2022 NLDS Gm4 ( ATL 3 – 8 PHI)
現地2022年10月15日、シチズンズ・バンク・パークで行われたNLDS Game4は前日同様にフィリーズ打線が爆発。フィリーズは攻守ともに常に先手を打って有利にゲームを推し進め、8-3のスコアで勝利し、NLDSを突破。2010年以来となるNLCS進出を決めました。
You gotta beat the champs to be the champs pic.twitter.com/697uQMqvO7
— Philadelphia Phillies (@Phillies) October 15, 2022
ブランドン・マーシュが先制3ランHR
チャーリー・モートンとノア・シンダーガードの先発で始まったこのゲームは、トラブルがありました。
2回表、先頭のアレク・ボームがカムバッカーを放ち、チャーリー・モートンの右肘の外側に当ててしまいます。マウンドにはトレーナーが走り、状態をチェック。おそらく痛みはあったと思いますが、モートンはそのまま投げることに。
その後、ブライソン・ストットが三振に取られた後、ジーン・セグラがCF前にゴロで抜くシングルを放ち、これでボームが3塁に進塁し、フィリーズはチャンス拡大。
ここでバッターはブランドン・マーシュ。エンゼルス時代と違い、ブライス・ハーパーのように低く構えるようになったマーシュは雰囲気が出てきました。
2-2カウントとなった後の6球目、83.4mphのカーブがインコースに吸い寄せられるように来たところをマーシュが強打。これが打った瞬間にそれとわかる右中間への3ランHRに。フィリーズが3点をリードし、ゲームを優位に進めます。
THIS IS MARSH!!!!!!!!! #Postseason pic.twitter.com/xOitZ3UPts
— MLB (@MLB) October 15, 2022
チャーリー・モートンは3回裏にマウンドに上がるも、投球練習をしたところで状態が良くないということで降板となりました。
【YOUTUBE】Marsh Madness! Pandemonium in Philadelphia as Brandon Marsh CRUSHES 3-run home run!
ノア・シンダーガードが好投
フィリーズ先発のノア・シンダーガードは非常にリズミカルな投球を披露。簡単にアウトを重ねていき、1、2回はパーフェクト。ノーヒットノーランを起こしそうなほどリズムが良かったのですが、3回表、1アウトからオーランド・アルシアにインコースのシンカーをうまくさばかれ、これがLFポール際に入るHRに。ブレーブスが1点を返しました。
JT・リアルミュートがランニングHR
3回裏、ブレーブスはコリン・マクヒューにスイッチ。フィリーズはJT・リアルミュートからの攻撃。
その3球目、ハンギング・スライダーとなった甘いボールをリアルミュートがCFへ大きな当たりを弾き返し、これがフェンス直撃弾に。ボールが右中間に反射する間にリアルミュートは俊足を飛ばし、3塁へ。まだ送球が間に合わないと判断したリアルミュートは一気にホームへ飛び込みました。
なんと4点目はランニングHRによる追加点です。
ポストシーズン史上、初めての捕手によるランニングHRということに。
フィリーズ、ショートリレーで的を絞らせず
4回裏、非常に調子が良かったノア・シンダーガードをロブ・トムソン監督は降ろしました。代わって上がったのが、アンドリュー・ベラッティ(Andrew Bellatti)。キレのいいボールを投げる31才の右腕です。2021年はマイアミに在籍。今季からフィリーズで投げており、レギュラー・シーズンは59試合でERA 3.31。
このように先手を打ったトムソン監督でしたが、ベラッティが1アウトからマット・オルソンにHRを浴び、2-4と2点差に追い上げられます。
ここで崩れればトムソン監督のプランも危なかったのですが、その後をベラッティが落ち着いていて処理。当たっているトラビス・ダーノー、そして当たりの止まっているオースティン・ライリーからそれぞれ三振を奪い、1失点のみで切り抜けました。
PHIが中押し→ダメ押し
6回裏、フィリーズが追加点を上げました。
ジーン・セグラのシングルをきっかけに、カイル・シュワーバーの死球で2アウトながら1、2塁のチャンスを作ります。
ここでブレーブスはライセル・イグレシアスにスイッチ。
なんとか食い止めたかったブレーブスでしたが、フィリーズはリース・ホスキンス、JT・リアルミュート、そしてブライス・ハーパーに3連続シングルが飛び出し、さらに3点を追加。スコアを7-2とし、大きな中押し点に。
ブレーブスは7回表にトラビス・ダーノーにHRが出ましたが、ソロによる1点のみ(ATL 3-7 PHI)。
逆に、フィリーズは8回裏にブライス・ハーパーのダメ押しとなるソロHRが飛び出し、スコアは3-8に。チームリーダーの一発でとどめを刺したような形となりました。
フィリーズは5回にブラッド・ハンド、6回から7回2アウトまではホセ・アルバラードが、7回2アウトから8回まではザック・エフリンが登板。9回はセランソニー・ドミンゲスが登板。小刻みなリレーでした。
ちなみにベラッティからドミンゲスまで6イニングを5人でつなぎ、2失点に抑えました。これはまさにメジャー・レベルだからできるリレー。もしも高校野球なら、誰かが必ず捕まるパターンです。多人数による系統はそれだけリスクも高いのですが、コロコロと変わることで打線に的を絞らせない利点もあります。
フォリーズのブルペンは全員が好投し、監督の意図を見事に実現したと思います。
ブレーブス、連覇ならず
選手の年齢、サラリー、成熟度、さらに補強の頻度とタイミング、クラブ内の契約更新方法、現場での試合運び・・・どの軸で見てもブレーブスは超優秀。
大補強でピカピカのSPECを誇ったメッツでさえもシーズン終盤に粉砕し、地区優勝を果たしました。本当に強い!という一言しかない素晴らしさです。
しかし、その強いブレーブスでさえも連覇ならず。
メジャーリーグはここ22年ほど連覇がありません。直近の連覇は、1998年、1999年、2000年と3ピート(3連覇)を果たしたヤンキースまで遡ります。ちなみに、ヤンキースの前の連覇は1992年と1993年を制したトロント・ブルージェイズです。
これは戦力の均衡がうまく行っていると考えて良いのか?良いことなのか?悪いことなのか?も考え方によって変わってきますが、そのような状況が続いているということは記しておきたいと思います。
フィリーズのNLCSはこの数時間後にパドレスに決まりました。ロブ・トムソン監督は今から戦略を練っていることでしょう。今回のフィリーズのポストシーズンのモメンタムは明らかにロブ・トムソンの監督力にあるということは添えておきたいと思います。
普段は静かで、ロボットのようで(!?)、淡々とした監督さんですが、自軍の選手の心理をよく把握しているようですし、何より野球を知り尽くしています。はっきり言ってこの一言に尽きると思います。
このポストシーズンでフィリーズが躍進しているのは単にキープレーヤーの調子が良いだけでなく、状況に応じた打撃を見せているからで、しぶとい逆方向への安打が目立ちます。そこに監督の意図も見えますし、ブルペンもうまく回しているのが見てとれます。選手と監督が非常にうまく連携していますね。これは強い!
お読みいただき、ありがとうございました。
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