オプトアウトし、地元NY州へ
現地2024年1月11日、カブスからFAとなっていたマーカス・ストローマン(Marcus Stroman)のディールが決定。もう噂通り、ヤンキースとなりました。こちらは現時点では合意でまもなくオフィシャルとなる見込みです。
マーカス・ストローマンはもともとはNY州ロングアイランド島にあるパッチョーグ・メドフォード高校の卒業生で、今回のディールで地元でのプレーということに。ロングアイランド島はJFKエアポートのある島でもあります。同高校とは少し離れてはおりますが。
契約内容
両者の契約はご覧の通り。
- 2 年/$37M (2024-25) + 2026 クラブ・オプション
- 2026 $18M クラブオプション
- このクラブオプションはストローマンが2024年に140 IPをクリアーすると、プレーヤー・オプションに変更となる
- 2026 $18M クラブオプション
契約内容ですが、2年のAAVの値は$18.5M。3年目の2026年のクラブオプションは2024年にマーカス・ストローマンが140.0 IPを達成すればプレーヤー・オプションになります。べスティング・オプションの変形ですね。
前の契約
マーカス・ストローマンの前の契約は2021年12月にカブスとサインした以下の契約でした。
- 3 年/$71M (2022-24)
- サラリー:$25M x 2 (2022-23)、$21M(2024)
- 2023年終了後にオプトアウト可
マルチイヤー・ディールを視野に入れていたマーカス・ストローマンは、契約に盛り込んでいた通り、2023年終了後にオプアウトを実施。FA市場に打って出ました。
オフ・シーズン当初はロイヤルズの呼び声が高かったのですが、ロイヤルズがマイケル・ワカとセス・ルーゴの両右腕を追加したことでロイヤルズの線は消えました。
その後、山本投手の争奪戦などもありストローマンの周辺は静かなままだったのですが、2024年に入ってから引き合いが急増。レッドソックス、オリオールズ、ジャイアンツ、エンゼルスなどの噂が上がりましたが、最終的に地元州への凱旋となりました。
GBピッチャー
マーカス・ストローマンは強烈なアスリート能力を誇る投手ですが、5ft7inch(170cm)という体の小ささゆえに100mphを連発して打者をねじ伏せるという投手ではありません。その代わりに手にいれているのはGB%(Ground Ball%)の高さ。下記の表を見ていただいておわかりの通り、圧倒的にゴロが多いです。
シーズン | LD% | GB% | FB% | GB/FB |
2023 | 24.20% | 57.40% | 16.20% | 1.35 |
キャリア | 22.60% | 56.60% | 16.10% | 1.34 |
ゴロとフライの割合を表すGB/FBは分子のゴロが多いと1.0以上となるのですが、2023年もキャリアを通じても1.34と非常に高いものとなります。
これは何を意味するかというと、ヒッターズ・パークであるヤンキー・スタジアムにフィットしているということ。フライを上げさせなければHRは出ないわけですから、そこも含めてのディールとなります。
マーカス・ストローマンとは
マーカス・ストローマンは1991年5月1日生まれの32才(現地2024年1月12日時点)。シーズン途中で33才となります。ドラフトは2012年のブルージェイズの1巡目(全体22位)。デューク大の出身。
MLBデビューは2014年で23才の時。デビュー・イヤーでいきなり11勝6敗、ERA 3.65をマーク。しかし2年めの2015年はスプリング・トレーニングで膝の靭帯を断裂。復帰したのは9月半ばで結局、このシーズンは4試合、27.0 IPのみで終わります。ただし、4連勝しています!
2016年、2017年と2年連続で200イニング以上を投げ、そのうち2017年は13勝9敗、ERA 3.09をマーク。サイ・ヤング賞の投票で8位にランクイン。この年、ゴールドグラブ賞も受賞。勝利数の13勝はここまでのキャリアハイです。
2018年はオフの間に年俸調停となり、ストローマンは敗れました。しかも公聴会ではブルージェイズ側が自軍の判断の正しさを証明すればすれるほど、ストローマンに対して否定的な言葉を浴びせざるを得なかったという割と泥沼の惨状を経験します。ストローマンはこの時、所属クラブから浴びせられた言葉を忘れることが出来ないと語ったほど。
それらに加えて2018年は右肩の炎症で2度離脱せざるを得ず、19先発、102.1 IPで4勝9敗、ERA5.54と落ち込みました。
翌2019年は7月まで6勝11敗と負け越しはしたものの、ERA 2.96をマーク。トレード・デッドラインでメッツへ移籍しました。今回のディールでヤンキース入りとなるのでサブウエイ・シリーズを両方から経験することになります。メッツでは4勝2敗、ERA 3.77。
2020年はコロナ・パンデミックで登板せず。2020年終了後にFA資格を得たストローマンはメッツからQOを提示され、それを受諾。
2021年もメッツで投げることとなったストローマンは33先発、179.0 イニングを投げ、10勝13敗、ERA 3.02をマーク。
2021年オフに再びFAとなり、カブスと上述の契約でサインしたのでした。
2022年は25先発、138.2 IPで6勝7敗、ERA 3.50とそれなりの投球。
2023年は最初の4先発でERA 0.75という素晴らしい滑り出しを見せ、この好調はオールスター・ブレイクまで続き、7月15日時点で10勝6敗、ERA ERA 2.88をマーク。しかし、現地2023年8月16日に肋骨を骨折。約1ヶ月離脱し、9月半ばに復帰しますが、復帰後はショートイニングにとどまりました。2023年は結局、27試合中、25先発で、136.2 IPで10勝9敗、ERA 3.95とほぼ前年並みの数字となりました。
【YOUTUBE】Cubs All Access | Behind the Scenes of Stroman’s Stellar Season and Mervis’ Major League Debut
ヤンキースのローテーション
ヤンキースは2023年は左腕のネスター・コルテスとカルロス・ロドンが怪我に泣かされ、不本意なシーズンに終わりました。2024年は自身キャリア初のサイ・ヤング賞を受賞したゲリット・コールを大黒柱にそれ以外では9勝9敗、ERA 4.64の若手クラーク・シュミットが続くという状況。
ここにストローマンが入れば100.0 IP以上は堅いだけに現場の運用もかなり楽になりそうです。
ヤンキースのCB TAX
2024年の贅沢税のしきい値は297M。
ヤンキースの高額サラリーはアーロン・ジャッジの$40Mを筆頭に、ゲリット・コールの$36M、フアン・ソトの$31Mと続きますが、40manの予想総額は、すでに$300M超え。2022年、2023年とすでに2年連続超過のヤンキースは2024年も超過することは必至。3年連続超過となると110%で課税です。
なお、そんな贅沢税の状況のヤンキースですが、まだまだ先発ローテーション獲得に動く見込み。ブレイク・スネル、ジョーダン・モンゴメリーのFA陣の他に、ディラン・シーズ、シェーン・ビーバー、ヘスス・ルザルドなどトレード前提のディールも含めて噂は絶えません。果たして誰を獲得するでしょうか?ブレイク・スネルは持って行きそうな気配ですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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