パドレス、クローザー補強
現地2020年8月29日、トレード・デッドラインまで残り3日となったところで、クローザーが不安定になっていたサンディエゴ・パドレスが動きました。
2020シーズンに復活をとげ、人気急上昇となっていたロイヤルズのクローザー、トレバー・ローゼンタール(Trevor Rosenthal)を獲得に至りました。
トレード概要
このトレードは2:1で計3名が動くディールです。
パドレスGET
- トレバー・ローゼンタール:30才/右投げ右打ち
ロイヤルズGET
- エドワード・オリバレス(Edward Olivares):OF/24才/右投げ右打ち
- PTBNL(Player to be named later:後日指名)
後日指名の選手についてですが、パドレスはすでにメジャー・デビュー済みのエドワード・オリバレスを出すことから、チーム内ランキング10位以降、しかも投手になるのではないか?と見ています。なお、現地2020年8月29日時点のMLBパイプラインのプロスペクト・ランキング100ではパドレスから6名がランクインしています。よって、まだまだプロスペクトは豊富です。
追記:PTBNLが決定。ディラン・コールマンに!
現地2020年11月5日、ペンディングになっていたPTBNLが決まりました。下記のディラン・コールマンです。
- ディラン・コールマン(Dylan Coleman)
- 24才、RHP、2018パドレス4巡目指名、ミズーリ州立大(スプリングフィールド)出身
プロ入り後はリリーバーとして登板。 2020年はマイナーリーグが開催されなかったので記録なし。2019シーズンはクラスAプラス、ルーキー、クラスAへと移りました。一度、ルーキーで登板したので、どこか傷めてリハビリで投げたようです。故障箇所などは不明。ただすぐにクラスAに上がっているので問題ない故障だったかと思います。
クラスAでは2シーズンで22試合、29.1イニングに登板、3勝3敗、ERA 2.76。BB9 5.2、SO9 10.4ですから豪腕で制球に苦しんでいるタイプかと思われます。
2020年、復活のローゼンタール
2020年1月にロイヤルズとマイナー契約を結んだトレバー・ローゼンタール。それまでの経緯は後述いたします。
2020シーズンのトレバー・ローゼンタールは、14試合に登板。13.2 イニングを投げて、0勝0敗、7セーブ、1ホールド、ERAは3.29。
ERA3.29もクローザーとしてはまあまあ良い数字なのですが、ちょっとした事情があります。実は25日の時点でローゼンタールのERAは1.46。素晴らしい数字だったのです。
ところが、翌日の現地2020年8月26日のカージナルス戦で一気にERAが3点台に突入。
そのゲームではローゼンタールはクローザーとして9回に登板。この日はコントロールが今ひとつで四球2個などで、満塁のピンチを作ってしまいます。しかし、悪いながらも2アウトまでこぎつけました。しかし、ここでベンチはランディー・ロサリオにスイッチすることを決断。
これが裏目に出て、代わったロサリオが大荒れのピッチングを披露。ランナーをすべて返されてしまいました。
得点したランナーはトレバー・ローゼンタールが出したランナーであったため、自責点がローゼンタールにつき、このゲーム終了後にERAが3.29に上がったのでした。
SDPがローゼンタールを獲得した事情
さて、パドレスは現地2020年8月29日時点で20勝15敗で、首位ドジャースを追いかけており、今季とても好調なのですが、いかんせんリリーバーが厳しい状況に陥っています。
【現地2020年8月29日時点でのパドレスのリリーバー事情】
- カービー・イェーツ:IL(シーズンエンディング)
- ドリュー・ポメランツ:IL
- エミリオ・パガン:今季苦戦 ERA 5.79
- クレイグ・スタメン:今季苦戦 ERA 7.90
- ハビー・ゲラ:苦戦:ERA 12.79
- アンドレ・ムニョス:3/20 トミージョン手術
- トレイ・ウィンジェンター(発音:トレイ・ウィンジェナー):7/17トミージョン手術
まず、クローザーのカービー・イェーツは8月8日に肘痛を発症。8月15日にIL入りとなりました。診断の結果、肘の後ろ側に欠けた骨があり、それが痛みを発症させていることが発覚し、クリーニング手術を行うことになり、シーズン・エンディングに。手術は成功しています。
その後、クローザーの役割を担ったのはドリュー・ポメランツ。ポメランツは今季10試合に登板し、ERA0.00と好調そのもの。パドレスの投手陣の大きな支えとなっていたのですが、8月半ばに左肩痛を発症。21日にIL入りとなりました。
では、残るメンバーの中から誰かをクローザーに配置したいところでしたが、期待のエミリオ・パガン、ドリュー・スタメンが今季は不調。筆者期待のハビー・ゲラも炎上。そして若手2人はシーズン突入前にトミージョン手術となっており、補強が急務となっていたのでした。
選手プロフィール
では今回動く選手を簡単に紹介しておきたいと思います。
【パドレスGET】トレバー・ローゼンタールとは
トレバー・ローゼンタールは、1990年5月29日生まれの30才。2009年カージナルス21巡目指名でプロ入り。意外にも非常に遅い順位での指名でした。
デビューは2012年の7月。デビュー以来、ずっとリリーバーで、2013年からフルシーズンで出場。この年は74試合に登板。
圧巻だったのは次の2年ですね。100mph超えのファストボールを武器に、2014年は72試合で45セーブ、2015年は68試合で48セーブを記録。
ちなみに、ともにセーブ数はNL2位で、タイトルは獲ることができませんでした。2014年はブレーブスにクレイグ・キンブレルがいて、47セーブを記録。2015年はパイレーツにマーク・マランソンがおり、51セーブ。
ファーム・システムの素晴らしかったカージナルスに育ててもらったものの、カージナルスに酷使されたというちょっと皮肉な結果となっていました。
2016年、2017年はそれぞれ14セーブ、11セーブと苦戦。
トミージョン手術
2017年8月23日、トミージョン手術が必要なことが判明。同年11月にカージナルスからリリース。2018シーズンは全休しました。
2018年11月、回復を見込んでナショナルズがサイン。2019年シーズン開幕時で術後1年半を超える計算ではありました。そして、ナショナルズの開幕メジャーのロスターに入ったものの、悲惨な記録を打ち立ててしまいます。
2019年の悪夢
トレバー・ローゼンタールは開幕から4戦連続で、1アウトも取れずに降板。ERAが出ないという珍事に発展しました。
ようやくアウトを取れたのは開幕5戦目の2019年4月10日のフィリーズ戦。9回にマウンドに上がったローゼンタールは先頭のリース・ホスキンスに四球。まだまだ記録は続きそうだったのですが、つづくアンドリュー・ナップを空振り三振に仕留め、ようやく1アウトをゲット。そして、このゲームで1イニングを抑えることができました。
結局、シーズンに入って打者10人連続でアウトを取れなかったという、かつてクローザーとして活躍した本人にとっては屈辱的な出来事を味わったのでした。ナショナルズでは計12試合に登板し、15BBだったので、やはり術後の投球バランスを欠いて苦戦していたということです。
2019年6月23日にナショナルズをリリース。6月29日にタイガースとサイン。タイガースでは10試合に登板。しかし、8月11日にFAに。
8月20日にはヤンキースとサインするも、11月にFAに。ヤンキースではメジャーでの登板はありませんでした。そして2020年1月にロイヤルズとサインし、復活という流れです!
【ロイヤルズGET】エドワード・オリバレスとは
ロイヤルズが獲得したエドワード・オリバレスは1996年3月6日生まれの24才。ベネズエラ出身です。2014年7月にブルージェイズとアマチュアFAとしてサイン。18才でした。
2018年1月、ブルージェイズがパドレスからヤンガービス・ソラルテを獲得したトレードでマイナー・リーガーとともにパドレスに移籍。
2020年7月25日にメジャー・デビュー。現地2020年8月29日時点で36打席を経験。打率 .176、OBP .222、SLG .294、14三振とちょっと苦しんでいます。
ロイヤルズは今季の戦力というより、来季以降を見込んで獲得したようです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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