ここに来てブルペンに着手
現地2022年8月28日、ボストン・レッドソックスはここに来てブルペンの陣容に手を加えました。澤村 拓一投手と左腕のオースティン・デービスをDFAにすることに決定しました。
この日、レッドソックスはレイズとの3ゲームシリーズの最終戦を4-12で落しました。Game1、2と連勝し、内容の良い戦いを見せていたのですが、この日は先発のニック・ピベッタが5イニングで被安打8、失点5とゲームメイクが出来ずに降板。
3-5のスコアで6回から登板した澤村投手が、2点のビハインドをキープ出来ず、傷口をさらに広げる3失点を献上。これで打線も挽回の芽が消えました。さらに8回にはオースティン・デービスが代わってから5者連続出塁を許すなど4失点(自責点は2)。結果、4-12の大敗となったのでした。
ゲーム後、二人にはDFAが告げられたのでした。
澤村投手のDFA
34歳の澤村投手は、メジャー2年めとなった今季、49試合に登板し、50.2 IPでERAは3.73。この数字だけを見ると、後半を任される投手としてはいい数字に見えるのですが、内容は正直に言って良くなかったです。
NPBが誇るパワーピッチャーでもあった澤村投手がその球威でねじ伏せた場面もありましたが、それは限られた状況の方が多かったというのが実情でありました。
ビハインドでの登板
というのも、澤村投手の登板はビハインドの状況が多かったのです。
49試合のうち、リードした状況での登板は13試合、タイスコアでの登板は5試合、そしてビハインドの状況での登板は31試合です。ホールドが3、セーブシチュエーションでのホールドも3でした。
そのきっかけとなったのは現地2022年4月30日の@オリオールズ戦。これで僅差のリードで任せるという信頼を失いました。
このゲームは初回にレッドソックスがトレバー・ストーリーとザンダー・ボガーツのコンビで1点を上げ、それを先発のネイサン・イオバルディが7回まで被安打3、スコアレスで締めていました。
8回裏に、2番手のマット・バーンズがアンソニー・サンタンダーにタイムリーを許して1-1のタイゲームに追いつかれましたが、その後は、ライアン・ブレイジャーも9回裏をスコアレスでしのぎ、1-1のまま延長に突入。
レッドソックス打線もこの頃はまったく打てない時期で、初回の1点を上げたのみ。
延長10回裏にマウンドに上がったのが澤村投手でした。オートマティック・ランナーがつき、まずは先頭のライアン・マッケナを申告敬遠。これは作戦ですから致し方ありません。ノーアウト、ランナー1、2塁となり、バッターはロビンソン・チリノスでオリオールズの作戦はバントでした。
澤村投手はバントのチリノスに対してインコースに速いボールを投げ、いい感じの小フライにさせて、そこまでは良かったのです。しかし、その後に中途半端なバウンドに戸惑ったのか、3Bへまさかの悪送球。これでゲームが終わってしまいました。
緊迫した展開が続くゲームで、アマ時代には東都や全日本でも揉まれ、幾度も経験したバント処理を失敗するという厳しい結果でした。これは本人が一番凹んだと思いますので、それ以上は避けたいと思います。
筆者の知る限り、これがきっかけでいい場面での起用は無くなりました。
継承したランナーはほぼ返す
1度か2度失敗したとしてもその後に挽回すれば、またスリリングな場面で起用されていたのですが、今季の澤村投手はその後も挽回できませんでした。
イニングの途中でランナーを継承したまま登板した場合、かなりの確率で本塁へ返しました。
前の投手が残したランナーが33人で、このうち16人をホームへ返しています。実に48%。イニングの途中では出しにくい数字でもありました。
そして50.2イニングで四球は27でHRは4本。HIT 9は8.0でBB 9は4.8、HR9は0.7。HR9が低めなのは、GB%(ゴロ)が49.4%とボールを上げさせなかったため。その点はさすがのパワー投手でした。
ただ、Hard Hit %が44.8%と非常に高かったのは、さらに僅差のリードでの登板を少なくした要因となりました。
今後
澤村投手の契約は以下の通り。
- 2年/$3M (2021-22) + 2023 クラブオプション。
- 支払い:2021-2022:$1.2M/年
- 2023:
- $3M クラブOpt ($0.6M バイアウト)
- もしくは$0.6M プレーヤー Opt ($0.6M バイアウト)
- 2023年の年俸とバイアウトは、澤村投手が2022年のオープニングデーまでにリリースされない場合、それぞれ$0.6M万ずつ増える。
- 澤村投手が2022年のオープニング・デーまでボストンに残留する場合、2021年または2022年の35、40、45、50試合登板でバイアウトが$0.1Mずつ増加する。
- 年間パフォーマンスボーナスとして:35、40、45、50、60試合登板で$0.05M。
2022年のサラリーはすでに$1.8Mに加え$0.15Mを加えた$1.95M、そして2023年のクラブ オプション未行使によるバイアウトも$1.2Mに$0.4Mを加えた額$1.6Mになっています。ひょっとしたらまだ見逃している要素があるかもしれませんが、バイアウトも加えて今季は$3.7M以上になります。
トレードデッドラインが過ぎてしまったので、レッドソックスはアウトライト・ウェーバーにかけるか、リリース・ウェイバーにかけることになり、 もしウェーバーをクリアーした場合(獲得なし)、レッドソックスは今シーズンの残りの年俸と、2023年オプションの$1.6M以上(正確な金額は不明)を負担することになります。
ウェーバーで獲得するクラブが出れば良いのですが、筆者は厳しいという見方をしています。
オースティン・デービスもDFA
さらに澤村選手の通告の前に左腕のオースティン・デービスもDFAとなりました。
オースティン・デービスは今季、50試合、54.1 IPを投げ、ERAは5.47。
4月のERAは10試合で2.89、5月のそれは11試合で0.75と好調な滑り出しを見せたオースティン・デービスですが、6月以降は迷走。8月に至っては10.64にまで跳ね上がっていました。
今季のサラリーは1年/$0.72M (2022)でほぼメジャーのミニマムであったデービスは、左腕ということもあり、ウェーバーでクレームオフされる可能性は大きいです。
It’s too late
しかし、ブルペンへの着手はあまりにも遅すぎました。
ハイムの仕切りなのか?オーナーの意向だったのか?ハイム・ブルームはそもそもブルペン構築が得意だったはずなのですが、レッドソックスに来てからはあまりその手腕を発揮できるどころか、さらに悪化させる結果となっています。
ケリー、オルトがコールアップ
40manの空いたスペースには、右腕のケイレブ・オルト(30)と右腕のザック・ケリー(27)がコールアップされます。なお、二人は救世主という存在ではありません。
オルトは今季、すでにメジャーで投げていますが、結果が出ていません。12試合でERAは9.00。
ザック・ケリーは27歳でメジャー・デビューを果たすことになります。2017年はアスレチックスのマイナー、2018年から2019年はエンゼルスのマイナー。レッドソックスには2021年から在籍。
今季はマイナーでは結果を出していて、ダブルAではERAは1.69、トリプルAでは2.72。ザック・ケリーは楽しみな存在ではあります。
レッドソックスのブルペンは、今季吹き飛飛ばしたセーブ数が23で4位の多さ。さらにリリーバーのERA 4.54は26位(現地2022年8月28日時点)。
結局、このオフはまたしてもブルペン構築という課題と向き合うこととなりました。しかもボガーツとデバースというキーマン2人との契約も未解決のまま。
レッドソックスのオフは忙しくなりそうです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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