28才で覚醒!一躍注目の的に
現地2020年3月22日、本来なら開幕まであと4日!というところだったMLBでしたが、今のこの状況は致し方ありませんね。ちゃんとOD(オープニングデー)を迎えられる日まで楽しみに待っておくしかありません。
本日は、本来の26日に開幕したなら、おそらくクローザーとして登板したであろう投手について書きたいと思います。
その名はニック・アンダーソン(N. Anderson)。層の厚いタンパベイ・レイズのブルペンにあって、一躍クローザー候補に名を連ねました。
スプリングトレーニングで抜群の成績
ニック・アンダーソンは今スプリングトレーニングで抜群の成績を収めています。5試合、5イニング、打者19人と対し、被安打2、無失点、奪三振6、BB 3という内容。ERAはもちろん0.00。
ホセ・アルバラードは肘に不安あり
レイズのクローザーですぐに名前が上がるのは100mph左腕で、異様な曲がり方をするツーシームを投げるホセ・アルバラード。彼がまず筆頭だったと思います。
しかし、ホセ・アルバラードの今スプリングトレーニングの成績は芳しくなく、5試合、4.1イニングを投げ、被安打6、失点4、自責点4、奪三振7、四球4、死球1、ワイルド・ピッチ2でERA 8.31。制球がまだ落ち着いていない状況でした。
アルバラードは2019年8月24日のマウンドを最後に肘痛でサイドラインに退いた影響がまだ続いている様相で、本調子にはほど遠いです。果たして肘は大丈夫か?いささか不安でもあります。
ディエゴ・カスティーヨとの争い
そしてもう一人のクローザー候補は豪腕右腕のディエゴ・カスティーヨ。ディエゴ・カスティーヨは今スプリングトレーニングでは5試合、5イニングを投げ、被安打2、失点1(自責点0)、奪三振9、ERA0.00とニック・アンダーソンとほぼ同じ成績を上げています。
コリン・ポシェは左腕ゆえ、色々なシチュエーションで任されそうですから、ゲーム後半ではあるもののセットアップ、あるいはセットアップの前のつなぎという役割になりそうです。大きなカーブを投げるチャズ・ローも同様です。
投げっぷりの良さでニック・アンダーソン
よって、ホセ・アルバラード、ディエゴ・カスティーヨ、ニック・アンダーソンの3人がクローザー候補に違いないですが、ホセ・アルバラードが上記のように肘に不安のある状況ですから、ディエゴ・カスティーヨとニック・アンダーソンの争いは確定的。この2人は球質もスタイルもよく似てはいるものの、おそらく投げっぷりの良さ、ハートの強さでニック・アンダーソンが後ろを任されそうです。
ニック・アンダーソンとは
ではそのニック・アンダーソンとはどういう投手かを見て行きたいと思います。
2019年、28才で覚醒
ニック・アンダーソンを知るには直近の活躍から入る方がわかりやすいです。レイズにはいつ来たか?というと2019年のトレード・デッドラインです。
オープナーの申し子でもあったライン・スタネックとのトレードでマーリンズからレイズに移籍しました。
マーリンズでは45試合に登板。2勝4敗、ERA3.92。マイアミのチーム力を考えるとERA 2.00台の活躍と言ってもよかったと思います。彼に注目したレイズのスカウトはやはりさすがとしか言いようがありません。
レイズに移籍後は、23試合に登板。3勝0敗でERAがなんと2.11!強いクラブに入るとやはり本来の数字が出てくるものですね。
ニック・アンダーソンの2019年は2クラブを合わせて68試合、65イニングを投げ、5勝4敗、1SV、ERA 3.32。HR9が1.1、BB9が2.5、驚くべきはSO9が15.2 !
そしてレイズ移籍後のSO9ですが、なんと17.3を記録していました!
スタイル
とにかくファストボールが武器。常時97mphを計測し、Max99mph。なお持ち球はファストボール(4シーム)とスライダーのみ。さすがにこの春はチェンジアップくらいは身につけたのかもしれません。
個人的にも気に行っているのは投球フォームの腕の使い方。これはトミージョン手術になりにくい腕の使い方だと思います。
大学4年で指名を受けるも
これほどの投手がどうしてこの年齢まで開花しなかったか?という謎について迫りたいと思います。
ニック・アンダーソンはミネソタ出身で2009年から2011年までは St. Cloud State Universityに在籍していましたが、4年生時の2012年にノース・ダコタのメイビル大学に転籍しています。その年(2012年)ブルワーズから32巡目指名を受けておりました。
独立リーグへ
しかし、ニック・アンダーソンはブルワーズとのサインを拒否し、独立リーグに入団します。これは憶測に過ぎませんが、こんな遅い順位で入ってもというのがあったのかもしれません。
2013年から2015年まで独立リーグで3年間プレー。プロとしての最初の2年はコントロールに苦しみ、BB9は1年目が5.8、2年目が4.2。独立リーグ3年めにコントロールが落ち着きはじめ、BB9は2.0に。
2015年ツインズ傘下に
2015年8月、ついにMLBツインズ傘下のマイナーと契約します。3年半をかけてトリプルAまで上り詰めます。2018年はツインズのトリプルAで39試合、60イニングに登板し、奪三振88、ERAは3.90に。この時からグンとSO9も上がってきました。この年は13.2。
2018年11月にトレードでマイアミへ
ツインズももう1年我慢すればよかったのに、これからというときにニック・アンダーソンをトレードで放出します。2018年11月のことです。
そして2019年、マイアミ・マーリンズで上記のように活躍。さらにレイズに着目され、現在に至るです。
生来の負けん気の強さ
彼のプレーヤーとしてのキャリアをたどると、自分の力で道を切り拓くぞという負けん気の強さを感じます。大学4年の時にブルワーズを蹴ったのもそういう心意気があったからこそ、独立リーグから道を切り拓いていったのではないかと思います。
なお、アメリカのWIKIによれば大学生の時(2011年)、酔っ払い運転で8日間、ブタバコに入っています。よほど酒癖が悪かったのか、アルコール依存症とアンガーマネジメントのカウンセリングを罰則として受けています。良いように自らを律してくれればそれで良いと思います。プロとして熱い心と冷静な頭で勝負してもらえればと思います。
エミリオ・パガンの穴は十分に埋められる
ニック・アンダーソンは仮にクローザーでなくても、ブルペンのキーマンとしてパドレスにトレードで出て行ったエミリオ・パガンの穴を十分に埋めてくれそうです。
非常に楽しみな投手です。なおさら、開幕が待ち遠しいです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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