レイズ、ワンダー・フランコをプロテクト
いやー、驚きましたね。
現地2021年11月23日、タンパベイ・レイズは2020年、2021年と2年連続で開幕前トップ・プロスペクトランク100で1位に輝き、今季待望のデビューを果たしたワンダー・フランコ(Wander Franco)に超破格の長期契約で囲い込みを行いました。
まずは契約内容を見てみましょう。
契約内容は11年+オプション
表題はMAXの値を書かせていただきました。詳細はこちらです。ちなみにすでにサイン済みです。サラリーの受け取りスケジュールを更新しています(追記)。
- 11年/$182M (2022-2032) + 2033 クラブオプション
- 2033年:$25M クラブオプショ
- サイニング・ボーナス:$5M ($2.5Mずつ/ 2021年12月1日 & 2022年6月1日)
- 支払い:$1M(2022)/ $2M(2023-24)/ $8M(2025) / $15M(2026)/ $22M (2027)/ $25M (2028-2032)/ 2023年 $25Mクラブオプション($2Mバイアウト)
- 11年/$182MのAAV(Annual Average Value)は$16.545M
支払いのスケジュールまでは現時点では公表されていませんが、均等割のAAVで$16.545M。
おそらく、MLS6年が見込まれる2027年までは抑え気味、それ以降はグンと上がるバランスになると思われます。
【サプライズ1】MLS1年未満では史上最高額
ワンダー・フランコはデビューが2021年6月22日でしたから、2022年1月のMLSは1年未満の0.104。今回の契約延長は、MLS1年未満の選手としては史上最高額のディールとなりました。
過去のFA前長期契約
過去のFA前の選手に提示された長期契約を見てみます。
- ロナルド・アクーニャ・Jr. :
- ブレーブスと8年$100M(2019-2026) + 2027-28 クラブオプション
- サイン時のMLSは0.159
- ルイス・ロバート:
- ホワイトソックスと6年/$50M
- デビュー前の延長契約
- エロイ・ヒメネス:
- ホワイトソックスと6年/$43M
- デビュー前の延長契約
- ポール・デヨング:
- カージナルスと6年/$26M(2018-2023) + 2024-25 はクラブオプション
- 2024は$12.5M ($2Mバイアウト)/ 2025は$15M ($1Mバイアウト)
- サイン時はMLS1年未満
- クリス・アーチャー:
- レイズと6年/$25.5M (2014-19) + 2020-21 クラブオプション
- 2020:$9M($1.75Mバイアウト)/ 2021 $11M ($0.25Mバイアウト)
- サイン時はMLS1年未満では最高額
- スコット・キンガリー
- フィリーズと6年/$24M(2018-2023)
同じような待遇ではブレーブスのロナルド・アクーニャ・Jr. の延長契約がMLSの少なさでは似ていますが、AAVの単価がアクーニャは$12.5Mですから、$16.545Mのワンダー・フランコが単価も期間もそれを上回ることとなりました。
【サプライズ2】レイズがクラブ史上最高額を提示
タンパベイ・レイズと言えば、少資本にもかかわらず素晴らしい選手開発のノウハウを活かし、そのレバレッジを効かせ、どんどん戦力にしていく素晴らしさがありますが、いかんせんFA前に放出せざるを得ませんでした。
そのレイズが、この件に関しては勝負をしかけてきた感がありますね。
なんとしても手元に置いて、手放したくないと考えたのですから、そう思わせるワンダー・フランコの魅力がすごいですね。
レイズのこれまでの大型契約で行くと、エバン・ロンゴリア(現SFG)と2012年11月末に6年/$100M (2017-22) + 2023 $13M クラブオプション($5Mバイアウト)が思い出されますが、2017年12月にジャイアンツにトレードされました。
トレードも噂されるケビン・キアマイアーは6年/$53.5M(2017-2022) + 2023 $13Mクラブオプション($2.5Mバイアウト)くらい。
とにかく今回のワンダー・フランコのディールは破格も破格というところですね。
モノが違った!
2001年3月1日生まれのワンダー・フランコは現時点で20才。2022年の誕生日で21才となります。
上記の通り、メジャー・デビューは2021年6月22日。ウィリー・アダムスをブルワーズにトレードに出してまでSSのポジションを空けたレイズでしたが、先に上げたのは同じプロスペクトのテイラー・ウォールズでした。
他のクラブではマリナーズのジャレッド・ケルニックが5月13日にデビュー。2年連続でトップ・プロスペクト100の1位はいつデビューするんだ!とやきもきさせる状況となりましたが、デビューしてその姿を見たとき、誰もがモノが違うと思ったはずです。
43試合連続出塁
デビュー後はもうすごいの一言。281-81、Av.288/ OBP .347/ OPS+ 129、HR7,RBI 39、二塁打18、三塁打5、BB 24。
7月25日のインディアンス戦から9月29日のアストロズ戦まで43試合連続出塁を達成。これは20才以下の選手の連続オン・ベース記録としては1956年のフランク・ロビンソンとタイ。
打撃だけでもこれだけすごかったのですが、さらに輪をかけて素晴らしかったのが、守備。華麗なフィールディング、強い肩、見ていて惚れ惚れするほどの動きでした。
レギュラーシーズンや、ALDSでレッドソックスと対戦したレイズですが、レッドソックスのザンダー・ボガーツも守備には相当定評がありますが、フランコの守備はそれに匹敵するほどの魅力がありました。
本当に楽しみな逸材であると同時に、ア・リーグ東地区の各クラブにとっては厄介な存在になりましたね。これから名勝負を演じてくれるでしょう。
メガディールよりも早めの高額提示の方が良い
メジャー・リーグの契約の弱点は、FAを境に成績が落ちるケースがよくあること。だいたい29才くらいでFAとなり、野手ならまだピークを維持することが出来ますが、投手の場合はピークを過ぎてしまう傾向は強いです。
実際、フィールドで活躍する選手は、MLS6.000未満の選手が多いのも事実。結果、よく働いている選手の待遇は悪くて、怪我で離脱しているベテランが厚遇となっている皮肉なケースが多々見られます。
現時点ではFA前に$1Mを超える額をもらえる選手はごくわずか。もう少しFA前の報酬が上がればとも思います。現在、協議しているCBAがまさにその点も考慮して交渉している訳ですが。
お読みいただき、ありがとうございました。
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