注目のクローザーはアストロズへ
現地2024年1月19日、パドレスからFAとなっていた注目のクローザー、ジョシュ・ヘイダー(Josh Hader)はアストロズに決まりました!
現時点ではまだ合意でオフィシャルとはなっていませんが、フィジカルチェックなどを経てまもなくオフィシャルになる見込みです。
契約内容
その注目クローザーのジョシュ・ヘイダーの契約内容は大筋ではご覧の通り。
- 5年/$95M (2024-28)
- AAV: $19M(繰り延べ払いなし)
- アウォード・ボーナス
- Reliever of the year で$1M +
- フル・ノートレード条項あり
AAV(Annual Average Value)で$19Mで、繰り延べ払いはなしとのことですので、アストロズの贅沢税上のジョシュ・ヘイダーのサラリーは$19Mということに。追加でアウォード・ボーナスも入っているようです。
ジョシュ・ヘイダーは1994年4月7日生まれの29才。開幕してすぐに30才となります。今季を実質上30才のシーズンだとして、34才までのシーズンの契約となります。
E・ディアスの契約の次
今回のジョシュ・ヘイダーの契約は、リリーバーとして2番めのメガ・ディールです。1位はリリーバーとして初めて総額$100Mを超えたエドウィン・ディアスとメッツとの$102M。
(参考:エドウィン・ディアスの契約)
- 5年/$102M (2023-27)+2028 option
- サラリー
- $17.25M(2023-25)
- 2026: $18.5Mプレーヤー・オプション
- 2027: $18.5M プレーヤー・オプション
- 2028: $17.25M クラブ・オプション ($1M バイアウト)
- アウォード・ボーナスあり
- サラリーは繰り延べ払いあり
- サラリー
エドウィン・ディアスの場合、$102M保証というところ。4年目と5年目はプレーヤー・オプションです。
K・グレイブマンの全休も影響
アストロズは、今オフにヘクター・ネリス、フィル・メイトン、そしてライン・スタネックがFA。まだ再契約の可能性もありますが、3名が流出することを考えると、リリーバーを補強することは自然な成り行きでした。
アストロズにとって急転直下だったのは、2023年のトレード・デッドラインで補強したケンダール・グレイブマンが2024年は肩の手術で全休の見込みになったことです。
ケンダール・グレイブマンは2018年7月にトミー・ジョン手術を行っており、今回はそれに次ぐ大きな怪我ということに。
これがここ数日、ジョシュ・ヘイダーにもうブッシュをかけていた大きな理由でもありました。
ジョシュ・ヘイダーとは
デビュー前に2度のトレード
今季で30才となるジョシュ・ヘイダーはもともとはアマチュア・ドラフトでオリオールズから19巡目で指名されてプロ入りした左腕です。高校卒での指名でした。
当初は先発
マイナーでのプロデビュー後、2013年からは先発にコンバート。そして同年のトレード・デッドラインでオリオールズがバド・ノリスを獲得したトレードでアストロズへ移籍。
アストロズ傘下に入ったジョシュ・ヘイダーはこの時も主に先発で経験を積んでいました。そして2015年のトレード・デッドラインで再び動くことに。アストロズがマイク・ファイヤーズとカルロス・ゴメスを獲得したトレードで、ブルワーズに移籍。この時、エイドリアン・ハウザー、ブレット・フィリップス、ドミンゴ・サンタナも一緒に動くというなかなかのメンツのトレードでした。
そしてこのマイク・ファイヤーズがアストロズに入ったことで、後にサイン・スティーリング・スキャンダルが暴露されるという今から考えるとなかなかの因縁もののトレードとなったのでした。
ブルワーズ移籍後も主に先発で起用されていたジョシュ・ヘイダーでしたが、12試合に先発して3勝4敗、ERA 5.37とごくごく平凡な数字でした。そんな中、ジョシュ・ヘイダーは6月にMLBデビュー。
ブルペン起用で一気に才能開花
メジャー初戦は2017年6月10日のDバックス戦。7回の1イニングを投げ、BB2のスコアレス投球で、SO1。当初は腕試しのつもりでリリーフでマウンドに上げたブルワーズ・ベンチでしたが、その後もリリーフとして起用。適性を見出したということでしょう。
2017年はオール・リリーフ登板で35試合に登板し、ERAは2.08!47.2イニングで68人の打者から三振を奪い、わずか25安打を許しただけというとんでもない成績を残したのでした。
2018年からMLBを代表するクローザーに
2018年、ブルワーズはクローザーのコーリー・クネイブルが怪我で離脱。さらにクローザーを引き継いだマット・アルバーズも大苦戦となり、4月14日のメッツ戦で初めてジョシュ・ヘイダーがクローザーに抜擢されました。マウンドに上がったのは8回からだったのでイニングまたぎです。この時の相手はメッツで、ちょうど9連勝と抜群の強さを見せていた時期だったのですが、そのメッツからジョシュ・ヘイダーは6つアウトのうち5つの三振を奪い、大きな信頼を得ることに。
ジョシュ・ヘイダーはボールがあまりに強すぎて、クローザーよりもむしろゲーム終盤の一番むずかしい場面で登板することが増えて行きます。2018年は55試合で、81.1イニングを投げ、ERA 2.43、SO 143、SO9 15.8で、オフにはサイ・ヤング賞投票で7位に入るほど評価されたのでした。
2021年はERA 1.23
2019年は61試合で75.2 IPでSO 138、SO9 16.4とまたしてもとんでもない数字を出したジョシュ・ヘイダー。このシーズンから本格的にクローザーとなり、セーブ数は37をマーク。
2020年の短縮シーズンにおいてもしっかりと調整し、21試合で13セーブをマーク。ERAは2.79。
さらにすごかったのが2021年。2021年5月8日のマーリンズ戦ではキャリア通算400奪三振をマーク。これは234.2イニング目での達成で、それまでクレイグ・キンブレルが2014年に236イニングで達成した最速記録を更新することに。また、9月11日はコービン・バーンズとのコンバインド・ノーヒッターを達成。相手はインディアンズ。このシーズンは60試合、58.2 IPでERAが1.23 ! SO9は15.6 をマークしました。オフにはリリーバー・オブ・ザ・イヤーを受賞。
2022年、パドレスへ
2022年、開幕後のジョシュ・ヘイダーは神話になりつつありました。開幕から18試合連続でセーブを記録。さらに19試合連続でスコアレスもマーク。初めて失点を喫したのが、6月7日のフィリーズ戦で、アレク・ボームとマット・ベアリングによるHRの2失点でした。
この失点により2021年8月1日からシーズンをまたぎ記録していたスコアレス・イニングは40でストップ。ぞっとするほどのクオリティーでした。
4-5月のERAが0.00のまま初夏に突入したジョシュ・ヘイダーでしたが、6月に3.38となり、7月にはさらに悪化。13日のツインズ戦ではホセ・ミランダに3ランHRを打たれ、15日のジャイアンツ戦ではマイク・ヤストレムスキーのサヨナラHRを含む3本のHRで6失点。このインパクトのある2連続の失敗が大きく響き、7月のERAは12.54。
そして疑いの残るまま、サラリーアップを懸念したブルワーズがトレードデッドラインでパドレスにトレードしたのでした。
パドレス移籍後の8月も不調が続き、8試合の登板で12失点と、この月のERAは 19.06に。
ただ、9月には復調し、11試合でERA 0.87をマークしました。
2022年は56試合でERA ERA 5.22。最初と最後は極めて良かったのですが、中盤にちょっと荒れてしまいました。
2023年はまた輝くばかりの数字をマーク。61試合でERA 1.28 ! FAイヤーだっただけに、高品質の数字を残しましたね。
2023年はパドレスからQOを提示されるも拒否し、FAとなり今日に至るというところです。
MLB通算7シーズンで20勝21敗、165セーブ、ERA 2.50。
どうなるアストロズの後ろ!?
アストロズにはご承知の通り、ライアン・プレスリーという堅牢なクローザーがおります。
2023年、トレード・デッドラインで上述のケンダール・グレイブマンを加えてからのアストロズのブルペンのERAはシーズン終了までMLBトップ。ジョシュ・ヘイダー、ライアン・プレスリー、ブライアン・アブレイユの3名のバックエンドはもはやかつての阪神のJFK(ジェフ、藤川、久保田)を彷彿とさせる顔ぶれです。立場的にどちらをクローザーにするのか、シーズンに入ってから見ものですね。
アストロズのペナルティー
QOを拒否したヘイダーを獲得したアストロズは、2024年のドラフトで2番目に高い指名権と、インターナショナル・ボーナス・プールの$0.5Mの枠を失うことになります。
また2024年の贅沢税の閾値は$237Mですが、アストロズはおそらく超えることになります。サラリー調整をするのか注目です。
なお、アストロズはブルペンの3人がFAで1人がシーズン・ミッシングの見込みゆえ、たとえジョシュ・ヘイダーを入れたとしも、もう1人は補強することになるでしょう。
お読みいただき、ありがとうございました。
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