CIN:デビューしそうなOFと再契約
久々にディールの話題です。と言ってもロックアウト中ゆえ、マイナーディールのお話です。
現地2022年1月7日、シンシナティ・レッズがOFのロレンゾ・セドロラ(Lorenzo Cedrola)とマイナーディールを成立させました。このロレンゾ・セドロラはプレーヤーとしてもなかなか面白そうな素材であるという点と、過去にレッドソックスからレッズへ移籍した経緯にインターナショナル・サイニング・プールが絡んでいてちょっとおもしろかったので取り上げてみました。
ロレンゾ・セドロラはメジャーのスプリング・トレーニングに参加します。NRI(ノン・ロスター・インバイティー)です。
小柄ながらパンチ力あり!
このロレンゾ・セドロラは、ベネズエラ出身の24才(2022年開幕時点)。誕生日は1998年1月12日です。右投げ右打ちで、身長は5-8で173cmしかありません。細身で体重もBaseball Referenceのページでは68Kg。いずれにせよ、70Kg前後しかありません。
2021年、レッズのダブルAで開幕を迎え437-130で、打率.320、OBP .356、SLG .461をマーク。HRは9本。RBI は61で二塁打16、三塁打7、盗塁は8(盗塁死も8)。
体型やスタッツなどからスピード及び安打量産型の打者ではありますが、それにしてもダブルAでHR8は相手投手からすると、HRの可能性を消せない数字であり、そういう配球を考える必要が出て来て、なかなか厄介です。トリプルAでは9試合で35-9でHRはゼロではありましたが、9月23日に上がって10日ほどの在籍でしたので、これは致し方ないというところでしょう。
下記は2021年トリプルAでの打席。いい選手なんです。
Bats fans, let us introduce you to Lorenzo Cedrola 👊 pic.twitter.com/ouyUecISQ6
— Louisville Bats (@LouisvilleBats) September 24, 2021
レッズのOF争いとトレード
レッズはニック・カステヤーノスがFAになり、1ポジション空きました。捕手のタッカーバーンハートも出しましたので、完全にリビルドですから、カステヤーノスとの再契約はもうないでしょう。
レッズのOFと言えば、秋山翔吾選手がCFにおります。秋山選手も本日はネット上ではトレードの可能性も示唆されていますが、これはロックアウトが終わってからでないとわかりません。そのほかに、アリスティデス・アキーノ、ジェシー・ウィンカー、ニック・センゼル、タイラー・ネイキンなどの逸材もおりますが、このロレンゾ・セドロラも食い込んでくる可能性があり、非常に競争が激しいです。
秋山選手がトレード候補として名前が上がるのはサラリーの点でしょう。3年/$21M (2020-22)という契約で、2022年のサラリーは$8Mと高額です。アキーノ、センゼルともまだMLSが2.000前後でサラリーもMLBのミニマムの$0.58M近辺ゆえ、彼らと比較するとそのような噂も出るのでしょう。ここはレッズのフロントオフィスがどう考えるかですね。
このロレンゾ・セドロラも昇格となると、確かにトレードの信憑性は出てきます。ただ、レッズの場合は、まずソニー・グレイや、ルイス・カスティーヨらのローテーション投手をどうするか先に着手すると思われます。
もっとも、その間にOFのトレード話がマッチすれば彼らより早く決まるとは思いますが、優先順位としてはまずは投手かと思います。
R・セドロラとインターナショナル・サイニング・プール
さて、ロレンゾ・セドロラですが、実は元々はレッドソックスの選手でした。2015年、17才のときに、レッドソックスとサイン。
2015、2016とドミニカのルーキーリーグと本土のルーキーリーグに在籍。2017年からクラスAに昇格。2018年もクラスAで開幕を迎え、シーズン途中にレッズへトレードされました。
レッドソックスとしてはまあまあの逸材を手放したことになります。
2018年にレッズへISPと交換でトレード
レッズへのトレードの経緯ですが、選手とのトレードではなく、インターナショナル・サイニング・プールの金額枠とのトレードでした。
下記は2018年の打撃。レッズへ移籍後のクラスA、Dayton Dragons (デイトン・ドラゴンズ)で放ったグランドスラム。
Lorenzo Cedrola hit a grand slam for Dayton on Friday night to put the Dragons in front for good. He got all of it, too. pic.twitter.com/UHz1u5Hq40
— Doug Gray (@dougdirt24) July 28, 2018
インターナショナル・サイニング・プールというのは、海外FA選手を獲得する時に、金持ちクラブが高すぎる契約金で釣って買い漁らないように予め契約金(サイニング・ボーナス)の上限を設けた金額枠のことです。
2018年のレッドソックスのISP
ロレンゾ・セドロラを出してレッドソックスはレッズからいくらの金額枠を増やしたのかというと、$1.5 Mも増やしました。
レッズは金額枠をレッドソックスに上げただけで実際の支払いなどはありません。
しかし、実際はセドロラにはそれくらいの価値がついていたということも言えます。
インターナショナル・サイニングは夏から翌夏の間、約1年間オープンとなります。2018年の場合は7月2日から翌2019年6月15日まで。
レッドソックスは開始当初、約$4.98Mの枠がありました。しかし、ブレイク・スワイハートをDバックスへトレードに出した時、$0.5Mの枠も一緒に送ったのです。ということは、$4.48Mほどの枠に減った訳ですね。
それでは枠を突破してしまうということで。レッズから$1.5M枠をトレードで獲得して増やし、約$5.98Mにしました。
結果ですが、レッドソックスは1年間に44名の選手を獲得。使った契約枠は$5.8Mとギリギリに抑えたのでした。おそらく、枠が足りなくなったので、トレードでレッズからもらったということでしょう。
なお、2018-19の間にレッドソックスがサインした海外のアマチュアFA選手は、$1.15Mでサインしたドミニカ共和国のエドゥアルド・ロペス(OF)、$0.55Mでサインしたパナマのエドゥアルド・ボーン(OF)などが高額選手。最低額でサインしたのは、ドミニカ共和国のRHPのYorberto Mejicanoで、$5,000でした。
海外アマチュアFAで中米の選手はほぼ17-19才の間でサインするので、2021年1月時点でもまだ20-21才というところ。現地2022年1月7日時点では、レッドソックスのトッププロスペクト30には誰も名を連ねておりません。
ちなみに、澤村投手もインターナショナル・サイニングでの獲得になりますが、金額枠は削られない資格でした。
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