トロントが思い切った決断へ
ブルージェイズが大きな決断を下しました。
現地2025年4月6日、トロント・ブルージェイズは生え抜きのスター選手である1Bのブラディミール・ゲレロ・Jr.(Vladimir Guerrero Jr.)と14年の延長契約に合意しました。
両者はフィジカルチェックの結果を待って正式サインということになっています。
延長は2026年から
延長のスタートは2026年から。2025シーズンの契約内容は2025年1月9日に調停を避けてサインした以下の内容。
- 1年/$28.5M (2025)
両者の延長の合意内容は大筋では以下のとおりです。
【延長内容】
- 14年/$500M (2026-39)
- 繰り延べ払いなし!!
- フル・ノートレード条項あり
- AAVは$35.7M (端数省略)
- その他、条件は詳細が分かり次第記載。
AAV 35.7Mドルを41歳まで
ブルージェイズは思い切りました。AAVで$35.7Mです。
ブラディミール・ゲレロ・Jr.は2021年に48HRを放ち、大谷選手とAL MVPを争ったことから、大谷選手と年齢が拮抗しているイメージがありますが、大谷選手の方が上です。
ゲレロ・Jr.の誕生日は1999年3月16日で現時点で26歳。大谷選手は1994年7月5日生まれで現地2025年4月6日時点で満30歳で、7月の誕生日で満31歳になりますから4歳上です。大谷選手のNPBでのプロ1年目の2013年はゲレロ・Jr.はまだ14歳でした。
ゲレロ・Jr.の2025シーズンは26歳で、延長のスタートは27歳の2026年からですから、そこから14年ですと、41歳のシーズンまでということに。
ブルージェイズはAAV$35.7Mを41歳まで払うことになります。
契約のマイルストーン
ブライス・ハーパーやマイク・トラウトさえも凌駕したこの契約のマイルストーンです。
- フアン・ソト、大谷選手に次ぐ史上3番目の高額契約
- AAV $35.7Mは1Bの選手として史上最高額
- MLS 6年未満の選手としてのAAVが史上最高額(ゲレロ・Jr.のMLSは2025年1月時点で5.157)
にらみ合いの様相が決着へ
両者の契約延長交渉は、2024年シーズンオフに始まり、ゲレーロ自身は2024年12月にブルージェイズへの残留に興味があることを表明。
ただ、その後に成立したフアン・ソトの記録的な契約もあり、ゲレロ・Jr.自身の設定も高くなったことから、ブルージェイズの$340Mの1度目のオファーは、彼の期待を大きく下回りました。後述しますが、筆者などはこれでもハーパー・クラスですから、十分ではないか?と思っておりましたが、それはもう第三者が勝手も思ったことではあります。
期待はずれのオファーの提示に対し、ゲレーロ・Jr.は、ブルージェイズに対して、スプリングトレーニングの野手のワークアウトの初日である2025年2月18日を自ら交渉妥結の期限に設定。さらなるオファーを待ちましたが、しかしそのセルフ期限だけが過ぎ、グレープフルーツ・リーグも開幕。
3月に入り、ゲレロ・Jr.が求めているのは14-15年で$600Mより北(つまり$500M台)であることが判明。筆者などは「これはもう残留はないな」などと思っておりました。ブルージェイズはそこまで払わないと思ったのです。
ところが、交渉は続いており、球団社長であるマーク・シャピロ(Mark Shapiro)も態度を軟化。ゲレロ・Jr.との延長契約に自信をのぞかせ始め、 4月に入ってより具体的な交渉へ進み、最終的に2025年4月7日に合意に至りました。
そうなったのは、ゲレロ・Jr.の若さではないか?と筆者は思います。「生涯ブルージェイズ」となることで、チームの顔として今後も期待するというのもあったでしょうし、何より30歳まであと4年もあるというこの若さは、長期契約に堪え得る年齢であり、延長期間を長くすることでAAVを$40M未満に薄めることが出来ました。
繰り延べ払いがないので、$37.5Mがダイレクトに贅沢税のサラリー計算にカウントされてしまいますが、それでもまだ他の選手を獲得する余地が残される範囲です。
V・ゲレロ・Jr.のキャリア
お父さんがモンスター級の肩と打撃を誇ったゲレロ・Jr.はプロスペクト時代から大きな話題でした。
Pre-2019のプロスペクト・ランクでは1位。そして同年にわずか20歳でメジャー・デビュー。
最初のシーズンは、123試合に出場し、.272/.339/.433、HR15、RBI 69をマークし、rWARは2.2をマーク。素晴らしいデビューとなりました。2020年も.262/.329..462、HR 9をマーク。ただ、飛び抜けた数字にはなりませんでした。ただ、20歳と21歳のシーズンでこれだけの数字を残したのですから、大物の雰囲気も漂わせました。
大躍進だった2021年
メジャー3年目となった2021年。ゲレロ・Jr.はとにかくハードに撃ちまくりました。HRは48、で.311/.401/.601で、OPSは1.002。これだ飛び抜けた数字をマークしてもMVPを獲れなかったのは大谷選手の強烈な二刀流の活躍があったため。ゲレロ・Jr.を気の毒に思う声もありましたが、この成績が継続しなかったのが直近3年です。
2022、2023年とMVP級の活躍の継続ならず
2022年は160試合に出場したのは素晴らしかったのですが、.274/.339/.480、OPS .818。HR 32、RBI 97と数字としては素晴らしいのですが、前年に比べると物足りなさが残りました。
2023年は156試合で、.264/.345/.444、OPS .788、HR 26、RBI 94。この数字ももちろん素晴らしいのですが、2021年には及ばず。
2024年は盛り返す
2024年は159試合に出場し、.323/.396/.544、OPS .940と持ち直し、HR 30、RBI 103。
2022年以降も素晴らしい数字には違いないのですが、フアン・ソトや大谷選手のようなMVP級の活躍となったかといえば、上位には入るものの1位を争う数字にはならず。
TORのリスク
さらにブルージェイズにはリスクもあります。
2024年にはかなり痩せて登場したゲレロ・Jr.でしたが、ルーキー時代から体重が重く、将来にかけて膝へのリスクは懸念されておりました。
さらに守備は決して飛び抜けたうまさを持つわけではなく、走塁も今ひとつ。
ミゲル・カブレラやアルバート・プホルズがそうであったようにその魅力が打撃に大いにシフトしている選手の晩年はかなり覚悟しないといけません。
そこも含めたブルージェイズの延長契約でした。
お読みいただき、ありがとうございました。
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