投手転向サクセス・ストーリー!
現地2021年1月13日、ドジャースからFAとなっていたリリーバー右腕のペドロ・バイエズ( Pedro Baez)のディールが決定しました。
ヒューストン・アストロズと2年で合意です。
リリーバーとしては珍しく、プロ入り以来ずっとドジャースに在籍していましたが、初FAでついに動くこととなりました。
契約内容
アストロズとペドロ・バイエズが合意した内容は以下の通りです。
- 2 年/$12.5M (2021-22)
- プラス2023年、$7.5Mクラブオプション($2M バイアウト)
- 支払いは2021年が$4.5M、2022年が$5.5M。
- パフォーマンスボーナス
- $1M (2022年の投球回数に応じて)
- 2023年のクラブオプションは投球回数に応じて$0.5Mアップ($8Mに)
- 2023年のバイアウトの金額も投球回数に応じてプラス$0.5Mアップ($2.5Mに)
- $1M (2022年の投球回数に応じて)
サラリーの設定は、投球回数に応じてベースアップする設定に。また、バイアウトの金額も投球回数に応じてというのは珍しいです。ちなみにその投球回数は明示されていません。
ドジャースには打者としてサイン
ペドロ・バイエズは1988年3月11日生まれで、ドミニカ共和国出身。2021年4月1日時点で33才となります。
2007年、19才の時にドジャースとサイン。実はペドロ・バイエズはもともと打者としてプロ入りしていたのです。バッティングは右打者。
2012年まで主に3Bを守る
プロデビューとなった2007年は主に3Bを守り、ルーキーリーグで53試合に出場し、打率.274、OBP .341、SLG .408、HR 3、RBI 39、盗塁3をマーク。打者としては上場のスタートを切ったのでした。
しかし、それ以降2012年までの6シーズンは、最高でダブルAまで昇格したものの、打率が低迷。クラスAプラスとダブルAを往復する日々が続きました。
ダブルAでは通算6シーズンを経験。ただし、152試合しか出場していないことから、ダブルAに上がってはすぐに落ちるということを繰り返してきたことが垣間見えます。打率.230、OBP .321、SLG .359、HR 6、RBI 54。
上の動画は2009年、クラスAプラスのInland Empire 66ers時代のペドロ・バイエズの打撃フォーム。これを見て思ったのは、もし元広島の山本浩二監督がこの打撃を見たとしたら、おそらくこんなことを言うのではないか?と思いました。
「割れがすくないのお。」
山本浩二さん、言いそうでしょ??現役時代、衣笠さんと互いの「割れ」のチェックをよくしていたようでしたから。
「割れ」とは?下記のツイートをご参照ください。
キャプテン本村によるバッティングメカニズムvol.11
— なかや りょう@柔道整復師/プロコーチ (@Ichiryo_soai51) August 26, 2019
「上半身:割れ」#草野球#野球#バッティング#メカニズム pic.twitter.com/1WC8NDrF3P
2013年に投手転向→1年後メジャデビュー
打者として苦節6シーズン。さすがにこれは芽がないと判断され、このまま野球人生を終えるかというときに、試しに投手をやったところ、これがバツグンにいいボールを放るが判明。
3Bを守っていていたので肩は強かったでしょうから、もっと早くその素質に気づいても良さそうなものでしたが、2013年に投手に転向。
そこからは早かったです。2013年はクラスA+とダブルAの2つのレベルで計48試合に登板。58.0 IPでERA 3.88をマーク。秋にはなんとアリゾナフォールリーグにも参加。
2014年はダブルAスタートで、5月5日についにメジャー・デビューを果たしました。
ドミニカ共和国出身で剛球を投げるのに、26才という遅いデビューだった理由はこのような経緯があったのでした。
それにしてもドジャースは、クローザーのケンリー・ジャンセンももともとはキャッチャーであったりと、なかなかユニークな背景をもった選手が羽ばたきますね。
デビュー以降、鉄腕ぶりを発揮
投手デビューを果たしてからのペドロ・バイエズは、2年目の2015年以降は、ブルペンとしてフル回転。70試合以上登板が2シーズン(2016、2019)もあり、メジャー通算7年で355試合、356.0 IP、ERA 3.03をマーク。平均登板試合数は、68試合にもなります。
まさに鉄腕ぶりを発揮しています。
今オフはMLSが6.059となり、初FA。厳しいFA市場の中、アストロズと2年の複数年契約をゲットしたというサクセス・ストーリーを体現したということに。
アストロズのブルペンへ
2020年のポストシーズン、ブルペンの良さが光ったアストロズ。
今オフはマーリンズからライン・スタネックも獲得。試合数をこなすリリーバーが二人も加入しましたので、ゲームの中盤以降をうまくコントロールしていきそうです。
ペドロ・バイエズのベロシティー
今季33才となるペドロ・バイエズは、投手転向後にフル稼働してきたせいか、2020年の4シームの平均ベロシティーが94.4mphで、2019年の95.8mphよりも落ちました。ちなみに平均ベロシティーのMAXは、2015年で97.8mphというとんでもない数字を出していました。
年齢の経過とともに、肩肘の疲れがやや心配な面もあります。
ただ、この人がヘルシーなのは変化球はチェンジアップとスライダー、そしてシンカーしか投げない点にあるかと思います。
特に素晴らしいのはチェンジアップの比率が高い点です。全体の30%から35%ほどの比率で投じます。
投手としてのキャリアが短いがゆえに球種が少ないということもあるでしょうが、それが肘の腱の負担を少なくすることに奏功しているとも言えるでしょう。リリーバーは休めませんから、なおさらですね。
2021年の活躍にも期待したいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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