ナッツ、打線に厚み
現地2021年1月9日、カブスからノンテンダーFAとなっていたカイル・シュワーバー(Kyle Schwarber )を獲得しました。ディールはすでに公式の情報となっています。
ナショナルズ、打線に厚みが出ました!
契約内容
ナショナルズとカイル・シュワーバーの合意内容な以下の通り。
- 1年/$10M保証(2021)
- 2021年のサラリーは$7M、2022年はミューチュアル・オプションで$11.5M
- バイアウト$3M
正確に書くと、サラリーは$7Mなのですが、2022年のオプションに$3Mのバイアウトが入っており、たとえ2022年にオプションが行使されなくても$3Mは入ってくるので、$10M保証です。
2020年のサラリー
カイル・シュワーバーの2020年年のサラリーは$7.01M 。2021年1月時点のMLSは5.086で、今オフが調停のファイナルイヤー。カブスからノンテンダーを出される前の調停のレンジは$7.9Mから$9.3Mと目されていたので、バイアウト分だけ、「調停を避けて契約」したのと同じようなサラリー設定となりました。
カブスの2022年問題と絡んだノンテンダー
カイル・シュワーバーがノンテンダーFAとなったのは本当に衝撃でした。
ただ、カブスには2022年問題というのがあり、もう何年も前から懸念されていることでした。
2021シーズン終了後、ハビアー・バイエス、クリス・ブライアント、カイル・シュワーバーがFA(2022年FA)。さらに、アンソニー・リッゾも今オフに2回目のクラブオプションを行使し、2021年終了後にFAとなります(2022年FA)。これがカブスの2022年問題。
主力がFAとなりクラブから出ることで戦力ダウンとなるのか?あるいは戦力をキープし、さらなるサラリーアップとなるのか?という問題。
他クラブでもそうですが、FA資格のある選手は複数年契約などで縛りがあるため、動かせません。動かすならトレードですが、これは相手の需要と欲しい選手がいるかどうかのマッチングの問題もあり、なかなか実現は難しいです。そこでもっともサラリー調整の効果が出るのが調停資格のある選手であることから、カイル・シュワーバーが選ばれました。
クリス・ブライアントもノンテンダーの噂がありましたが、これは(言い方は失礼なのですが、)カブス側がトレードのカードとしてキープしたような形となりました。
カイル・シュワーバーの2020シーズンの成績が59試合で打率.188であったというのは言ってみればノンテンダーの口実に過ぎない要素かと思います。
また、入場料収入が途絶えたカブスはオーナーがサラリーシェッド(削減)にかなり執心しています。
カブスの2020贅沢税
カブスの2020年の贅沢税上のサラリーは$216M。基準額の$208Mを上回っています。
下記は2020年のサラリーの状況です。カブスは$10M台の選手が多いのが特徴。
- ダルビッシュ投手:$21M(2020) >>>> 2021 パドレスへ
- ジェイソン・ヘイワード:$23M(2020)
- ジョン・レスター: $25.8M(2020) >>>> 2021 FA
- クリス・ブライアント: $18.6M(2020)
- アンソニー・リッゾ: $16.5M (2020)
- クレイグ・キンブレル: $14.3M(2020)
- タイラー・チャットウッド: $12.6M(2020) >>>> 2021 FA
- カイル・ヘンドリクス: $13.875M(2020)
- ホセ・キンタナ: $11.5M(2020) >>>> 2021 FA
- ハビアー・バイエス: $10M (2020)]
贅沢税上の2021年のサラリーに関しては、ダルビッシュ投手のトレードやオプションを行使しないことで$70.9Mはすでに削減済みですが、まだまだカブスはクリス・ブライアントをトレードで出すという噂も。
メッツ、パドレスが補強で大躍進していますが、カブスはある意味でFA、移籍市場の台風の目のような要素となっています。
ナショナルズ、DH動向決定前にサインへ
2021年のナ・リーグのDHは、「ないもの」として動くように、各クラブには非公式にメモが渡ったという報道があります。
カイル・シュワーバーはそれが決定事項となるまでは動かないのではないか?と思っていたのですが、ナショナルズが攻めましたね。
ナショナルズのこの判断はある程度の根拠をもって判断したと思われ、そうなるとネルソン・クルーズやマーセル・オズーナにも動きが出てくるかもしれませんね。
ナショナルズのOF
カイル・シュワーバーがカブスで守っていたのはLF。ナショナルズのOFは今オフ、アダム・イートンがFAとなりホワイトソックスとサインており、RFが空いています。
- LF:フアン・ソト
- CF:ビクター・ロブレス
上記の二人は決定なので、RFあるいはOFとして26才の左投げ左打ちのアンドリュー・スティーブンソンか、カイル・シュワーバーか、ということになりそうです。
それともソトがLFを空けるのか、ここは見定めたいと思います。
カイル・シュワーバー、ジョシュ・ベル
すでにパイレーツからジョシュ・ベルを獲得しているナショナルズ。
今回のカイル・シュワーバーの獲得で打線にさらに厚みが出てきました。
- C: ヤン・ゴームズ
- 1B: ジョシュ・ベル
- SS: トレイ・ターナー
- 2B/3B: スターリン・カストロ
ハウィー・ケンドリックが引退を表明したので、3Bあるいは2Bスポットでスターリン・カストロと対になる選手が必要です。プロスペクトを起用するのか、ベテランのジョシュ・ハリソンを起用するのか、あるいは補強か、ここも注目ですね。
ナショナルズの2020贅沢税とサラリー
なお、ナショナルズの2020年の贅沢税上のサラリーは$195Mで落ち着いたようです。
2021年のサラリーは以下の選手の額が突出しているのですが、なんとか回せそうです。ただ、$1M超えの選手が多いので、来年以降はケアが必要かと思います。
- マックス・シャーザー:$28.689M(2021)
- スティーブンソン・ストラスバーグ: $35M(2021)
- パトリック・コービン: $23.3M(2021)
カイル・シュワーバーとは?
さて、あらためましてカイル・シュワーバーのプロフィールを簡単に記載します。1993年3月5日生まれの27才です(現地2021年1月9日時点)が、4月1日の開幕は28才で迎えます。
捕手でのデビュー戦
ドラフトは2014年カブス1巡目。デビューは2015年6月15日。もともと捕手でドラフトされ、捕手でメジャーに上がってきました。下記はそのデビュー戦の模様。
腰の座ったスイングが魅力
なんと言っても魅力はその腰の座ったスイング。あまりに打撃に魅力がありすぎて、使わないのは勿体ないということからLFを守るようになりました。
ちょうどデビュー時にはミゲル・モンテロや現監督のデービッド・ロスがいましたから、捕手が飽和状態でした。
2016年に大怪我
デビュー2年目の2016年4月7日、カイル・シュワーバーは当時ダイヤモンドバックスにいたジーン・セグラが放った左中間の打球を追いかけ、CFのデクスター・ファウラーと交錯。カイル・シュワーバーは起き上がれず、結局これはランニングHRとなったのですが、その後も動かせる状態ではなかったため、カートで運ばれる事態に。
X線による検査で左足首は骨折から免れていたものの、後日に左膝の前十字靭帯が断裂していたことが判明。この年のレギュラーシーズンを断念せざるを得ませんでした。
カイル・シュワーバーの大きな怪我はこれくらいです。
なお、2016年はカブスがワールドシリーズ・チャンプに輝いた年ですが、カイル・シュワーバーはワールドシリーズから戦列に復帰しました。
Game1、2、6、7のALホームをうまく利用し、DHで出場。Game3、4、5のりグレーでは、Game3にPHで出場したのみ。HRこそ出なかったものの、17打数7安打、打率.412、OBP .500、SLG .471と大活躍を見せました。
30HR以上を2度達成
2017年に完全復帰したカイル・シュワーバーは30HR、59 RBIをマーク。2018年には26 HR、61 RBI。2019シーズンには38HR、92 RBIをマークし、持ち前のパワーを発揮しました。
相手投手にプレッシャーをかける存在です。
OBPは.300を超え続けているものの、打率は低め。打率のキャリアハイは2019年の.250。だいたいこれくらいの率を期待しつつ、.230は下回らないでくださいねという確実性といえるかもしれません。
とにかく腰の座ったスイングが魅力。どんどん活躍してもらいたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント
ん、細かいんですがシュワーバーは怪我した後、2016年のワールドシリーズから復帰では無かったでしたっけ?
シュワーバーといえばカブスの世界一への貢献のイメージがあります。
どら様、
コメントありがとうございます。
レギュラーシーズンのみで書いたつもりだったのですが、確かにこれだと翌シーズンまで出ていないと誤解されそうです。
おっしゃる通り、一発はなかったものの、ワールドシリーズでは良いところで活躍したと私も記憶しています。
カイル・シュワーバーのキャリアには大事なポイントです。
今出先なので後で追記させていただきます。
ご指摘いただき、どうもありがとうございました。