レンジャーズ大攻勢の始まり
日本時間2021年12月4日。CBA失効前に決まった重要ディールについてあらためて記載しておきたいと思います。
現地2021年11月30日、注目FAのマーカス・セミエンがレンジャーズとサインしました。まさかレンジャーズがこんなに攻めてくるとは誰が予想できたでしょうか?ちなみに合意したのは、現地28日。
このディールは、カルロス・コレアをはじめ、コーリー・シーガー、ハビアー・バイエス、トレバー・ストーリーなど今オフにFAとなった大物SSのFAにも影響を与えました。結果、CBA失効前にレンジャーズはコーリー・シーガーも獲得するというとんでもない二遊間(あるいは三遊間)を形成したわけですね。
“I was so impressed…I love the stadium, I love the idea of moving my family here.”
— Bally Sports Southwest (@BallySportsSW) December 1, 2021
Welcome to Texas, Marcus!
Watch the Marcus Semien introductory press conference live: https://t.co/JfPzXYXSCj pic.twitter.com/BqKj5qOMuv
マーカス・セミエンのディール
そのセミエンのディールですが、ラグジュアリー・コントラクトとなりました。
- 7 年/$175M (2022-28)
- 支払い:$25M(2022)/ $26M(2023-27)/ $20M(2028)
おそらく、このディールも大枠のみをまず決めたと思われます。たとえば、このほかに繰延払いなども入るかもしれません。ただ、それらは枠内での処理なので、大きな影響はないと思います。
ドラフトへの影響
マーカス・セミエンはクオリファイング・オファーを提示されていましたが、拒否。そして今回、レンジャーズとサインした訳ですが、そのドラフトへの影響はこのようになります。
ブルージェイズ
まず、QOを断られた側のブルージェイズは、レベニュー・シェアリングを受け取っておらず、尚且つ贅沢税のしきい値を超えていないことから、COM Balance Roud Bの後に選手を獲得できます。抜けた補償ですね。
レンジャーズ
一方、QOを断ったセミエンを獲得したレンジャーズは、前年に贅沢税を超えておらず、且つレベニュー・シェアリングも受け取っていないため、2巡目の指名権と同時にインターナショナル・ボーナス・プールの50万ドル枠分を喪失します。さらに、もうひとり、QOを拒否したコーリー・シーガーも獲得したため、3巡目のピックと追加でインターナショナル・ボーナス・プールの50万ドル分の枠も失います。
ただ、レンジャーズは2021年は102敗ですから、ウェーバーで行くと、110敗のオリオールズとDバックスの次に1巡目をピック出来る点はチェックポイントでもあります。
レンジャーズ、「7年」でゲット
仮に、「新CBA施行後にオプションを話し合う」などの合意事項があれば、まだ上記内容に変更が加わりますが、おそらくそれはないと思われます。
このディールでマーカス・セミエン側が傾いたのは「7年」という長さだと思っています。オフシーズン開始時にトレード・ルーモアが出したマーケット・バリューは6年/$138M。
2022年が31才のシーズンとなるマーカス・セミエン。さすがにSS、あるいは2Bとしてのピークを考えると長く見積もっても33才、34才というところではないかと思います。
関心のあったクラブも当然それを認識していて、あとはプレーヤー側が傾くように少しでも長い年数を提示します。そこはもう「35才や36才時にどういう状態になったとしてもやむを得ない、とにかく獲得するには長い契約年数が必要だ!」として突っ込む訳ですが、あとはクラブ側の財布次第ということに。
レンジャーズはこのオフは財布のヒモを緩ませたので、突っ込んで行ったということですね。
セミエンにはタイガースの他、複数のクラブが関心を寄せていて、もっとも長い年数を提示したのがレンジャーズだったと。30才を超えた内野手が考えるのは当然、長いディールですからね。もっとも、これは投手にも言えること。
よって、このディールが7年で決まったと知ったときは、「長い!」と思いましたし、「レンジャーズが獲得するには、これくらいの長い期間の提示が必要なのか?!」とマーケット内でのレンジャーズのポジションも慮ってしまったくらいです。
そしてオプションがないというのは、それも含めてレンジャーズが思い切って7年と提示したからだと思います。
レンジャーズは、後半3年の$72Mはある程度覚悟していることでしょう。
なお、救いなのは最終年が$20Mと落としているところ。これは選手にとっても最終年にいい成績が出ていないと針のむしろのような状態になるので、とてもいい設定かと思います。税金の対策さえしっかり管理しておけばセミエン側も問題ないでしょう。
MLB Players Choice Man of the Year
セミエンがFA市場で人気が出た点とレンジャーズにとって長期契約になっても救いになる点は、その姿勢。
マーカス・セミエンは2021年のプレーヤーズ・チョイスで、”Man of the Year”に輝きました。これはフィールド内外でチームメイトを鼓舞し、リーダーシップを発揮する姿に贈られる賞です。
プロフェッショナルとしてクラブに活気をもたらす貢献の姿勢はレンジャーズにいい影響を与えることでしょう。
ますます評価されて欲しい選手
マーカス・セミエンのプロフィールなどは下記の記事に記載しています。
2021年はブルージェイズでプレーすることとなったセミエン。SSにボー・ビシェットがいたことから2Bへ配置換えとなりました。
162試合にフル出場し、724打席に立ち、652-173、打率.265、OBP .334、SLG .538、OPS .873、OPS+が133、rWARは7.3をマーク。
そして今季は2Bとして最多となる45HRを放ち、102RBI、TBが351。
もう素晴らしすぎて言うことがありませんね。
2020シーズンまでアスレチックスにいたことから、レンジャーズはマーカス・セミエンのいろいろな良い情報を知っていたわけですね。
2021年はシルバー・スラッガー賞、ゴールドグラブ賞、MVP−3位、オールMLBのファーストチーム、そしてオールスターゲーム出場などを成し遂げました。
アイザイア・カイナーファレファは?
マーカス・セミエンとコーリー・シーガーを獲得したレンジャーズは、この2人で二遊間を組ませるとは思います。
2021年にSSにとして活躍したアイザイア・カイナー・ファレファは現時点ではトレードの噂も。SSが欲しいヤンキースという名前も上がっていますが、ロックアウト中のため保留です。
お読みいただき、ありがとうございました。
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