ALイースト首位攻防戦でのトラブル
現地2024年7月12日、どのクラブもオールスター前最後のシリーズがスタート。ALイーストではヤンキース@オリオールズの首位攻防戦がカムデン・ヤーズで行われました。
ヤンキース先発はゲリット・コール。オリオールズ先発はルーキー左腕のケイド・ポビッチ(Cade Povich)。ポビッチはこの日でデビュー7戦目。ある程度まとまった投手なのですが、いかんせん打ち込まれるケースが多く、オリオールズとしてはローテーションの谷間という感じです。
そしてともにここのところ不調で、このゲーム前までの7月の成績はオリオールズが4勝5敗、ヤンキースが2勝7敗とフラストレーションが溜まっていた状況でもあります。
ヤンキース・リードで終盤へ
ケイド・ポビッチは初回から満塁のピンチを背負うなど、なかなか苦しい立ち上がり。ゲリット・コールも復帰後、あまり良い投球が続いておらず、初回からランナーを2人出しました。
先制したのはヤンキースで2回表にアンソニー・ボルピー、ホセ・トリビーニョ、ジャーマイ・ジョーンズの3連続長短打でまず2点。
その直後、オリオールズも先頭のヘストン・キャースタッドのシングルを活かし、ラモン・ウリアスがトリプルを放ち1点を返します。
ヤンキースは3回表にもアーロン・ジャッジの今季33号のソロHRが飛び出し、3-1とリードを拡大。その後、両先発が落ち着きを取り戻し、ゲームは3-1のまま終盤へ。ゲリット・コールは復帰後、ようやく手応えを掴んだ投球で6イニングを被安打5、失点1、7SOと好投。一方のケイド・ポビッチも5.1イニングで被安打5、失点3、BB 5、SO 6、HR 1となんとか3失点で踏みとどまりました。
9回裏、H・キャースタッドが頭部に死球
ヤンキースは9回表にフアン・ソトのタイムリーで1点を追加し、4-1とリードを拡大して9回裏のオリオールズの最後の攻撃に。抑えのマウンドにはクレイ・ホームズ。
オリオールズは先頭のジョーダン・ウェストバーグがフルカウントまで粘るも、ホームズの96.4mphのシンカーにやられ空振り三振。
そして1アウト後、打席はヘストン・キャースタッド(Heston Kjerstad)。ホームズはシンカーとスライダーの2球でキャースタッドを追い込みます。そして3球目。打者としては打ち気満々のカウントで頭部耳元へ96.8mphの豪速球が襲いました。モロに当たった非常に危ない死球で、キャースタッドはその場にゆっくりと倒れ込みました。ボクシングのノックアウトシーンを見るようで、非常に怖いシーンでもありました。
(YOUTUBE)Benches clear between the Yankees and Orioles in Baltimore
B・ハイド監督、ヤンキース・ベンチに怒り狂う
そしてこの直後、オリオールズ・ベンチからいの一番に飛び出したのは、指揮官ブランドン・ハイド監督でした。ハイド監督はヤンキース・ダグアウトの方を指さし始め、キャッチャーのオースティン・ウェルズが止めなければヤンキース・ダグアウトに突撃するような勢いで飛び込んで来て、怒りを顕わに。オリオールズのオースティン・ヘイズ、セドリック・マリンズ、アンソニー・サンタンデアも監督の前に駆け寄って止めましたね。
これで両軍のベンチがクリアー。ブルペンからも猛ダッシュで投手たちが駆けつけ、小さな小競り合いが発生。
ブランドン・ハイド監督が激昂したのは、ヤンキース・ベンチから聞こえてきたいくつかのヤジやダグアウトにいた相手コーチの態度。試合後、「気に入らなかった」と語っており、やはり神経を逆撫でするようなことがあった模様。
ハイド監督は「ああいう時は感情的になるものだ。私の部下が耳をやられたんだ。気が動転していて、相手のダッグアウトを見たら、手を振っていたり、怒鳴ってしいたりしたんだ」と。
またハイド監督は「あれでダメージを抑えようとしたんだ。誰も殴り合いたくないし、そんな状況になりたくはない。だから、その渦中にいることで、不必要な反響を抑えようとしたんだ」と。
くすぶり続けるよりは、今この時に昇華してしまえ!ということでしょうね。
ちょっとした死球の応酬はあり
この両クラブは約3週間前となる6月18日から20日にかけてブロンクスで3ゲームシリーズを行い、その時は2勝1敗でオリオールズがシリーズを制し、これをきっかけにヤンキースは崩れて行き、7月に入って首位を明け渡す形となりました。
このシリーズ開幕戦の3回裏にアーロン・ジャッジはアルバート・スアレスの94mphの速球を左手に受け、一瞬、不穏な空気になりました。ジャッジは途中交代し、次の試合も欠場し、Gm3には復帰。
しかし、この時は双方ともに沸点には達せず。ただし、翌19日のGm2ではオリオールズのガナー・ヘンダーソンとコルトン・カウザーは死球を食らっています。
両監督ともに理解
試合後、ブランドン・ハイド監督、ヤンキースのアーロン・ブーン監督ともに良いコメントは出しています。
まず、ブランドン・ハイド監督は「選手が頭に当てられたときはいつでも、感情が少し高ぶるものだ。(しかし)クレイがあそこでヘストンの頭に向かって投げたとは思えない」と。つまり、ノーインテンション(意図なし)であるということは認めています。
また、ヤンキースのブーン監督も「ハイド監督が出てきて熱くなってったのはわかる。自分の部下の一人があんな風に当てられたら、怖いよ」と理解を示しました。
雨でシンカーがカット気味に
当てたクレイ・ホームズですが、「フロントドア・シンカーを投げようとしたんだけど、カットした形になり、引っかかってしまった」とコメント。故意ではなかったと述べています。
実際、この日のボルチモアはずっと雨でクレイ・ホームズが登板した最終回まで降り続き、打者の方でもバットを握るのが難しくなったと証言するほどコンディションが良くなかったところはあったようです。
キャースタッドは検査へ
ヘストン・キャースタッドは試合後に検査を受けました。彼はメディアの取材には応じなかったものの、クラブハウスに姿を現して球団職員にガッツポーズを見せるなど元気な姿を披露。
頭部なので、再検査はすると思います。
ゲームは4-1のスコアでヤンキースが勝利。
これでオリオールズは57勝37敗、ヤンキースが57勝39敗となり、首位オリオールズとヤンキースとのゲーム差は1.0に。
ここまでの両クラブの対決は5勝3敗でオズがリード。残りは5試合。Gm2はグレイソン・ロドリゲスとルイス・ヒルの投げ合いです。
それにしてもブランドン・ハイド監督の勢い、なかなか良かったですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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