マット・チャップマンのディールがようやく成立
現地2024年3月1日、有力FAとして注目されながら、なかなかディールが成立しなかったマット・チャップマン(Matt Chapman)がサンフランシスコ・ジャイアンツと3年契約で合意しました。
シーズンが始まってすぐに31才となる名手マット・チャップマンが新たなキャリアをスタートさせます。
契約内容
両者は大筋で以下の内容で合意。
- 3年/$54M (2024-26)
- 2024: $20M
- 2025: $18M プレーヤー・オプション
- 2026: $16M プレーヤー・オプション
2年目と3年目にプレーヤー・オプションが入っており、これは2025年から実質的にオプトアウト可になっている内容です。
2024シーズンをジャイアンツで過ごした後は、再び市場に出てマルチイヤー・ディールを狙う・・・そんなことになるかもしれません。契約にはバイアウトが入っているかもしれませんが、現状では上述の内容です。
プレーヤー・オプションは選手に選択権がある契約ですから、オプトアウトしない限り、マット・チャップマンには3年が保証されています。
GG賞4度、プラチナ2度受賞のマット・チャップマン
アスレチックスでの5シーズン
マット・チャップマンは2014年のアマチュア・ドラフトでアスレチックスから1巡目指名(全体25位)を受けてプロ入り。CSUのフルトン校の出身でずっとカリフォルニアにおりました。
メジャー・デビューは2017年で24才のときです。ファースト・イヤーは84試合の出場で .234/.313/.472、HR 14、RBI40。
2年目の2018年からはエブリデー3Bとして出場。
アスレチックスには2017年から2021年まで計5シーズン在籍。計573試合で509安打を放ち、HR 111、RBI 296で、打率.243、OBP .330、SLG .478、OPS .988、OPS+ 120をマーク。
強烈なディフェンス力
アスレチックス在籍中、ディフェンスでは2018年、2019年、2021年とゴールドグラブ賞に3度輝き、そのうち2018年と2019年は2年連続でプラチナグラブ賞を受賞しております。
コロナ前はウィルソンのディフェンシブ・アウォードも実施されており、2018年と2019年に2年連続で3Bとして受賞。このアウォードは両リーグを通じてポジションでNO.1を選ぶ賞で、ナ・リーグのノーラン・アレナドを抑えての価値ある受賞でした。さらにこのうち、2018年はWilson Overall Defensive Players of the Yearというウィルソン版のプラチナグラブ的なディフェンスの最優秀賞を受賞。華麗な3Bの守備には定評があります。
またブルージェイズ移籍後の2023年にも4度目のGG賞を受賞しています。
主力が不在となったアスレチックス
2022年、リビルドに舵を切ったアスレチックスはその第1段としてシーズン開始前の3月半ばにマット・チャップマンをブルージェイズにトレード。アスレチックスはザック・ローグやケビン・スミスら4名を獲得し、サラリー・シェッド(削減)を行いました。
その後のアスレチックスは2023年が始まる前に主力をすべて放出。2018年から2020年まで3年連続でポストシーズンに進出した戦力をすべて削いで激しいサラリーシェッドを実施し、その結果、2023年の50勝112敗につながります。ちなみに2022年も60勝102敗で100敗超えです。2020年にゲート収入が入らなかったのが痛かったようですね。
ブルージェイズでの2シーズン
ブルージェイズに移籍したマット・チャップマンは2022年に155試合に出場。ディフェンスに安定感をもたらしたものの、打率.229、OBP .324、SLG .433と打率は下がりました。ただ、HRは27本をマークし、RBIはキャリアハイの76。
2023年は140試合に出場し、打率.240、OBP .330、SLG .424、HR 17、RBI 54。
打撃は飛び抜けて優れた数字を出していない点がこのFA市場で決め手に欠けた点でもありました。
高いSO rate
打率の割に高いOBPをマークしているのは、BB(四球)を多く選んでいるからで、キャリア平均でシーズン当たり70のBBを選んでいます。2021年は80。
ただし、三振が多く、2021年はなんと202。キャリア平均でシーズン当たり182を數え、SO rateは27.2 %。MLB平均が22.6%ですから高いです。
また、キャリアを通じて打者有利の2-0カウント(2ボール0ストライク)での打率は.409と高いものの、追い込まれ状況の0-2カウントでの打率が.124。スコアリング・ポジションでの打率は.248でそれなりです。
ジャイアンツ、選択肢は増える
ブランドン・クロフォードをFAで放出したジャイアンツは、内野の中心が抜けた訳ですが、SSにはマルコ・ルシアーノが入る見込み。2Bには2023年の通り、タイロ・エストラーダが入ることになりそうです。
2023年に3Bを守ったのはJ.D.デービスで、マット・チャップマンとの一騎打ちになりそうですが、ここでジャイアンツの打撃布陣に影響を与えそうなのが、今オフにサインしたホルヘ・ソレアーの存在。強力なバットを得たジャイアンツはホルヘ・ソレアーをDHで固定で起用することでしょう。おそらくOFを守ることはないと思われます。
ということでDHが埋まったジャイアンツは、2023年にAVG .284、HR 23をマークしたウィルマー・フローレスをどこで使うかにより、J.D.デービスの守備位置に影響を与えそうです。ウィルマー・フローレスの現時点での出場予定ポジションは1B。ラモンテ・ウェイド・Jr.と争うことになりそうですが、マット・チャップマン、J.D.デービス、ラモンテ・ウェイド・J.rと誰が出てもおかしくない状況ではあります。調子の悪い選手が脱落する・・・そんな状況になりそうです。選手にとっては大きなプレッシャーになりますが、ジャイアンツにとっては選択肢が増えたことは確か。
どのような布陣で臨むのか楽しみなところでもあります。
お読みいただき、ありがとうございました。
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