TEX、ブルペン補強(第2段)
現地2024年1月25日、2023年のWS覇者のテキサス・レンジャーズがブルペン補強に着手。マイアミ・マーリンズからFAとなっていたベテラン・クローザーのデービッド・ロバートソン(David Robertson/39)と1年+オプションでサインするに至りました。
レンジャーズが今オフに大物ブルペン投手を獲得するのは、ウィンター・ミーティング中にカービー・イェーツとサインして以来のこと。あともう1枚ほど欲しいところです。
契約内容
両者の契約はご覧の通り。
- 1年/$11.5M 保証(2024) +2025 ミューチュアル・オプション
- 2024: $10M
- このうち$5Mが繰り延べ払い(2027-31に$1M/年ずつ支払い
- 2025: $7M ミューチュアル・オプション($1.5Mバイアウト)
- 2024: $10M
金額で行くと、2024年の$10.0Mと2025年のバイアウト分$1.5Mを加えた計$11.5Mが保証されていることとなっています。
さらに、2024年は$10Mのうち$5Mが繰り延べ払いで、2027年から2031年の間に毎年$1Mずつ支払われる設定ゆえ、贅沢税への計算は繰り延べ払いとなった$5Mの現在価値が反映され、ゆえに$10Mよりは若干安くなります。
背景
レンジャーズは今オフにアロルディス・チャップマン(PIT)、ウィル・スミス(KC)、クリス・ストラットン(KC)の3人のFA投手がすでに移籍済み。当初からブルペン補強を公言していましたが、上述の通り、ウィンター・ミーティング中にカービー・イェーツと1年/$4.5M (2024)でサイン。彼の加入は大きいですね。そして今回のデービッド・ロバートソンとのサインです。まだ1枚欲しいところではありますが、実力のあるリリーバー2人を獲得したのは大きく、彼ら2人はクローザーのホセ・レクラクにつなぐセットアップ・ロールになりそうです。
またレンジャーズは噂では、アストロズからFAのヘクター・ネリスを狙っていたとも言われていましたが、マルチイヤー・ディールを希望するネリスを獲得するとペイロールを刺激するため、年齢的にも単年で契約可能なデービッド・ロバートソンに切り替えたというところかと思います。
デービッド・ロバートソンとは
簡単にデービッド・ロバートソンのキャリアをご紹介しておきます。1985年4月9日生まれの38才(現地2024年1月26日時点)。2024年の開幕時も38才ですが、すぐに39才となりますので、上述の()内の年齢は39才にしております。
ドラフトは2006年のヤンキースの17巡目。アラバマ大学の出身。
M・リベラの後継
デビューは2008年で、当時はマリアーノ・リベラが絶対的な守護神として君臨していた時代でしたから、リリーバーの1人として稼働していました。
素晴らしかったのは2011年で、このシーズンは70試合、66.2イニングを投げ、被安打がたったの40、失点はわずか9でERは8。BB 35でSO 100をマーク。ERAはなんと1.08で完璧でした。SO9は13.5でBB9はちょっと高めの4.7。オフにはサイ・ヤング賞投票で11位に入り、MVP投票でも22位に。
徐々にゲーム・フィニッシュを任せられるようになったロバートソンは、2013年のマリアーノ・リベラのファイナル・イヤーをきっかけに2014年からヤンキースのクローザーとなりました。
このままヤンキースのクローザーとして最後まで全うするのかと思われたのですが、2014年10月にFA資格を満たし、そのままホワイトソックスと4年/$46M (2015-2018)でサインすることに!
ヤンキースとしてはアンドリュー・ミラーがいたこともあり、再契約にこだわっていませんでした。ちなみにそのアンドリュー・ミラーは2016年のトレード・デッドラインでインディアンスに移籍。そしてポストシーズンではALDS、ALCSで鬼のような投球を見せ、リリーバーの価値を多いに上げたのでした。レッドソックスもALDSでやられてしまいました。カブスとのワールドシリーズの死闘につながったわけです。
CWSでの投球
ホワイトソックスに移籍後のデービッド・ロバートソンは、2015年から2017年のトレード・デッドラインまで2年半在籍。この間、84セーブと素晴らしい実績を残します。
再びブロンクスへ
2017年のトレード・デッドラインで「売り」を選択したホワイトソックスは、デービッド・ロバートソンをトッド・フレージャー、トミー・ケインリーとともにヤンキースにトレード。代わりにプロスペクトを受け取りました。ヤンキースに移籍後の残りシーズンは30試合でERA 1.03をマーク。強烈なインパクトを残しました。
フィリーズでは不本意な成績に
2018年もヤンキースで過ごし、69試合でERA 3.23をマークしたロバートソンはFAとなり、2019年1月にフィリーズと2年/$23M (2019-20)+2021 $12Mクラブオプション($2Mバイアウト)でサイン。
ところが、フィリーズでは2019シーズン、わずか7試合に登板したところで右肘の故障に見舞われ、最終的に2019年8月にトミー・ジョン手術を受けることに。手術を受けたタイミングも悪かったので、2020年は全休に。2020年オフ、フィリーズは2021年のクラブオプションを当然拒否。ロバートソンはFAとなっていました。
東京五輪に出場
2021年に復帰したロバートソンは、1年遅れで開催となった2020年東京五輪のUSAのロスターに入り、銀メダル獲得に貢献。
レイズへ
五輪後の8月後半にレイズに入りました。レイズでは12試合でERA 4.50とやや荒れ気味。
カブスへ
2022年3月、ロックアウトが空けた後、カブスと1 年/$3.5M (2022)でサインしたロバートソンは、36試合でERA 2.23と好投。カブスはコンテンダーではなくなったため、ロバートソンはトレード・デッドラインで再びフィリーズへ
再びフィリーズ
フィリーズ移籍後は、前回の契約の穴を埋めるかのように活躍し、22試合でERA 2.70をマーク。ポストシーズンでもNLCS、WSで好投。フィリーズに貢献しました。
2023年のロバートソン
オフに再びFAとなったデービッド・ロバートソンは、2022年12月にメッツとサイン。メッツとしてはブルペンの補強のつもりで入れたのですが、2023年3月のWBCでクローザーのエドウィン・ディアスがドミニカ共和国戦に勝った後のセレブレーションで右ひざ膝蓋腱(しがいけん)を断裂。シーズンの全休が決まったこともあり、クローザーを務めることに。
メッツでは40試合で、14セーブ、ERA 2.05をマーク。鳴り物入りで開幕を迎えたメッツですが、ご承知の通り大コケし、トレード・デッドラインでは「売り」に走ることに。
その余波を受け、デービッド・ロバートソンも移籍。マイアミにトレードされました。
ただ、マイアミに移籍直後の1ヶ月は11.0 IPで失点13、ER 10と大荒れで、クローザー・ロールを外される事態に。ただ、9月からの1ヶ月は持ち直しました。
2023年はトータルでERAは3.03。
レンジャーズは贅沢税超えへ
この契約により、レンジャーズは2024年の贅沢税のしきい値である$237Mを超える見込みです。
レンジャーズは2023年も$242M超え(しきい値$233M)でしたから、2年連続で超過となり、$237Mから$257Mの範囲で収まるとは思うのですが、その場合のレートは32%に。
レンジャーズ、AL西地区のライバル、アストロズとの再対決に向けて着々と準備しています。
お読みいただき、ありがとうございました。
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