Dバックス、SSのヘラルド・ペルドモと延長契約へ
現地2025年2月18日に正式発表になったのですが、アリゾナ・ダイヤモンドバックスはSSのヘラルド・ペルドモ(Geraldo Perdomo)との4年の延長契約を発表しました。
これにより、DバックスはSSを向こう5年(延長契約は2026年から)はヘラルド・ペルドモに固定することを意味し、トップ・プロスペクトで非常に面白い素材のジョーダン・ローラー(Jordan Lawlar)にはまずは実力をつけて這い上がって来いと言わんばかりに鬼の教育を施すことを意味します。後述しますが、それほど崖から突き落とすほどの教育ではないです。
契約内容
Dバックスとヘラルド・ペルドモとの延長契約はご覧の通り。
- 1 年/$2.55M (2025) 調停を避けてサイン
- 4 年/$45M (2026-29) + 2030 クラブオプション
- サイニング・ボーナス:$5M
- 2026: $5M | 2027: $8M | 2028: $11M | 2029: $13M
- 2030: $15M クラブオプション ($3M バイアウト)
- 2028-30のサラリーはMVP投票でトップ10以内に入ればアップ
まず、2025年のサラリーは1月9日に調停を避けてサインしており、これはそのまま活かします。ヘラルド・ペルドモはMLSが2025年1月時点で3.015で、2025年のサラリー分が調停ステータスの1年目でした。
延長は2026年から2029年までの4年+1年クラブオプションで、カバーする範囲は調停ステータスの2年間とFA資格を得てからの2年間+1年クラブオプションです。
ヘラルド・ペルドモにとっては、FA資格を待って市場に出た方がいい条件になるのでは?などと筆者は思いました。調停の4年目、5年目は彼の活躍が継続するなら、相場よりちょっと上ぐらいか?と思いますし、FA後の2年間ももうちょっと上でも良いのでは?と思うのです。
2023年3月にDバックスと8年/$111M (2023-30)+ 2031 オプションでサインしたチームの顔的存在のコービン・キャロルと比較したとき、なるほど、コービン・キャロルのサラリー上昇ペースを下回るくらいの設定かと思いました。
コービン・キャロルの現時点でのMLSは2.038。2025年終了後のMLSが3.0を超えることになり、2026年のサラリーは$10Mでようやく二桁に乗ります。MLS3.00超え時点のサラリーはヘラルド・ペルドモが$2.55Mに対し、コービン・キャロルが$10Mでだいぶ差はありますが、ヘラルド・ペルドモにとっては、ラグジュアリーな延長契約ではないにせよ、FA前に相場よりも$1M-$2M高いくらいの設定で納得出来たということでしょう。若いうちの$1-$2Mはやはり大きいですからね。
あと、勿体ないなと思うのはヘラルド・ペルドモの誕生日は1999年12月22日で現時点でまだ25歳という点。つまり3年後の2027年終了後は28歳でFAで、30歳手前でのFAはかなり高額な契約が期待出来るのでその点でも勿体ないなと思いました。
今回の延長契約でDバックスが2030年のオプションを行使すれば、ペルドモは31歳でFA市場に出ることになります。そのときには怪我もなく、さらに価値が上がっていれば良いですね。
ヘラルド・ヘルドモの実力
彼の特徴はスイッチヒッターであることと、SSとして守備が強烈にうまいことです。2021年に21歳でデビュー。翌2022年に148試合に出場し、この頃はかなり守備が強いSSというイメージで、打撃では.195/.285/.262とほとんど貢献できませんでした。
2023年のWS進出に貢献
しかし、2023年は前半で.271/.378/.409、OPS .787という好成績をマーク。HR 5、Run 38、SB 11、RBI 33。これによりオールスターにも選出。
後半は.214/.322/.297と落ちましたが、シーズンを通しては.246/.353/.359をマーク。よかったのはBBを64も取り、SOが二桁の86しかなかったこと。SBも16。ゆえにDバックスのかき回すスタイルに非常にマッチしたと言っていいでしょう。
それに彼がSSにいることでDバックスの投手陣は安心して腕を振ることが出来、これが最終的にはWS進出にもつながりました。
2024年のペルドモ
2024年は4月に打率.250でスタートはあまりよくなく、シーズンの最初の2週間で右膝の半月板裂傷を患ったことで手術を受け、6月上旬まで離脱しました。
ただ、復帰時は.274/.345/.380を打って二塁打 20、HR 2と非常に良い数字を残しました。
彼はHRは少ない代わりに選球眼がよく三振が少ないのが評価されています。
またバント、走塁も高い評価があります。
SSのプロスペクト、ジョーダン・ローラーの立ち位置
DバックスにはSSのトップ・プロスペクトであるジョーダン・ローラーがおります。
ジョーダン・ローラーは2023年に20歳でデビューし、14試合で.129/.206/.129とMLB体験というシーズン成績となりましたが、この年、ワールド・シリーズに進出したDバックスは彼をポストシーズンのロスターから外しませんでした。まさにエリート教育。
この時点ではDバックスの2024年のSSはジョーダン・ローラーの可能性も十分にあったのです。
大いに期待されていたジョーダン・ローラーでしたが、2024年は大きなチャンスがあったにも関わらず、3月に右手親指を手術することとなり、この時点で8-10週間の離脱。結局、2024年は調整シーズンとなり、マイナーでもルーキーからトリプルAのレベルまで計23試合の出場に留まり、.318/.418/.482。出れば良い結果を出したという感じですが、メジャーでの出場はありませんでした。
Pre-2025のトップ・プロスペクト・ランクでは11位に入っており、期待値は変わりません。
ローラーはポジションを掴み取れと命じられるくらいの勢いで今季に臨みます。おそらくトリプルAで開幕を迎えることになりますが、シーズン半ばにはメジャーに上がってくるのでは?と思われます。
将来の3B
ヘラルド・ペルドモと延長契約を行い、ジョーダン・ローラーを下から鍛え直すことにしたDバックスですが、目論見もあります。
1つは2025年終了後に3Bのユーヘイニオ・スアレスがFAになること。これにより3Bが空きます。ゆえに2026年に3Bで機能するようにDバックスはジョーダン・ローラーを徹底して鍛え直したいわけです。
また、場合によってはユーヘイニオ・スアレスをトレードに出してローラーを使うという選択肢もあります。これはローラーのスプリング・トレーニングの出来如何によってその時期も特定されるのでは?などとも思われます。
Dバックスはなかなか興味深い編成をしているなと思う、ヘラルド・ペルドモの延長ディールでした。
マイク・ヘイゼン、さすがです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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