レッドソックス、ベテラン左腕を獲得
日本時間2021年12月21日、いよいよ2021年もあと10日を残すばかりとなりました。年末の押し迫っている中、MLBはまだまだロックアウト中でございます。
本日もロックアウト前に駆け込みで成立したディールで書ききれなかったものをフォローしておきたいと思います。レッドソックスとリッチ・ヒルのディールについてです。
リッチ・ヒルとBOSの契約
レッドソックスとリッチ・ヒルとのディールはもう旧CBAの期限ギリギリの現地2021年12月1日に成立。
契約自体はジェームズ・パクストンの時と違い、非常にシンプルなもの。
- 1年/$5M (2022)
- パフォーマンス・ボーナス
- $0.25M/ 110, 110 IP
- + $0.50M/ 130, 140 IP
- + $0.75M/ 150, 160 IP
- パフォーマンス・ボーナス
ベース・サラリーは$5M。そしてパフォーマンス・ボーナスとしてIP(イニング・ピッチド)ごとに、上記金額が設定されました。
パフォーマンスボーナスは設定IPごとに単価が変わり、加算されていく方式。仮に2022年に170 IPに達すれば、$0.5M($0.25M x 2)、$1.0M($0.5M x2)、$1.5M ($0.75M x 2 )が加算され、MAXで$3Mのインセンティブになる設定です。
リッチ・ヒルは若い頃は鳴かず飛ばず
リッチ・ヒルは1980年3月11日生まれの41才。2022シーズン開幕には42才になっています。知名度の割にサラリーが$5Mというのはこの辺が関係しています。
また、キャリア17年で通算74勝52敗と意外な数字も出しています。この辺のなぞを解き明かします。
ドラフトは2002年カブスの4巡目指名。ミシガン州の大学の出身で中地区のクラブが密集している周辺の出身です。
2007年、カブスで11勝
デビューはカブス時代の2005年。25才の時です。
本格稼働は2007年で32スタートを任され、195.0イニングを投げ、11勝8敗、ERA 3.92。この年、ナ・リーグ中地区を制覇したカブスはNLDSに進出。リッチ・ヒルもGame3に先発しましたが、3回を被安打6、失点3で降板。カブスはDバックスにスイープされたのでした。
この年の素晴らしい活躍でキャリアにはずみをつけたかったところですが、ここから怪我に悩まされ、鳴かず飛ばずと言っていい状態が長年続きます。
言ってみれば、この年の活躍が以降2015年までの8年間を苦しめた元凶と言っていいかもしれません。
レッドソックスでの1度目は爪痕を残せず
カブスには2008年まで4シーズンを過ごし、2009年はオリオールズで3勝3敗(13スタート)。そして2010年から2012年までレッドソックスで3シーズンを過ごしました。この間のリッチ・ヒルは先発なし、40試合で31.2イニングでERA 1.14、2勝0敗。3年間で1シーズンほどの稼働しか出来ませんでした。
2013年のインディアンスでは63試合、38.2イニングと頑張りましたが、ERAは6.28と厳しい数字に。その後はエンゼルス、ヤンキースと渡り歩くもリリーバーとして良い結果は出せませんでした。
2度目のレッドソックスでシンデレラ・ボーイに
2015年、気づけばリッチ・ヒルも35才のベテラン左腕に。この年はFAとしてナショナルズとサインするも、メジャーでの登板実績はなく、6月後半にリリースされます。
そんな中、レッドソックスが2015年8月14日にサイン。このディールがまさか、こんな転機になるとは!と驚く事態を迎えます。
2015年、この年のワールドシリーズを制覇したのはカンザスシティ・ロイヤルズでしたが、レッドソックスは2013年にワールドシリーズ・チャンプになった後、2014年は最下位、そして2015年も最下位を疾走。
そんな秋風が吹くフェンウェイで誰も期待していなかったリッチ・ヒルが9月13日にシーズンデビュー。お世辞にも華やかとは言えない状況でした。
ところが、誰も期待していなかったリッチ・ヒルが快投を演じたのです。それがこの4スタート。
【リッチ・ヒルの運命の4スタート】
- 2015/9/13 @ TBR : 7回を被安打1、無失点、奪三振10。勝利投手にはならなかったものの、チームは2-0で勝利。
- 2015/9/20 @ TOR: 7回を被安打7、失点3、奪三振10の好投でシーズン初勝利
- 2015/9/25 vs BAL :オリオールズをシャットアウト!9回、被安打2、奪三振10
- 2015/10/1 @NYY: 6回を被安打4、失点2、奪三振6。惜しくも敗戦投手ながら好投
4試合で29イニングを投げ、2勝1敗、ERA 1.55、奪三振36、BB 5、HR 2。
まさにこの運命の4試合でリッチ・ヒルは大ブレーク!以降、引く手あまたのスターター左腕としての地位を獲得したのでした。
2016年以降、ERAは4点を超えたことがない
レッドソックスでの大ブレークの後、2016年、アスレチックスとサインしたリッチ・ヒルは、前半戦で9勝3敗、ERA 2.25をマーク。まさに覚醒しました。ポストシーズンを見込み、ドジャースがトレードデッドラインでヒルを獲得。2016年はトータルで12勝5敗、ERAは2.12。これが36才のシーズンです。
ドジャースには2019年まで在籍。なお、2017年には、パイレーツを相手にニア・パーフェクトまで達成!
まさに絶好調です。
2020年の短縮シーズンはツインズへ、2021年はレイズ、メッツと「来てくれ」と言われてサインする立場に。
すごいのが、2016年以降、ERAが4点を上回ったことがありません。
- 2016: ERA 2.12
- 2017: ERA 3.32
- 2018: ERA 3.66
- 2019: ERA 2.45
- 2020: ERA 3.03
- 2021: ERA 3.86
レッドソックスはこれで、クリス・セール、ネイサン・イオバルディ、ニック・ピベッタに加え、マイケル・ワカ、ジェームズ・パクストン、そしてリッチ・ヒルと枚数は揃いました。他にも場合によっては先発としてタナー・ハウク、ギャレット・ウィットロックも控えます。ハウクは先発で起用してもらいたいところですが、ローテーション候補に入れるかどうか、スプリング・トレーニング次第というところですね。
42才のシーズン、レッドソックスで再び輝いてもらいたいですね。お読みいただき、ありがとうございました。
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