メッツ、ベテラン右腕を獲得へ
現地2025年2月27日、ニューヨーク・メッツが怪我人多数で手薄になったローテーションを補強する動きを見せました。レンジャーズからFAとなっていた33歳のベテラン右腕のホセ・ウリーナ(José Ureña)とマイナー契約で合意です。
契約内容
このディールはまだオフィシャルではありませんが、合意内容としてはマイナー・ディール。そしてメジャーに上がった場合のサラリーが設定されている、いわゆるスプリット・コントラクトで、そのベース・サラリーは$2Mで加えて$0.75Mのインセンティブも設けられています。
背景
メッツがホセ・ウリーナとの契約に至った背景はもちろん、怪我人が出たため。
メッツの2025年の当初のローテーション・プランは、千賀滉大投手、ショーン・マナエア、クレイ・ホームズ、フランキー・モンタス、デビッド・ピーターソンの4人を柱に、NO.5、NO.6の人材を2024年オフにトレードでエンゼルスからブレーブスに移籍し、そのブレーブスでノンテンダーFAとなってメッツとサインしたグリフィン・カニング、2022年にメッツのオープニングを務めてそのシーズンの序盤に大活躍したタイラー・メギル、24歳の右腕で2023年の2巡目指名のブランドン・スプロート(Brandon Sproat)、同じく24歳の右腕で2022年の2巡目指名のブレード・ティドウェル(Blade Tidwell)、そして元アスレチックスの先発で、バック・イシュー(脊椎)で手術をしてリハビリ中のポール・ブラックバーンで争う・・・という様相でした。
ところが、現地2025年2月17日にフランキー・モンタスが右臀部筋の強い張りで、開幕はILが決定的に。
さらにその1週間後の現地2025年2月24日には、ショーン・マナエアも右斜角筋を傷めて開幕ILが決定。ショーン・マナエアは2024年に腕を下げてしかもクロス・ステップにして角度をつけることで大成功。兵がひしめくNLイーストで覇権を取るにはリーサル・ウェポン的な切り札でもありました。
そのモンタスもマナエアも一旦は痛みが引くのを待ち、ドクターから許可が出てから再度チューンナップに入るので、復帰時期は5月半ばが一つの目安。場合によっては二人はタイミングが重なるように一気に復帰ということもあり得ます。
とは言え、メッツは核となる2人を1ヶ月から2ヶ月の間失うこととなったので、その補強にホセ・ウリーナを獲得したという背景です。
メッツはあくまで自前で準備の方針
ローテーション補強の選択肢としては外部からのFA未契約投手との契約という線も残ってはおります。特に、2024年にメッツのローテーションを担ったホセ・キンタナなどは恰好のターゲットですが、それでもメッツはあくまで自前で1、2ヶ月を乗り切りたい構えです。
その大きな理由はやはりペイロールの問題。
メッツの贅沢税上のペイロールは326Mドル
大富豪のスティーブ・コーエンがオーナーがいるとは言え、メッツは2022、2023、2024年と3連連続で贅沢税の閾値を超過。今オフは閾値内でリセットされる状態でオフシーズンを迎えましたが、フアン・ソトとの15 年/$765M (25-39)のウルトラ・メガ・ディールを結んだこともあり、現地2025年2月27日時点で$241Mの閾値に対し、すでに$326Mと異次元の超過。
もっとも、その遥か上を行くのはドジャースで現地2025年2月27日時点で$399.7Mともはや$400Mが見えているという別世界にいる状況です。
おそらくオーナーは$326Mであってもそれほど気にはしないと思われますが、それでも2022年にシャーザーとデグロムとバーランダーを抱えてもNL ワイルドカードで敗退したという現実に「効果」の部分を意識しており、防げるものは防ぎたいというところでしょう。実際、メッツは打撃陣が問題で、その解消にフアン・ソトを入れたわけです。
そしてマナエアとモンタスの離脱期間の2ヶ月(最長想定)はレギュラーシーズンの1/3に当たり、決して短い期間ではありませんが、それでもグリフィン・カニング、タイラー・メギルらで補えるという公算もあるのでしょう。ポール・ブラックバーンの復帰もそれほど時間はかからないかもしれません。そういったメンバーがいる中で、ウリーナの確保は保険をかけているといった意味合いが強そうです。
ホセ・ウリーナはまだまだ剛腕
特徴的な投げ方をするホセ・ウリーナは33歳でありながら、その剛腕ぶりは健在。2024年の4シームのアベレージ・ベロシティーは96.4mphで、シンカーは96.0mph。これはあくまでアベレージですから。
そう言えば、2018年にロナルド・アクーニャ・Jr,が3試合連続のリードオフHRを継続し、4試合連続なるか!という時に故意死球を当てたのは当時マイアミにいたホセ・ウリーナでしたね。
時を見計らってブルペンでも
ホセ・ウリーナは2024年は33試合に登板して、先発は9試合。先発もリリーフも柔軟性をもって対応することをスイング・マンと言いますが、2024年のウリーナはまさにそんな起用のされ方でした。ファストボール系のベロシティーが高いのもリリーフでの登板が多かったという面もあります。
109イニングを投げて、ERAは3.80。先発としてのERAは5.80で、リリーフとしてのERAは2.92。やはりショート・イニングでの登板に適性がありそうです。
このようなウリーナゆえにメッツはシーズン序盤はローテーションの一人としても起用出来ますし、仮にモンタスとマナエアが復帰してきた場合はブルペンでも起用できるわけです。球の強いブルペン投手は何人いてもありがたいですから、メッツはそういう意味でもウリーナ獲得は良い狙いではないかと思います。
とにかく、メッツのローテーションは注目ですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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