BOS&PHI間でトレード成立
2020年は8月31日がトレードデッドライン。
現地2020年8月21日、そのトレードデッドラインまであと10日と迫ったところでレッドソックスとフィリーズ間でトレードが成立しました。
レッドソックスからはリリバー・ライティー2名がフィリーズへ、そしてフィリーズからはスターター候補の2名がレッドソックスへ動きます。
トレード概要
今回のトレードで動くのは以下の4名。
まず、レッドソックスからフィリーズへ動くのはリリーバー右腕の2人。
(フィリーズGet)
- ブランドン・ワークマン(Brandon Workman)
- ヒース・ハンブリー(Heath Hembree)
フィリーズからレッドソックスには以下の2名が動きます。
(レッドソックスGet)
- ニック・ピベッタ(Nick Pivetta )
- コナー・シーボルト(Connor Seabold)
BOS、キー・リリーバーをトレード
トレードは何かを得ると同時に何かを失うということでもあるので、決断が必要です。
今回、レッドソックスは苦戦しているスターターを補強できたと同時にここ2年間、リリーバーとして活躍してきた右腕2名を失うという決断を行いました。
今回トレードに出す2名は2020シーズン、リリーバーとして厳しい数字になっています。
(現地2020年8月21日時点)
- ブランドン・ワークマン:7試合、ERA 4.05
- ヒース・ハンブリー:11試合、ERA 5.59
ただ、現時点でリリーバー2名を失うことは大きな賭けでもあります。それは2018年から2019年へと続くスターターの陣容とリリーバーの陣容を比べればわかりやすいかもしれません。
【2018年/2019年スターター比較】
2018年 | 2019年 |
リック・ポーセロ:17勝7敗 デービッド・プライス:16勝7敗 クリス・セール:12勝4敗 エドゥアルド・ロドリゲス:13勝5敗 ネイサン・イオバルディ:3勝3敗 | エドゥアルド・ロドリゲス:19勝6敗 リック・ポーセロ:14勝12敗 クリス・セール:6勝11敗 デービッド・プライス:7勝5敗 ネイサン・イオバルディ:2勝1敗 |
さすがに2018年のスターター陣は非常にパワフルでした。ローテーション4名が二桁勝利。うち、15勝以上が2名。しかも勝率が非常にいいですね。
ところが、2019年はクリス・セールの肘痛に加え、ネイサン・イオバルディも肘の関節ねずみのクリーニングでシーズン離脱。頼みのプライスも不調で、エドゥアルド・ロドリゲスがかなり頑張ったものの、リック・ポーセロも勝率が上がらず苦戦しました。
編み出された2019年のパッチワークリレー
そこで2019シーズン、苦心の末に編み出したのは、パッチワーク・リレー。これはもう奇跡的というしかないほどの綱渡りに次ぐ、綱渡りのリレーで、前年王者のプライドもあり、出てくる投手が期待どおりのピッチングを見せてくれました。
しかし、その奇跡的なパッチワーク・リレーも最後は王道に敵わず、シーズン終盤、ポストシーズンから離脱することとなりました。
ではその王道とは何なのか?ですが、ゲーム終盤のセット・アップ、クルーザーがいるという状態が王道かと思います。
チャンピオンとなった2018年のリリーバー陣です。
【2018年のレッドソックスのリリーバー】
- クローザー:クレイグ・キンブレル 63試合、5勝1敗、ERA 2.74、42SV
- ヘクター・ベラスケス:47試合、7勝2敗、ERA 3.18、0SV
- ジョー・ケリー:73試合、4勝2敗、ERA 4.39、2SV
- マット・バーンズ:62試合、6勝4敗、ERA 3.65、0SV
- ヒース・ハンブリー:67 試合、4勝1敗、ERA 4.20、0SV
- ブライアン・ジョンソン:38試合、4勝5敗、ERA 4.17、0SV
- ブランドン・ワークマン:43試合、6勝1敗、ERA3.27、0SV
セットアップに、ジョー・ケリー、ヘクター・ベラスケス、あるいはマット・バーンズがいて、彼らが終盤に相手に傾きかけた流れを断ち切った、そんな展開が多かったです。
その意味でジョー・ケリーはいい仕事をしてくれたと思います。負け数もそれなりに数えましたが、彼の剛速球が何度も相手チームを成敗しました。セットアップはかなりのリスクを背負うので数字が悪くなるのはいささか仕方ないところでもあります。
そしてクレイグ・キンブレルがクローザーとして君臨していたことはやはり大きかったです。キンブレルがいれば1点差ゲームでも逃げ切れたからです。
信頼感のあるクローザーがいるということは味方のブルペンにとっても救いですし、そして打撃陣もプレッシャーは減ったはずです。絶対的な守護神がいるというのはやはり多大な好影響があります。
では2019年のリリーバーを見てみますとご覧の布陣でした。
【2019年の主なリリーバー陣】
- クローザー:ブランドン・ワークマン 73試合、10勝1敗、ERA 1.88、16SV
- マーカス・ウォルデン:70試合、9勝2敗、ERA 3.81、2SV
- マット・バーンズ:70試合、5勝4敗、ERA 3.78、4SV
- ライアン・ブレイジャー:62試合、2勝4敗、ERA 4.85、7SV
- コルテン・ブルーワー:58試合、1勝2敗、ERA 4.12、0SV
- ヘクター・ベラスケス:34試合、1勝4敗、ERA 5.43、0SV
- ヒース・ハンブリー:45 試合、1勝0敗、ERA 3.86、0SV
- ブライアン・ジョンソン:21試合、1勝3敗、ERA 6.02、0SV など総勢16名
まず、キンブレルがいなくなったことで、後ろへの不安が増大。それに2019年はスターターが2名しか機能しなかったのがきつかったです。ゲーム序盤で先発が崩れ、それをなんとか打撃陣がカバー。複数人のリリーバーでつないで行くも、途中逆転され、また勝ち越し、なんとか逃げ切ったという非常にしんどい展開のゲームを演じていました。
リリーバー陣の勝利数の多さが終盤にいかに逆転したかを物語っていますね。
2020年もスターターが揃わず
やや長くなりましたが、レッドソックスは2020年もスターターが機能してません。
ゆえに補強ということにもなるのですが、現実的にブルペンがいないとさらに厳しい展開にもなりかねません。
ハイム・ブルームCBO(Chief Baseball Officer)はそこを決断したというのが今回のトレードのポイントです。
残り30試合ほどだとして、果たしてこの決断がどうなるのか、求められる眼の前の勝利も拾えるのかというのが近視眼的になりがちなファンの心配ごとでもあります。
選手概要
フィリーズが獲得した2人は上記の2018から2020への概要で活躍の度合いがわかるかと思いますが、一応簡単に記しておきます。
【PHI Get】ブランドン・ワークマン
ブランドン・ワークマンは1988年8月13日生まれで、32才になったばかり。2010年レッドソックス2巡目指名の投手です。なお、高卒時の2007年にもドラフトでピックされました。それがフィリーズ。3巡目指名でした。やはり縁があったのでしょうか!?
MLBデビューは2013年。もともとはスターターです。2014年には15スタートを任せられるも1勝10敗、ERA5.17 と結果が出ず。それもそのはずで2014シーズンオフにトミージョン手術を受けています。
2015年は全休。2016年もマイナーで10試合投げたのみ。本格復帰は2017シーズンからで、このシーズンは3AとMLBを往復。2018シーズンも3Aで開幕を迎えましたが、シーズン後半からMLBへ。上記の通り、リリーバーとして機能しました。
【PHI Get】ヒース・ハンブリー
ヒース・ハンブリーは1989年1月13日生まれの31才。2010年のドラフトでジャイアンツから5巡目指名され、プロ入り。
デビューはジャイアンツ時代の2013年。9試合でERA0.00。
2014年はトリプルAで開幕。
そしてその年のトレードデッドラインの2014年7月26日、レッドソックスがジェイク・ピービーをジャイアンツに出したトレードで、交換要員としてジャイアンツからレッドソックスに移籍してきたのがヒース・ハンブリーでした。
2014年はトレードデッドライン後からメジャーで投げ、22試合でERA3.55。
2015年は22試合、2016年は38試合に登板。
2017年から2019年の3年間はリリーバーとして活躍。この3年間のトータルは174試合、161.2イニングを投げ、7勝4敗、ERA 3.90。
【BOS Get】ニック・ピベッタ
ニック・ピベッタは1993年2月14日生まれ。現地2020年8月22日時点で27才。カナダ出身で2013年アマチュア・ドラフトでナショナルズから4巡目指名され、プロ入り。デビューは2017年4月30日。
2017年から2019年の3年間で89試合で71スタート。19勝30敗、ERA 5.34。
デビューはよかったものの、伸び悩んでいる真っ最中です。ただ、本来はファストボールが良いので、BOSに移籍したことでまた復活するか?というところです。
【BOS Get】コナー・シーボルト
コナー・シーボルトは1996年1月24日生まれの24才。右腕です。
2017年アマチュアドラフトでフィリーズから3巡目指名を受け、プロ入り。なお、高卒時にもドラフトにかかっており、オリオールズから19巡目指名でした。
メジャー・デビューはまだです。
マイナーでの実績はほぼスターター。マイナー通算11勝11敗、ERA 3.52。
BOSは暫定でマット・バーンズをCLに
クローザーとして起用していたブランドン・ワークマンをトレードに出したレッドソックスはマット・バーンズを暫定のクローザーに据えました。
ロン・レニキー監督もあくまで暫定としています。マット・バーンズは2020シーズン、10試合1SV、ERA 5.06。
また、トレードで獲得した2人をマイナーのトレーニング施設に送っています。
9連敗したあと、現地2020年8月21日にようやく3連勝し、盛り返しの気配が出てきた状況でのトレードが吉と出るか。
これで勝っていければハイム・ブルームCBOも面目躍如となるのですが、どうなるでしょうか。3連勝は打線につながりが出始めたのが大きいです。そしてダーウィンゾン・ヘルナンデスの復帰も視野に入れているのでしょう。
お読みいただき、ありがとうございました。
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