなども名前が上がっていました。
ライアン・ブラウンは実は2011年から使用の疑いがありました。よって、MVPを獲得した2011年、HRタイトルを獲った2012年もその力を借りたのでは?という疑いがあり、せっかくの素晴らしいアウォードにもケチがついてしまったことも。
結局、2013シーズンは7月21日を最後に、その年の残りをサスペンションでサイドラインに下がりました。
大スターへの道を歩んでいたのに、これを機に数字が目立たなくなりました。それだけでなく怪我も多かったです。そうは言っても2019シーズンにおいても22HRを放ち、やはり長距離バッターとしての力はあります。
ライアン・ブラウンはメジャー14年を過ごしたブルワーズから去るということになりました。
コーリー・クルーバーもオプションを行使されず
テキサス・レンジャーズは現地2020年10月30日、右腕のコーリー・クルーバーとの2021年のクラブオプションを行使しないことを表明しました。
2020シーズンはトレードでレンジャーズに
コーリー・クルーバーは2019年12月にインディアンスからレンジャーズへトレードで移籍。詳細は下記に記載しています。
蛇足ですが、このトレードでインディアンスに移籍することになったエマニュエル・クラセはPeds使用で80試合のサスペンションを受けています。
現契約
コーリー・クルーバーの現在の契約は2015年4月にインディアンスと契約延長した際のそれが残っています。
- 5年/$38.5M (2015-19) + 2020-21クラブオプション。
このうち2020年はインディアンスが$17.5M($13.5M+サイヤング賞獲得によるベースアップ+$4M)のクラブオプションを行使。トレードはこの行使が終わってから行われたものです。なお、トレードされた場合、$1Mという条項もついていたのでそれも受け取っています。
そして2021年のクラブオプションは$18M($14M+$4M)で、バイアウトが$1Mだったのですが、レンジャーズがこれを行使しなかったということになります。
サイ・ヤング賞2度受賞
コーリー・クルーバーの輝かしい成績は、やはりサイ・ヤング賞を2度も受賞している点にありますね。2014年と2017年です。
通算勝利は98勝58敗。勝率は驚異の.628 !
2020シーズンは開幕直後の7月26日に1試合、1イニングを投げて終了していました。
コーリー・クルーバーもサラリーの単価が高いことがこの冬のFAでは高いハードルになるかもしれません。
2021シーズンは4月10日に35才となります。
ヤンキース、ガードナーとのオプションを拒否
現地2020年10月30日、ヤンキースのブレット・ガードナーもクラブオプションの行使を拒否されました。
ヤンキースとガードナーは2019年12月に1年/$12.5M (2020) でサイン。2021年 は$10Mのクラブオプションでバイアウトは$2.5M。
ガードナーのクラブオプションを拒否したことでヤンキースはバイアウトの金額を引いた$10Mを浮かすことが出来ました。
もうヤンキースのOFは素材がたくさんいますから、机上の戦力計算で行くと、こうなることはほぼわかってはいましたが、スペック以上の活躍を見せるのが生身の人間であり、ベテランの知恵と経験です。
チームプレーに徹する姿も素晴らしい選手ですので、ちょっと勿体ない気もしますね。
ブレット・ガードナーは2021年に37才のシーズンを迎えます。おそらくどこかには決まるとは思いますが、単価は叩かれそうなそんな気配です。
以上です。
お読みいただき、ありがとうございました。
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