ハッピー・ディール?
現地2024年12月6日、これはむしろハッピー・ディールというふうに呼んでいいのかどうか?、クリーブランド・ガーディアンズがエースのシェーン・ビーバー(Shane Bieber)と再契約することになりました。こちらは現時点ではまだ合意ですが、すぐにオフィシャルになると思われます。
トミー・ジョン手術のリハビリ中
ガーディアンズのファンとしてはハッピー・ディール。シェーン・ビーバーとしてはトミー・ジョン手術の件もあり、ショート・タームで妥協セざるを得なかったというところでしょうか?それでもガーディアンズは誠意は見せていると思います。
シェーン・ビーバーは2024年はFA資格を取得する重要な1年でしたが、4月にUCLを傷めて離脱。MRI検査の結果、トミー・ジョン手術を実施し、2024年は手術前に2試合、12.0イニングを投げたのみでした。また、2024年は調停ファイナルイヤーでもありましたが、サラリーは1年/$13.125M (2024)で、今オフにFAとなっていました。
契約内容
現時点でわかっている内容はご覧の通り。
- 2年/$26M保証(2025-2026)
- 2025: $10M
- 2026: $16M プレーヤー・オプション($4Mバイアウト)
手術の影響もあり、2025年のサラリーは前年より下がりましたが、2年目はさすがにエースを気遣うようなプレーヤー・オプションで、シェーン・ビーバーは2025年終了後に再びFA市場に打って出る可能性を残しています。バイアウトは高めの$4M。
ショート・ターム
手術明けゆえにマルチイヤー・ディールとは言え、ショート・タームになっております。シェーン・ビーバーは1995年5月31日生まれの29歳(現地2024年12月6日時点)。開幕後に30歳となります。肘の状態と年齢のことを考えると、ここで3-4年のディールとなって30歳半ばで市場に出るよりは、1年で一旦FAとなった方がより良いディールとなる可能性があり、そうしたと思います。
エージェントはローゼンハウス・スポーツ・レプリゼンテーション(Rosenhaus Sports Representation)。顧客はNFLの選手が多いエージェントです。
ガーディアンズはサラリーの厳しいクラブでもありますが、誠意は見せたディールと言っていいと思います。
シェーン・ビーバーのキャリア
シェーン・ビーバーのキャリアですが、ドラフトは2016年のガーディアンズの4巡目指名。ドラフト・イヤーの2016年はいきなりクラスA-からスタートし、9試合24イニングを投げてERA 0.75。これがプロでのスタートでした。
マイナーで圧倒してきたビーバー
2017年はクラスAからスタートし、クラスA+、ダブルAと瞬く間に3レベルを駆け上がり、トータルで173.1イニングを投げて10勝5敗、ERA 2.86マーク。このイニング数を投じてBBはたったの10でBB9換算で0.5というあまり見たことのない程のクオリティーを発揮しました。
2018年はダブルAで開幕を迎え、5先発でERA1.16を記録すると、トリプルA・コロンバス・クリッパーズに昇格。5先発でERA 1.05をマーク。同年5月25日のグウィネット・ストライパーズ戦(ブレーブスのトリプルA)では、7回で雨天コールドとなったものの、7奪三振、無四球のノーヒットノーランを達成しています。
メジャーデビュー(2018年5月)
そして2018年5月31日のツインズ戦でメジャー・デビュー。これはトレバー・バウアーに休養日を与えるためのスポット的な起用でした、ビーバーは5.2イニングを投げて失点4。ゲームは9-8のスコアでインディアンスがツインズを下しています。
なおこの日はシェーン・ビーバーの誕生日で、誕生日に先発投手としてメジャー・デビューしたのは、2003年のエドウィン・ジャクソン以来6人目。デビュー戦での初勝利はならなかったものの、BB1というクオリティーの高い投球でデビュー戦を飾りました。
その後、一旦トリプルAに下がりましたが、2018年6月17日からはメジャーでローテーションを回し続けました。2018年は20試合、うち19試合に先発して114.2イニングを投げ、11勝5敗、ERA 4.55と素晴らしい成績を残しました。なお、2018年のAL ROYはエンゼルスの大谷選手でした。
翌2019年は圧巻の投球を披露。34試合に登板し、33先発。214.1イニングを投げ、15勝8敗、ERA 3.28、完投5、うち完封が2、奪三振 259、BB 40でS09が10.9、BB9が1.7。サイ・ヤング賞投票で4位、オースルターではMVPを受賞。
2020年についにサイ・ヤング賞
悔やまれるのがこのシーズンがコロナパンデミックで短縮シーズンでなけばという点です。2020年、シェーン・ビーバーは投手トリプルクラウンを達成。60試合中、12試合に先発して77.1 イニングで8勝1敗、ERA 1.63、奪三振 122。見事にサイ・ヤング賞を受賞し、MVP投票でも4位に入る活躍を見せました。
2021シーズンはシーズン最初の4試合の登板でいずれも10奪三振以上を記録。これは1893年以来初めての出来事となりました。この記録は、前シーズンも入れれば(ポストシーズンの先発を除く)6試合連続の二桁奪三振であり、1978年のノーラン・ライアンに並ぶものでした。
なお、シェーン・ビーバーはシーズン最初の4先発で48奪三振を記録していましたが、これは4月23日にジェイコブ・デグロムにより塗り替えられてしまいました。デグロムは最初の4先発で50奪三振をマークしました。
2021年は6月中旬から9月下旬まで離脱していたため、16先発で7勝4敗、ERA 3.17に終わりました。
2022年にも200イニング
クリーブランド・ガーディアンズにクラブ名が変更された2022年、シェーン・ビーバーはまたしても際立った投球を見せ、31先発、200.0IPで13勝8敗、ERA 2.88、奪三振 198をマーク。ALサイ・ヤング賞の投票では7位に入り、フィールディングでもゴールドグラブを受賞。チームもALセントラルを制覇。
ただ、地区タイトル獲得のうち、勝率が3位だったため、ポストシーズンではワイルドカードシリーズからスタート。シェーン・ビーバーは2022年10月7日のレイズとのGm1に先発して好投。また、ALDSのGm1でも6回途中2失点と好投しましたが、敗れました。チームも2勝3敗でヤンキースに敗れ敗退しました。
2023年は肘の故障のため、21試合、128.0イニングの登板にとどまり、6勝6敗、ERA 3.80。奪三振率も大幅に低下しました。
2024年はガーディアンズオープニング・ゲームの先発に抜擢され、3月28日のアスレチックス戦では、6回11奪三振無失点の快投を見せ、8-0のスコアで勝利。2度目の登板となった4月2日のマリナーズ戦では、またしても6回を無失点に抑え、9奪三振を記録。5-2のスコアで勝利し、2勝目を挙げました。非常に良い滑り出しだったのですが、上述のようにトミー・ジョン手術を受けることとなったのでした。なお、ERAは2試合で0.00でした。
ガーディアンズ、2024年の再現か?
2024年にALセントラルを制したガーディアンズ。ほぼ若手のみでのALセントラル制覇は衝撃的でした。ガーズ・ボールと呼ばれるスモール・ベースボールのガーディアンズ版を貶す選手もおりましたが、この戦い方は圧倒的なスーパースターはホセ・ラミレスくらいというガーディアンズならではの戦い方で素晴らしいの一言。
2024年はシェーン・ビーバー抜きで勝ち抜いたというのがまた素晴らしいポイントでもあります。
2025年、シェーン・ビーバーはおそらく後半戦からの復帰となるはず。ゆえに前半戦は昨シーズン同様、シェーン・ビーバー抜きの戦いを強いられます。しかし、2024年8月半ば、ガーディアンズは6月にサインしたTJリハビリ後のマシュー・ボイドの登場がチームを猛プッシュさせ、ポストシーズンでもALCSまで勝ち上がったように、2025シーズンも後半にシェーン・ビーバーが華麗に登場し、ガーディアンズの投手陣を支える!ということになるかもしれません。
シェーン・ビーバーが順調にリハビリしてまたプログレッシブ・フィールドのマウンドに上がるのを楽しみにしたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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