ハンター・グリーン、2025年はさらに完成度がアップ
現地2025年4月7日、レッズのハンター・グリーン(Hunter Greene)がキャリア最高と言ってもいいほどの素晴らしいピッチングを披露しました。しかも、対戦相手はサンフランシスコ・ジャイアンツで、このゲーム前までに7連勝を達成してシーズン成績を8勝1敗とし、あのドジャースさえも抜き去ってALウエスト首位に立っていた絶好調のチーム。
そんなジャイアンツを相手にハンター・グリーンは圧巻の投球。完成度がグンとアップした内容でした。
ハンター・グリーンは2024年にようやく本来の力を発揮し、それ以前とは違う姿を見せたのですが、この日の投球を見ると、2025年はサイ・ヤング賞も狙えそうなそんないいムードを漂わせておりました。
ポージーでガラッと変わったジャイアンツ
さて、ちょっとレッズから逸れるお話ですが、ナ・リーグ西地区と言えば、圧倒的戦力のドジャースが真っ先に浮かび、そのドジャースに負けじといい意地を見せているのがパドレスで、さらに新勢力のDバックスがこの両者を脅かす・・・というのが2023年から2024年にかけての図式で、ここに伝統クラブのジャイアンツの姿がなく、いささか寂しい状況となっておりました。
しかし、そんなジャイアンツにあのバスター・ポージーが復帰。今季からPOBO(President of Baseball Operations =編成トップ)に就任することとなりました。
バスター・ポージーは現役時代から彼の調子如何でジャイアンツの浮沈が決まったほどの影響力の大きい選手で、好調なシーズンは3度もワールドシリーズ制覇に導きました(2010/2012/2014)。
そして現役を退いてからもやはりその存在感は大きく、彼のPOBO就任でジャイアンツは今季、一気に生まれ変わりました。派手な補強といえば、ウィリー・アダムスくらいだったのですが、現有戦力をよく活かし、まさにロケット・スタートを切っております。
支配的な投球だったハンター・グリーン
ハンター・グリーンですが、立ち上がりから安定した投球。2回裏に先頭のマット・チャップマンを振り逃げで出塁させましたが、ヘリオット・ラモスをダブルプレーに打ち取り、チャンスの芽を積みました。
6回まで許した安打は2安打で、1巡目、2巡目(先頭のラモンテ・ウェイド・Jr.は3巡目に入っていましたが)でそれぞれ1安打ずつしか許さなかったという投球内容でした。
終盤に入っても同じで、7回は三者凡退。8回表に味方打線が2得点を上げ、スコアレスの均衡をやぶりましたが、直後の8回裏も三者凡退。
9回2アウトで交代
9回のマウンドにも上がったハンター・グリーンは先頭のラモンテ・ウェイド・Jr.から三振を奪い、まず1アウト。つづくウィリー・アダムスもRFフライに打ち取り、シャットアウト勝利まであとアウト1つと迫りました。
しかし、次打者のジュン・ホー・リーに安打で出塁を許し、さらにマット・チャップマンにフルカウントから四球を出したところで、テリー・フランコーナ監督がマウンドに向かい、「お疲れさん」と交代を告げたのでした。
ハンター・グリーンは8.2イニングを投げ、球数は104球。100球未満でのシャットアウトの「マダックス」さえも見えていた状況でした。104球のうちストライクは76球。被安打4、BB 1、SO 7と完璧な投球内容でした。
最後まで99mph
ハンター・グリーンはもともと快速球の投手として知られておりますが、この日は9回まで99mph台をマーク。最後まで減速しませんでした。
精度が高かったのがスライダーで、速度帯も少し変えていたと思います。
ウィニング・ショットは右打者にはスライダー、左打者にはスプリットでした。スプリットも精度が高かったです。
ハンター・グリーンはこの日が今季3度目の登板でしたが、実はジャイアンツ戦は2度目で、1度目は開幕戦でした。5.0 IPでER 2、SO 8、HR 1。レッズは4-6で敗れました。
前回登板はレンジャーズ戦で、7.0 IPで被安打3、ER 1、SO 8、HR。良い投球だったのですが、レンジャーズ先発のジャック・ライターが好投。レッズは0-1で敗れました。
そして今回のジャイアンツ戦で初勝利。好調な打線を相手に良い投球が続いております。
これまでは被弾の多かった
ハンター・グリーンは、1999年8月6日生まれの25才。カリフォルニア州のロサンゼルス出身。2017年のレッズの1巡目指名(全体2位)でプロ入り。
ドラフト翌年の2018年にはフューチャー・ゲームにも登板。102mpをマークし、大きな注目を集めました。
しかし、フューチャー・ゲーム登板後の2018年7月26日のマイナーのゲームで肘痛を発症。翌年の現地2019年4月1日にトミージョン手術を実施。2019年は全休することとなりました。
翌2020シーズンはマイナー・リーグがキャンセルになり、復帰タイミングの問題もあり、2020シーズンも全休しました。
復帰を遂げたのは2021シーズンで、ダブルAからスタートし、7試合、41.0イニングを投げて、敵なしの5勝0敗、ERA 1.98をマーク。SO9は13.2、BB9は3.1。
2021年6月17日からシーズン終盤の9月17日まではトリプルAで登板。14スタート、65.1イニングで5勝8敗、ERA 4.13、SO9が10.9、BB9が3.4でした。メジャーには上がらなかったものの、肘の調子を見つつもフルシーズンを過ごしたことは大きな自信となりました。
そして、現地2022年4月10日についにメジャー・デビュー。対戦相手は前年のワールドシリーズ・チャンプのブレーブスで、しかも相手投手はポストシーズンでも大活躍したイアン・アンダーソン。
非常にハードルの高いデビュー戦となったものの、ハンター・グリーンは5イニングを被安打4、失点3、与四球2、奪三振1でまとめ、ゲームメイク。レッズも6-3のスコアで勝利し、グリーンは見事にデビュー戦で初勝利を上げたのでした。
2022シーズンは100mph超えの投球が話題となりました。24試合に先発して、125.2 IPで5勝13敗、ERA 4.44、SO 164、BB 48。1つ問題があり、それがHRの被弾数。なんと24本を数えました。
これはスピンレートが高いがゆえに、ボールが飛ぶのか?それともHRパークであるレッズの本拠地のグレート・アメリカン・ボールパークの要素なのか?かなり謎でしたが、投球が単調であることと、コマンドの甘さもその原因でもありました。この年のHR%は4.5でリーグ平均の3.0を大きく上回りました。
2023も同じような投球が続き、22試合の先発で112.0 IPで4勝7敗、ERA 4.82。SOは152でBBは48、HRは19で、HR%は3.8と依然リーグ平均の上を行く数字となりました。
2024年に変化
このまま伸び悩んだままこのモンスターも潰れてしまうのか?などとネガティブなことを考えていたのですが、2024年は変わりました。26試合の先発で、9勝5敗、ERA 2.75と前年とは別人になりました。チーム状態がよくなかったので二桁は超えませんでしたが、強いクラブなら15勝くらいはしている投球内容でした。この年から、変化球の精度も上がり、コマンド・ミスも少なくなってきました。
そして2025年はほぼ完成形。まだまだ伸び代もあるよ!という状態になっております。
レッズは今のところは打線があまりよくありませんが、若いチームだけに乗ればモメンタムを作りますから、今季は援護も貰えそうです。ハンター・グリーンは本当にサイ・ヤング賞の候補になるかもしれません。
ローガン・ウェブも好投
ジャイアンツのエース、ローガン・ウェブも素晴らしい投球を披露。7イニングを被安打4、スコアレス、BB 0,SO 10とこれまた完璧な投球でした。
8回にカミーロ・ドバルに代わったのですが、四球絡みでランナーをためたところで、ブレイク・ダンにタイムリー・ダブルを浴びて2点を失い、これが決勝点となりました。
レッズは最後のアウトをトニー・サンティランがきっちりと取り、2-0のスコアで勝利。
なお、NLウエストはドジャースが敗れ、パドレスが勝ちましたので、パドレスが首位、ジャイアンツが2位、ドジャースが3位となっています。
レッズは4勝7敗で、5割に向けて頑張っているところです。
ハンター・グリーンの今季に注目したいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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