レッズの2つのディール
スプリング・トレーニングがそろそろ見えてきた1月終盤、シンシナティ・レッズが補強に攻勢をかけて、続けざまに2つのディールを成立させました。
元オリオールズでフィリーズからFAとなっていたオースティン・ヘイズとサインし、トレードでジャイアンツからテイラー・ロジャーズを獲得しております。
まずはオースティン・ヘイズのディールから。
【1】FAのオースティン・ヘイズとの契約
やはりオリオールズの印象が強いオースティン・ヘイズ(Austin Hays/29歳)ですが、レッズと下記の内容でサインしています。
契約内容
- 1 年/$5M保証 (2025) + ミューチュアル・オプション
- 2025: $4M
- 2026: $12M ミューチュアル・オプション($1Mバイアウト)
- パフォーマンス・ボーナス:$1M
サラリーとオプションのギャップがかなりある珍しい契約です。
ノンテンダーとなっていたヘイズ
オースティン・ヘイズはFAとして契約したのですが、MLSはまだ5.057。実はヘイズは2024年11月にフィリーズからノンテンダーFAとなっていたのです。
2024年のサラリーですが、オリオールズと1 年/$6.3M (2024)でサイン。こちらは調停まで行った後の結果で、$6.3M-$5.85Mの争いだったのですが、オースティン・ヘイズが勝ちました。
この金額から行くと2025年のサラリーは下がっているのですが、その分オプションで希望をもつような内容に。ほぼべスティングのような形で一定の数字をクリアーすればサインというのがミューチュアル・オプションでは多いのですが、現時点ではその詳細は不明です。ただ、かなりハードルが高いことは予想出来ます。
なお、レッズはロスターを空けるため右腕のケイシー・レグミナ(Casey Legumina)をDFAにしています。
背景
オースティン・ヘイズは右投げ右打ちのOF。レッズにはTJ・フリードル、ジェイク・フレイリー、ウィル・ベンソンといういい打撃をもつOFが3人もいるのですが、いかんせん彼らはいずれも左打席。
一応、右打席でスチュアート・フェアチャイルド、スペンサー・スティール、ブレイク・ダンという選手たちもいるのですが、このうちスペンサー・スティールはOFというよりは1B候補。フェアチャイルド、ダンの2人はちょっと打撃が弱めですので、やはり上述の左打席の3名が1つ抜けていると行っていいでしょう。
その中でオースティン・ヘイズはレッズが求めていた右のOFであり、左投手に対してキャリアで.277/.331/.469の打撃を誇り、LFが中心なもののOFの3つのポジションについたことがあります。
2023年までのヘイズ
オースティン・ヘイズは2023年にオールスターに出場するなど2023年まではオリオールズ打線の中軸を打っていた選手。2021年から2023年までの3シーズン合計で420試合に出場し、.261/.313/.439 、OPS .752をマーク。HR 54、RBIは198。3シーズンの平均はHR18、RBI は66でスーパー・パワーではありませんが、非常にいい選手でした。
2022年にはサイクル安打も達成。
2024年は悪夢
ところが、2024年はかなり厳しい局面に立たされました。故障続きでスプリング・トレーニング中に右肩を打撲。4月終わりには左ふくらはぎの張り、6月には肋骨、7月には右膝と内転筋を傷め、8月には左ハムストリングス、ふくらはぎと次々に故障を発症し、さらに深刻だったのは筋肉ではなく腎臓の感染症に冒されたこと。
4月初旬に一度イルネスという曖昧な症状で休んだことがありましたが、思えばこの頃から何やらおかしかったのかもしれません。具体的に腎臓の感染症としてILに入ったのは9月半ばから。9月終盤には復帰しましたが、相当きつかったようです。
吐き気、ふらつき、腰痛、脚のだるさを伴い、さらには集中力を失い、会話の内容も忘れるほどで、秋口になり、次から次へと故障を発症させていた原因はどうやらこの腎臓の感染症にあるというのがようやくわかったのでした。
トレード・デッドラインでは右のLFが欲しかったフィリーズに移籍しましたが、このような状態ゆえにやはり結果は出ませんでした。
2024年はオリオールズで63試合に出場し、255/.316/.395、HR 3、RBI 14をマーク。フィリーズでは20試合に出場したのみで、.256 /275/.397、HR 2,RBI 6。まるで不発となったのでした。フィリーズのスカウトもこのあたりの情報をどこまでキャッチしていたのか、ちょっと疑問ですね。
上述のようにヘイズはポストシーズン前に復帰したものの、11月にはノンテンダーFAとなり、このディールに至ったという流れです。
体調さえよければ、かなり期待が持てる選手で、おまけにグレート・アメリカン・ボールパークはHRがよく出ますから、ヘイズにとっては追い風になりそうです。
【2】テイラー・ロジャースとのディール
さて、レッズはもう1つ、トレードでテイラー・ロジャースを獲得しています。
トレード概要
このトレードで動いた選手は計2名。
レッズGet
- テイラー・ロジャース(Taylor Rogers/34)LHP
- $6M キャッシュ・コンシダレーション
ジャイアンツGet
- ブラクストン・ロクスビー(Braxton Roxby/26)RHP
テイラー・ロジャースは2022年12月にジャイアンツと3年/$33M (2023-25)でサイン。2025年は$12Mが残っていました。ジャイアンツはその半分の$6Mを負担するという内容です。
(CIN)テイラー・ロジャース
34歳のテイラー・ロジャースは2016年にツインズでメジャーに到達し、即座にMLBで最も効果的なリリーバーの一人としての地位を確立。ツインズで6シーズンプレーし、2019年にはキャリアハイの30セーブを記録。ただ、このときはクローザー以外の役割での起用がほとんどでした。
2017年は7勝3敗、2018年はキャリアハイの72試合に登板し、2021年にはオールスターにも出場。7月26日時点で40試合に登板し、2勝4敗、ERA 3.35、9セーブを挙げていましたが、同日の登板で中指を捻挫してIL入り。これがシーズン最後の登板となりました。ツインズでは2017年、2019年、2020円と3度ポストシーズンに出場し、計4試合で3.1イニングを投げ、ERA 5.40。
双子対決
2022年シーズン開幕直前の4月7日、テイラー・ロジャースはOFのブレント・ルッカーとともにパドレスへトレードされ、ツインズはクリス・パダックとエミリオ・パガンを獲得。
2022年4月11日、双子の弟であるジャイアンツのアンダースロー、タイラー・ロジャースとの初対決が実現。このゲームは2人とも出場し、双子の兄弟が同じ試合でプレーする6組目のケースとなりました。ちなみに双子の兄弟が同じ試合に出場したのは、1990年のアスレチックスのホセ・カンセコとオジー・カンセコ以来のことでもありました。さらに、双子が反対のチームで投げ合うのはメジャー史上初の出来事でもありました。
このゲームではテイラーがパドレスの投手としてセーブポイントを上げ、タイラーはジャイアンツの敗戦投手に。
テイラーは2022年はパドレスで42試合に登板し、1勝5敗、28セーブを上げたものの、ERAは4.35。 7月に10試合でERA 9.31と苦しんだのが痛かったです。
ヘイダーとのトレード
2022年8月1日、パドレスがブルワーズのクローザーのジョシュ・ヘイダーをトレードで獲得。このとき、ブルワーズに動いたのがテイラー・ロジャースでした。ブルワーズ移籍後の成績は振るわず、24試合でERA 5.48、3セーブ。
双子で同チーム
テイラー・ロジャースは2022年12月にジャイアンツと3年契約を結び、これで双子の兄弟が同じチームに所属することに。これは1979年のブレーブスのミッキー・マーラーとリック・マーラー以来のことでした。
ジャイアンツでは堅実な2シーズンを過ごし、2023年には60試合に登板して6勝4敗2セーブ、ERA 3.83。2024年も64試合に登板して1勝4敗、ERA 2.40。
レッズのブルペン
レッズのブルペンはメッツのエドウィン・ディアスの弟、アレクセイ・ディアスがクローザーとして安定。QOを提示されたニック・マルチネスはセットアップ・ロールかと。ここにテイラー・ロジャースが入り、後ろはかなりよくなります。
そのほかにサム・モル、久々のエミリオ・バガン、左腕のブレント・スーターらがおります。
(SFG)ブラクストン・ロクスビー
ジャイアンツが獲得したブラクストン・ロクスビーは1999年3月12日生まれで、26歳で開幕を迎えます。
2020年6月にレッズとマイナー契約でサイン。この年は5巡目までしか指名できなかったのでアンドラフトでの入団ということに。
プロ入り後はマイナーですべてリリーフとして登板。2024年はダブルAで1年間過ごし、39試合、48.1 IPでERA 6.33。SO9はローマイナーからずっと高く、マイナー4シーズンで12.4を記録。BB9は4.2でリリーバーとしてはBBが多いので、このあたりは要改善となりそうです。カーブがなかなかよく、まっすぐも強めです。
Some more ST action #not4k pic.twitter.com/jaHRwj8BUX
— Braxton Roxby (@braxton_roxby) April 26, 2021
お読みいただき、ありがとうございました。
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