KCの投手陣は前も後ろも盤石!
現地2025年1月29日、ロイヤルズがブルペンを補強しました。元大谷選手の同僚で2024年のトレード・デッドラインでフィリーズのブルペン・ヘルプで移籍したカルロス・エステベス(Carlos Estévez)と2年契約で合意です。
こちらはまもなくオフィシャルとなる予定です。
契約内容
ロイヤルズとカルロス・エステベスの合意内容は以下の通り。
- 2 年/$22M (2025-26)+2027 クラブオプション
- 2027: $13M クラブオプション ($2M バイアウト)
2025年と2026年のサラリーの配分やサイニング・ボーナスがあるかどうかは現時点では不明ですが、単純にAAV(Annual Average Value))で$11Mです。2027年はそのAAVを上回る$13Mの設定で、そのクラブオプションが拒否された場合のバイアウトは$2Mとなっています。
非常に高単価のサラリーとなっています。
LAAとの前契約よりもアップ!
前日にカービー・イェーツが単年$13.5Mのサラリーでドジャースと合意しましたが、今回のカルロス・エステベスのディールはそれを上回る契約となっており、ブルペンで頑張る投手にとっても希望の持てるいい内容となっています。
カルロス・エステベスは2022年12月にエンゼルスとサイン。エンゼルスは2023年が大谷選手のFA前のファイナル・シーズンであり、その大谷選手がポストシーズン出場を望んでいたことから再契約に向けて資力を総動員する形で選手をかき集めました。
ブルペンでひっくり返される傾向の強かったエンゼルスがようやく獲得した切り札が当時ロッキーズからFAとなっていたカルロス・エステベスでした。
筆者も彼の動向には注目していて、投げっぷりがいいのでレッドソックスにサインしてもらいたかったのですが、エンゼルスが早々にディールを決めてしまいました。
その時の内容が2年/$13.5M (2023-24)で$6.75Mの均等割でしたので今回のディールは単価がグンと上がりました!
カルロス・エステベスとは
カルロス・エステベスは、2011年5月31日にコロラド・ロッキーズとアマチュアFAとしてサイン。ドミニカ共和国の出身です。
サイン後の2011年から2013年はルーキー・リーグに当たるドミニカ・サマー・リーグ、あるいはクラスAマイナスに所属。2013年には両レベルで6勝1敗、ERA 3.66をマークし、プロとして軌道に乗ってきました。
2014年にクラスAに昇格し、33試合で、53.1イニングを投げ、1勝3敗、ERA 4.73。2015年にはAAに昇格。さらに秋にはAFL(アリゾナ・フォール・リーグ)に参加。5試合、5.2イニングでERA 3.18と結果を出します。
コロラドで隠されていた力
2016年にAAAで開幕を迎え、4月23日にメジャー・デビュー。この年にいきなり63試合に登板。8月にはクローザー・ロールを担うことに。このシーズンは11セーブをマークし、55.0イニングでSOは59でERAは5.24。
2017年は怪我などもあり、35試合、32.1イニングにとどまり、5勝0敗でERAは5.57。
2018年は終年でAAAに在籍。大きな怪我ではなかったものの、小さな故障がかさなり、この年は、AAAでも28試合で、28.1イニングの登板に終わり、ERAは6.35。
2019年は71試合、72.0イニングを投げ、ERA3.75をマーク。SO9は10.1、BB9は2.9でした。
短縮シーズンの2020年はERA 7.50とどうも調整がうまく行かなかったようです。
2021年には64試合で、61.2イニングに登板し、11セーブをマーク。ERAは4.38。
そして2022シーズンは62試合で、57.0イニングを投げ、ERAは3.47、SO9は8.5、BB9は3.6となっています。
カルロス・エステベスは2016年のデビューから2022年までのロッキーズでの6シーズンのERAは 4.59と高め。怪我などもあり、馬力はあるけれども品質面はまだまだ粗さが目立ちました。ただし、これもヒッターズ・パークとして有名なクアーズ・フィールドを本拠地していた面が大いにあり、彼の才能は隠されたままでもありました。
山を降りてからは才能が明らかに
逆にコロラドで2019年に72.0イニングでERA3.75、2022シーズンに57.0イニングでERA 3.47をマークしたというのはすごいことです。
そして山を降りる形で2023年にFAでエンゼルスに移籍したエステベスは実力を大いに発揮。7月31日時点でのERAは43.0イニングを投げて1.88。非常に頼もしかったです。ただ、ラスト2ヶ月を切り、さすがに疲れが出ました。8月のERAはなんと9.00。9月は7.56。エステベスに負担がかかり過ぎ、肝心の終盤で息切れしてしまった形となりました。2023年は63試合で62.1イニングを投げ、ERA 3.90をマーク。配分を間違えたエンゼルスは要はセットアップが不足していたということでもあります。
2024年は高品質をキープ
2024年のカルロス・エステベスはエンゼルスでは勝ちゲームが少なくなったこともあり、登板数は減りました。34試合、34.0イニングでERAは2.38。2023年もこのくらいのペースなら良かったのですが・・・。
そしてトレード・デッドラインでフィリーズに移籍。フィリーズは状況としてはクロージングに左腕のホセ・アルバラードを起用していましたが、7月27日時点でERAが4.14と不安定でした。また、セランソニー・ドミンゲスもERA 4.75と今一つ調子に乗れなかったので、オースティン・ヘイズとのトレードでオリオールズへ。ゆえにカルロス・エステベスにブルペン・ヘルプを願い出たくらいの格好でした。
フィリーズ移籍後のエステベスは20試合、21.0イニングでERA 2.57をマーク。最後は地区優勝も経験できてよかったと思います。
ポストシーズンではメッツとのNLDSで3試合に登板し、2.2イニングで2失点、自責点1。
ロイヤルズのブルペン (vs 2024)
ロイヤルズの2025年のローテーションは2024年にサイ・ヤング賞候補ともなったセス・ルーゴを中心に左腕のコール・レーガンズ、そしてベテラン右腕のマイケル・ワカの3人が健在!NO1-3が決定。
2025年は前年に肩の手術でシーズンを棒に振ったカイル・ライトが戻ってきて、加えてクリス・ブービックも復帰。FAのマイケル・ローレンツェンとも再契約し、さらにアレック・マーシュもおり、かなり盤石。ローテーションは2024年もMLB NO.2と素晴らしかったです。
ところが、ブルペンは2024年はよくなかったのです。2024年のリリーバーのERAは4.13でMLB 20位。これが痛かったのです!
ルーカス・エルセグ獲得は成功
2024年のトレード・デッドラインでロイヤルズはブルペンの問題を解決すべく、トレードを実施。アスレチックスからルーカス・エルセグを獲得し、別のトレードでナショナルズからハンター・ハービーも獲得しました。ルーカス・エルセグはトレード後に2.88ERAを記録し、ポストシーズンでも6試合に登板してERA 3.00ERAをマーク。結果的に成功しました。
ただ、ハンター・ハービーの方は移籍後、背中の故障から登板はわずか6試合にとどまり、大きな効果を得ることは出来ませんでした。
カルロス・エステベスを獲得したことでロイヤルズは彼をクローザー・ロールに、ルーカス・エルセグをセットアップに回すことが出来、そして2025年まで支配下にあるハンター・ハービーも状態が良ければゲーム終盤に配置出来ます。
ローテーションは競争が生じていますから場合によっては、ローテーション候補のマイケル・ローレンツェンも後ろに回すかもしれません。
テイラー・クラーク、ジョン・シュライバーという力のある右腕もいますし、あとは2024年9月に前腕部を傷めたクリス・ストラットンの状態がどうなのかというところです。
ロイヤルズ、ブルペンもかなり不安要素を払拭しております。
楽しみですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント