2024年は先発ローテがMLB NO.2だったロイヤルズ
カンザスシティ・ロイヤルズは現地2025年1月6日にFAとなっていた右腕のマイケル・ローレンツェン(Michael Lorenzen)と1年契約で合意していましたが、現地2025年1月8日、フィジカルチェックも通過し、契約はオフィシャルとなりました。
これでロイヤルズはまたしても強固なローテーションを構築。2024年のスターターのチームERAはマリナーズの3.38に次いでMLB NO.2だったロイヤルズ(3.55)。2025年も堅い試合を見せてくれそうです。
契約内容
ロイヤルズとマイケル・ローレンツェンの契約内容はご覧の通り。
- 1年/$7M 保証(2025) + 2026 ミューチュアル・オプション
- $5.5M(2025)
- 2026: $12M ミューチュアル・オプション ($1.5M バイアウト)
- パフォーマンス・ボーナス(IP):Max $1M
- $0.25M /100, 125 IP
- $0.5M / 150, 175 IP
- パフォーマンス・ボーナス(登板数): Max $1M
- $0.1M / 10 試合登板
- $0.15M/ 20 試合登板
- $0.25M/ 25, 30, 40 試合登板
- アウォード・ボーナス
- $0.1M /サイ・ヤング賞 ($0.05M/ 投票2位-5位、$0.025M/6位-10位)
- $0.1M/オールスター投票 or 選出
- $0.05M / GG賞
2025年の$5.5Mと2026年のオプション破棄時のバイアウトの$1.5Mを入れて計7Mが保証された契約で、加えてパフォーマンス・ボーナスとアウォード・ボーナスが入っている構造です。
2024年のトレードDLでKCに加入したローレンツェン
マイケル・ローレンツェンは2024年はFAとしてレンジャーズと1年/$4.5M (2024)+ボーナスでサイン。
レンジャーズでは19試合中、18試合に先発し、101.2イニングを投げ、5勝6敗、ERA 3.81、WHIP 1.279を記録。2023年にワールドシリーズを制覇したレンジャーズでしたが、怪我人の影響もあり、ポストシーズン・プッシュも厳しい状況となり、トレード・デッドラインでは派手には立ち回らなかったものの、売りに転じました。
現地2024年7月29日、さらなるポストシーズン・プッシュをかけるロイヤルズは、レンジャーズからマイケル・ローレンツェンを獲得。リリーバーのウォルター・ペニントンをレンジャーズに出しました。
KCではERA 1.57
ロイヤルズへ移籍後のマイケル・ローレンツェンは8月に5試合に先発。24.1イニングを投げ、ERA 1.85という素晴らしい投球を披露し、ロイヤルズの大きな力に。
しかし、8月最後の登板となった27日のガーディアンズ戦の2イニング目に一塁ベースカバーに入った際に左足を傷め、1.2イニングで早期降板。試合後の診断の結果は左ハムストリングスの捻挫。これでローレンツェンは15 days IL入りに。
その後、9月終盤に復帰して2試合に投げ、そのうち1試合はリリーフでの登板。結果、ロイヤルズでは7試合のうち6試合に先発し、28.2イニングを投げ、2勝0敗、ERA1.57という高品質投球を披露しました。
かなり無理をして復帰したマイケル・ローレンツェンはポストシーズンではALワイルドカードシリーズでは登板せず、ヤンキースとのALDSでリリーフで2試合に登板。2.1イニングを投げ、ERA 3.86でシーズンを終えました。
マイケル・ローレンツェンは2024年はMLB10シーズン目でしたが、トータルで26試合に登板し、そのうち先発は24試合。130.1イニングを投げ、7勝6敗、ERA 3.31をマーク。これは2023年の25先発、153.0 IPで9勝9敗、ERA 4.18よりも質の高い投球でした。
先発で好成績
マイケル・ローレンツェンはエンゼルス時代の2022年からの先発転向がいい形で実を結んでおります。
ただ、いずれのシーズンも、奪三振と与四球ではそれほどパッとした数字でないにも関わらず、最終的には良い成績を上げています。
2024年のSO%は18.1%で、BB%は11.2%。いずれもリーグ平均より数ポイント悪いです。にもかかわらず、過去3シーズンで400イニング近くを投げてERA 3.90の好成績をマーク。
これはおそらくRISP(スコアリング・ポジション)での打率が.161となっていることから、いかに粘り強い投球をしているかということに尽きると思います。まとまっているようで荒れており、荒れているようで肝心なカウントでは絶妙のコースに決めるというスタイル。その意味でも先発向きかと思います。
KCのローテーション
ロイヤルズはこの冬、ブレイディー・シンガーとジョナサン・インディアのトレードを実行済み。咲くシーズンは貧打に泣いたので、オフェンス強化を目論んだトレードでした。
ブレイディー・シンガーが抜けたローテーションですが、ロイヤルズには2024年にサイ・ヤング賞候補となったセス・ルーゴがおります。彼を中心に左腕のコール・レーガンズ、そしてベテラン右腕のマイケル・ワカ、この3人でNO1-3が決定。
さらに2025年は前年に肩の手術でシーズンを棒に振ったカイル・ライトが戻ってきます。そしてクリス・ブービックも復帰。マイケル・ローレンツェンはNO.4-5あたりを狙う位置づけになるかと。
さらにアレック・マーシュもおりますので、6manローテーションも可。
ローレンツェンの二刀流復帰はあるか?
そこで気になるのがマイケル・ローレンツェンの二刀流復帰。
エージェントのCAAは、この冬、マイケル・ローレンツェンを二刀流選手として売り込んでおりました。これはMLBの各チームにロースターの柔軟性を実現できるという売り込みなのですが、投手登録は13人と制限があります。もしローレンツェンがOFまたはDHとして20試合に出場すれば(且つそれぞれの試合で少なくとも3PAが必要)、2025年シーズンと翌年に2 Way (二刀流)のステータスを得ることができるため。そうなれば投手としてのカウントは避けられるのです。ちょっとせこい方法ですが。
マイケル・ローレンツェンはレッズ時代、まだナ・リーグがDHを採用する前のことですが、強打の投手として有名で、大谷選手よりも先に二刀流をやってのけました。
2015年は打率.250、2016年はリリーフで打席も少ないのに5-1で打率.200、HR 1。2017年もHR 1。
そして2018年はPA 34 でAB 31で安打数9をマーク。このうちHR が4本でRBI が10。
さらに、現地2019年9月4日のフィリーズ戦では1試合の中で勝利投手、HR、野手出場をこなす”3-way”の偉業を達成しています。
噂ではもし非コンテンダーと契約するなら、打席に立つ可能性があるとされていましたが、今回は超がつくくらいのコンテンダーのロイヤルズですので、ちょっとむずかしそうです。
しかも2024年は上述のように最後の最後でハムストリングスを傷めて離脱した期間がありましたから、33歳という年齢からも投手一本でしかも先発で勝負していくように思います。
なお、ロイヤルズは現時点で贅沢税上のサラリーは$153Mほど。2024年は$161Mほどでした。予算がどれくらいあるかわかりませんが、財布が許すなら、OFのコーナーとブルペンのヘルプに使いたいですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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