JV、42歳/20シーズン目の契約が成立
現地2025年1月7日、サンフランシスコ・ジャイアンツがジャスティン・バーランダー(Justin Verlander)と1年契約で合意しました。
ジャスティン・バーランダーはマルチ・クラブからのオファーがあると先日記事にしたためたところですが、決まったのがサンフランシスコ・ジャイアンツだったというのに驚いています。
契約内容
現時点で判明している内容は以下の通り。
- 1 年/$15M 保証(2025)
上記のリンク記事でバーランダーのディール成立の鍵は前年に怪我で苦しんだ故障が癒えることと高単価のサラリーの問題があると書きました。
その怪我の具合ですが、現時点では非常に良好とのことでこの大きなポイントはまずはクリアー。そして前契約でAAV $43Mだった単価ですが、 「バーランダー側が$15M〜$19Mのレンジで妥協するようなら、門戸は拡がるかもしれません」と書かせていただきましたが、$15Mの単価に落ち着きました。バーランダー、かなり折れましたね。
前年のケガや42歳の年齢を考えれば1年契約でのディールの模索は間違いないところでしたが、市場の求めるレンジで手を打ったのは、あまりにも金額にこだわってスプリングトレーニングに出遅れることを懸念した結果かと。2024年のブレイク・スネルやジョーダン・モンゴメリーのようなケースですね。エージェントはISE Baseballです。現実的でいい判断だったのではないかと思います。
アレックス・コブやチャーリー・モートンが今オフに$15Mのサラリーでサインしていますから、それと同様になりました。
まさかのジャイアンツ
贅沢税超過を避けたいアストロズとのディールはないだろうと踏みましたが、まさかジャイアンツになるとは思いもよらなかったです。ジャック・フラハーティーのディールが決まってからではないか?と思っていましたが、ジャイアンツ側も早めに良い判断を下したのではないか?と思います。バスター・ポージー、さすがです!!
JV、45歳まで投げることを希望
サイ・ヤング賞3度のジャスティン・バーランダーでさえ、年齢要素から目先の1年契約をどう勝ち取るかというキャリア終盤の局面に差し掛かってきました。2025年は2月の誕生日で42歳のシーズンとなりますが、当の御本人は「45歳まで投げたい」という希望があり、コンディションがヘルシーならまだまだエンジンも十二分に稼働する状態でもあります。
2024年の4シームのアベレージ・ベロシティーは93.5mph。2022年のそれは95mphで、2023年は94.3mph。ゆえに落ちているのは確か。しかし、あくまでアベレージでまだ93-94mphのレンジを記録しているのです。
また、後述しますが、2024年は肩と首の故障が合った中での上記のアベレージ・ベロシティーです。体調が良ければもう少し上がっていたとも思われます。
さらに、テクニカルな配球はかなり前から見せておりますが、76-79mphほどの大きなカーブを見せて緩急差をつけることで、4シームを速く見せる工夫も確立済み。そしてチェンジアップ、スライダーの精度の良さはご承知の通りです。ローテーション投手でこの完成度はまだまだ群を抜いていると言っていいでしょう。
2024シーズン
2024シーズンはスプリングトレーニング中に肩の故障で登板が制限され、シーズン・デビューは4月19日に。さらに6月には首の負傷によって2ヵ月半以上離脱。8月にILから復帰したものの、シーズントータルでは17試合で90.1イニングしか投げておらず、5勝6敗、ERA 5.48と苦戦しました。
9月下旬の時点では記者団に「首の怪我からの復帰は少し早かったと思う……このチーム(アストロズ)の戦力になりたいと思い、投げて自分の状態を確かめたかったが、明らかに結果は良くなかった」と答え、なんとかアストロズの力になるべく、ベストを尽くしました。
現役NO.1の実績があってもこの真摯な姿勢。これはジャイアンツ投手陣にもいい影響を与えそうです。
ジャイアンツも余力ありと判断
そしてジャイアンツ側もバーランダーにはまだまだ余力がありと信じたのがこのディールの結果でもあります。
2024年に苦戦したバーランダーでしたが、2023年はメッツとアストロズのトータルで27試合、162.1イニングで13勝8敗、ERA 3.22をマーク。
そしてご承知の通り、2020年9月にトミー・ジョン手術を実施し、2020-21年シーズンのほとんどを棒に振りましたが、2022年は28試合、175.0イニングを投げ、18勝4敗、ERA 1.75の超高品質投球を披露し、3度目のサイ・ヤング賞を受賞。それからわずか2年しか経っておりません。
彼のこれまでの成績を簡単にまとめるとご覧の通りです。
JVのキャリア
ジャスティン・バーランダーの実績をまとめるとご覧の通りです。
- 2006 AL ROY
- オールスター出場:9度(2007, 2009-2013, 2018- 2019 & 2022)
- AL MVP :2011
- サイ・ヤング賞受賞:3度 (2011、 2019、2022)
- サイ・ヤング賞投票2位:3度(2012、2016, 2018)
- サイ・ヤング賞投票3位:1度(2009)
- 2011 AL ピッチャー3冠(Wins :24勝/ ERA: 2.40/ SO: 250)
- 2017 ALCS MVP
- カムバック・プレーヤー・オブ・ザ・イヤー:1度(2022)
- AL ERA 1位:2度(2011& 2022)
- AL 最多勝 : 4度 (2009:19勝 / 2011:24勝 / 2019: 21勝 / 2022: 18勝)
- AL 最高勝率:3度 (2007 、 2011& 2022)
- AL 最多イニング登板:4度 (2009: 240/ 2011: 251.0/ 2012: 238.1/2019: 223.0)
- AL 奪三振 1位:5度 (2009:269/ 2011: 250/ 2012: 239/ 2016: 254/ 2018: 290)
- シーズン最多奪三振:300(2019)
- AL 最多完投勝利 :2012/ 6試合
- AL 最多完封勝利: 2018/ 1試合
- シーズン15 勝以上: 12度 (2006, 2007, 2009-2012, 2014 、2016-2019 & 2022)
- シーズン20勝以上: 2度 (2011: 24, 2019:21)
- 200 イニング投球: 12度 (2007-2014 & 2016-2019)
- 200 奪三振: 9度 (2009-2013 & 2016-2019)
- 300 奪三振: 1度(2019)
- ノーヒット・ノーラン:3度(2007 June 12/ 2011 May 7/ 2019 Sep 1)
- ワールドシリーズタイトル:2 度( 2017 & 2022 :Astros)
ジャイアンツのローテーション
ジャイアンツのローテーションですが、ローガン・ウェブはまずローテーションの中心として稼働する見込み。さらに、ジャスティン・バーランダーとロビー・レイのサイ・ヤング賞コンビがウェブを補完。
NO.4にはカイル・ハリソン、さらにバスター・ポージーは12月にハードスローのシンカーボーラー、ジョーダン・ヒックスにもう一度ローテーション入りのチャンスをもう一度与えるつもりだと語っております。
他にも若手のランデン・ループ、メイソン・ブラック、ヘイデン・バーソングらもローテーションの座を狙います。
ジャイアンツの贅沢税の状況
今回のバーランダーのディールはPOBOがバスター・ポージーになってからの2度目のFA選手のディール。1人目はブルワーズからFAとなったSSのウィリー・アダムスとの7年/$182Mのディール。
実は前年のファーハン・ザイディ体制の時にマット・チャップマンとの6年/$151M (2025-30)の延長契約を結びましたが、それを影から支援したのはバスター・ポージーとも言われております。
ジャイアンツは2024年はブレイク・スネルの$31Mなどがあったので、贅沢税上のペイロールは$249.1Mとなり、閾値の$237Mを超過しました。それまでは超えていなかったので超過1年目です。
2025年の閾値は$241Mですが、現時点ではバーランダーの$15Mを入れてもまだ$219M。よってまだ$22M程度の余裕があります。
バスター・ポージーがPOBOになってからのジャイアンツはなかなか面白いですね。
ドジャースもうかうか出来ませんね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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