フィリーズ、ディディをDFAに
現地2022年8月4日、フィラデルフィア・フィリーズはSSのディディ・グレゴリアス(Didi Gregorius)をDFAとしました。
大物選手のDFAはかなり衝撃的ですが、冷静に見ると致し方ない決断でもありました。
ここ2年、打撃で苦戦
ディディ・グレゴリアスは2012年にレッズでデビュー。デビューイヤーのオフの2012年12月にレッズ、Dバックス、インディアンスの3チームトレードでDバックスに移籍しました。かなりの大きなトレードでトレバー・バウアーもDバックスからインディアンスに動いたトレードでした。
輝きを放ったのはDバックス時代。とんでもないSSが出てきたなというのがその印象でした。その身体能力の高さには驚かされたものです。
Dバックスには2年在籍。2シーズンで計183試合に出場し、打率.241、OBP .314、SLG .368、HR13、二塁打25。
ジーターの後継
デレク・ジーターが2014年を最後に現役引退となった後、ヤンキースはSS獲得に動きました。そして2014年12月、Dバックス、タイガースとの3チームトレードでディディ・グレゴリアスを獲得。なお、このトレードにはロビー・レイ(DET→ARI)、シェーン・グリーン(NYY→ARI)も動きました。
ヤンキース移籍後のディディの活躍はご承知の通り。途中、トミー・ジョン手術などもありましたが、2015年から2019年までの4シーズンで660試合に出場。打率.269、OBP .313、SLG .446、HR97、RBI360、Run 334、安打数 659。
2019年オフにFAとなり、ジョー・ジラルディがフィリーズの監督になった縁でフィリーズに移籍。
2020年、フィリーズ1年目は短縮シーズンでしたが、打率.284、HR 10といい数字を残しました。
2021年1月にフィリーズと2年契約。これが現在の契約となります。2年/$28M(2021-2022)。今季は契約のファイナル・イヤーでもありました。
ここ2年は打撃でかなり苦戦しました。2021年は打率.209、HR 13、今季は63試合で打率.210、HR 1。さすがのこの成績では厳しかったです。
なお残債はフィリーズが負い、もしもディディが他クラブに行く場合は、新クラブが支払うサラリーはメジャー最低年俸$0.7Mの日割りということになります。
ジーン・セグラが復帰
フィリーズはトレードデッドライン後にロスターをアップデートしました。ちょうどタイミングよく、現地2022年8月4日にジーン・セグラが復帰。ディディのDFAはその他の選手も含めた40manロスターの枠を空けるために行われました。ジーン・セグラは5月31日のジャイアンツ戦で右手中指に死球を受けて骨折。60Day ILとなっていました。
ストットが軌道に乗る
セグラが離脱中、2BもしくはSSとしてブライソン・ストットが成長したのが大きいです。
ブライソン・ストットはディ・ディと3Bのアレック・ボームがともに2021年に故障したため、開幕から3B、2B、SSと内野の各ポジションで出場機会を得ました。ところが、24才のルーキーは打率.133と大苦戦で、4月25日にマイナーにオプションで戻されました。
ところが、5月7日にディディが左膝を傷め、ILに入ったことでストットは再びメジャーに。ただ、5月はやはり苦戦が続きました。さらに悪いことに上述のようにジーン・セグラが5月31日に右手中指を骨折。
しかし、開幕から約2ヶ月が過ぎ、ストットはようやくメジャーの投手に慣れてきたようで、6月からは打撃が改善。この6月と7月の2ヶ月で打率.232、OBP .304、SLG .396、HR 7と数字が上がってきました。
ストットのシーズン成績は前半2ヶ月の不振の影響でまだ打率は.198(現地2022年8月4日時点)ですが、彼の成長もロスター・アップデートに伴うディディのDFAを決断させた要因でしょう。その意味ではディディには申し訳ないですが、新陳代謝はヘルシーとも言えそうです。
フィリーズのトレードデッドライン
フィリーズはこのトレードデッドラインで、以下の選手を獲得。
- 【from LAA】ノア・シンダーガード(Noah Syndergaard/29)RHP
- 【to LAA】ミッキー・モニアック(Mickey Moniak/24) OF/右投げ左打ち/ 2016年1巡目
- 【to LAA】ジャディエル・サンチェス(Jadiel Sanchez/21)OF/右投げ両打/ 2019年12巡目
- 【from CHC】デービッド・ロバートソン(David Robertson/37)RHP-CL
- 【to CHC】ベン・ブラウン(Ben Brown/22)RHP/ 2017年33巡目
- 【from LAA】ブランドン・マーシュ(Brandon Marsh/24) OF/右投げ左打ち
- 【to LAA】ローガン・オホッピー※(Logan O’Hoppe/22) C/ 右投げ右打ち/ 2018年23巡目
シーズン前にはディディの調子もあり、SSのアップデートを行いたかったフィリーズですが、それが叶わず。しかし、上述のようにインハウスからいい戦力が育ってきました。
今度は貢献を!ロバートソン
やはり投手力が鍵になるのですが、その意味でクローザーのデービッド・ロバートソンを獲得したのは良かったと思います。彼の場合は復帰ですね。前回の2年契約では故障もあり、2019年に7試合を投げただけ。
今回はその分を取り戻せという感じになります。現在はサラントニー・ドミンゲスがERA1点台と素晴らしい仕事をしているので、ロバートソンの加入によりブルペンが非常に厚くなりました。今季、ブラッド・ハンドもいいですからね。
シンダーガードは?
ノア・シンダーガードはローテーションをこなせるとは思いますが、かつての無双ぶりはしばらくは拝めそうもない状態かと思っています。
現地2022年8月4日、フィリーズ・デビューを果たして1勝を上げましたが、内容が悪すぎました。降雨コールドで勝利投手になったものの、5回で被安打11、4失点。2時間のディレーなどもあり、非常に難しいコンディションでしたので、さすがに次の機会までは評価できないとは思いますが、まず一歩目は「どうなのか?」という評価ではあります。
ただ、フィリーズはローテーションのシンダーガードの獲得により、ノラ、ウィーラー、ギブソン、スアレスにもう1枚加えることが出来たのは大きいですね。ゆとりを感じます。それだけでも効果は大きいかもしれませんね。
ブランドン・マーシュも4日のナショナルズ戦に出場。9番CFで出場し、1安打を放っています。フィリーズのOFは強烈な打撃陣なので、ハーパー復帰後はロスターに残れるのかどうか、厳しい立場ではあります。キャッチング・プロスペクトのオホッピーを出してのマーシュですから、期待はされています。
以上、お読みいただき、ありがとうございました。
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