ブレイク・スネルもショート・タームに落ち着く
現地2024年3月18日、2023年に2度目のサイ・ヤング賞を受賞し、この冬の注目FAであった左腕のブレイク・スネル(Blake Snell)のディールがついに決定。サンフランシスコ・ジャイアンツが獲得しました。長かったですね。大谷選手が他のFA選手のディールに支障をきたさないように2023年12月にディールをまとめたにもかかわらず、ここまでかかりました。ブレイク・スネル獲得にはヤンキース、エンゼルス、そして直近ではアストロズの名前が上がりましたが、ジャイアンツがゲットしましたね。しかも、2年/$62Mならジャイアンツが想定していたであろうスネルのFA当初の金額より大幅安になったと思われます。
なお、まだ投手の有力FAにはジョーダン・モンゴメリーがおります。
契約内容
ジャイアンツとブレイスク・スネルは大筋で下記の内容で合意。現時点ではフィジカル・チェックの結果待ちで、まもなくオフィシャルになります。
- 2 年/$62M (2024-25)
- サイニング・ボーナス:$17M (2026年1月に支払われる予定)
- $15M(2024)
- $30Mプレーヤー・オプション(2025)
オプアウトあり
ロング・ターム&3桁($XXXM)を目指していたであろうブレイク・スネルですが、結果的にはショート・タームとなりました。さすがに単価は$30M平均と高いものになりましたが、サイニング・ボーナスも含めた設定となっています。サイニング・ボーナスにしたのは、年に2度の入金タイミングにしたということかと思います。これで節税になるとは思わないのですが、オフシーズンにドンと入ってくるのは大きいですね。
さらに2年目は実質オプトアウト可ということに。現時点で31才のブレイク・スネルは2024年終了後のオフシーズンは32才に。ここでもう一度市場に出るかどうかは今季の成績にかかってきますね。もはやバイアウト$17Mというような考えでオフシーズンに臨めるという考え方もできますね。
2年続かない傾向
Year | Age | Club | Lg | W | L | ERA | GS | IP | BB | SO |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2016 | 23 | TBR | AL | 6 | 8 | 3.54 | 19 | 89.0 | 51 | 98 |
2017 | 24 | TBR | AL | 5 | 7 | 4.04 | 24 | 129.1 | 59 | 119 |
2018 | 25 | TBR | AL | 21 | 5 | 1.89 | 31 | 180.2 | 64 | 221 |
2019 | 26 | TBR | AL | 6 | 8 | 4.29 | 23 | 107.0 | 40 | 147 |
2020 | 27 | TBR | AL | 4 | 2 | 3.24 | 11 | 50.0 | 18 | 63 |
2021 | 28 | SDP | NL | 7 | 6 | 4.20 | 27 | 128.2 | 69 | 170 |
2022 | 29 | SDP | NL | 8 | 10 | 3.38 | 24 | 128.0 | 51 | 171 |
2023 | 30 | SDP | NL | 14 | 9 | 2.25 | 32 | 180.0 | 99 | 234 |
ここでブレイク・スネルの成績を記載しておきたいのですが、ご覧の数字になっています。
圧倒的だった2018年(CY1度目)
下手をすれば23勝もあり得たブレイク・スネルの2018年。もう圧倒的でした。180.2イニングでBBがたったの64で、H9においても5.6しか計上しませんでした。ERAは1.89と2点を下回りました。ゾーンで勝負出来るボールをいかに多く投げていたかがこれだけでもよくわかります。まさに最高品質の投球。
ところが翌2019年は23先発で107.0 IPで6勝8敗、ERA 4.29。2020年は短縮シーズンでしたので、11試合4勝2敗、ERA 3.24でも御の字。問題は2021年と2022年ですね。ともにイニング数は128.0近辺で、二桁勝利はなりませんでした。ERAは4.20、3.38。
このように「2年続けて」というのがないのがブレイク・スネルの痛いところでした。ロングタームでの契約が色々と立ち消えたのもこれが原因ではないかと見られています。
2023年に2度目のCY賞
そして2023シーズン、ブレイク・スネルは直近2年の振るわなかったシーズンを取り戻すべく、開幕からローテーションを守ったものの、いかんせん、4月のパドレスはブレイク・スネルの登板日にことごとく敗戦。スネルの4月の成績は0勝4敗、ERA 5.48と大きくつまづき、2021年、2022年と同じか・・・と思わせました。
しかし、5月1日のレッズ戦で2023年の初勝利を上げ、6月から挽回。オールスター明けの7月30日に8勝8敗とここで負け数にようやく並び、以降は一敗したのみで14勝9敗にまとめてきました。パドレスの状態がもう少し良ければあと数勝は上積みできたという数字になりました。最終的なERAは2.25と2018年以来の素晴らしい投球をし、2度目のサイ・ヤング賞受賞と相成った訳です。
【YOUTUBE】Padres’ Blake Snell takes home his 2nd Cy Young Award! (2023 Highlights)
問題は2024年も高品質の投球が続くかどうか。ここで続けばスネルはオプトアウトし、再びロングタームの契約を勝ち取りに行く・・・そのような契約内容となっています。
ウェブ&スネルのトップ2
ブレイク・スネルが入ったことでジャイアンツは、ローガン・ウェブ&ブレイク・スネルという非常に強力なトップ2ローテーションが完成。その他、トッププロスペクトでスプリング・トレーニングで2勝、ERA 1.93の左腕のカイル・ハリソンがNO.3に入ってきそうです。そして今季から先発に転向する元カージナルスの剛腕ジョーダン・ヒックスがどこまで先発として結果を出すのかも楽しみです。現時点では未知数というしかありません。
ジャイアンツは今オフ、2021年ALサイ・ヤング賞のロビー・レイをトレードで獲得。ただ、ロビー・レイは2023年に肘の手術を行い、シーズンの大半はIL。手術の内容が腱の再建型のトミー・ジョンではなく、インターナル・ブレースであれば今季中の復帰もあり得ます。
さらに開幕はILですが、アレックス・コブも股関節の手術後のリハビリから復帰すれば、かなり優秀なローテーションを組めることになります。後ろにはカミーロ・ドバルがいますから、いい投手構成となります。テイラー・ロジャース(LHP)とタイラー・ロジャース(RHP)もいます。
また、ジャイアンツは今季からボブ・メルビンが指揮を執り、パドレスで彼の傘下でプレーしていたスネルにとっては良い環境になるかもしれませんね。
ジャイアンツ、贅沢税超えに
ブレイク・スネルを獲得したジャイアンツは今季はFAでホルヘ・ソレア、そしてマット・チャップマンを獲得。さすがに今季は贅沢税のしきい値の$237Mを超え、$250Mも超える見込みです。ジャイアンツは2015年から2017年まで贅沢税を払う立場でしたが、今回はそれ以来の贅沢税超えになります。
スネルはパドレスからのクオリファイング・オファー(QO)を辞退してFAに。そのスネルとサインするジャイアンツはすでに、マット・チャップマン獲得で2巡目指名権とインターナショナル・ボーナス・プール枠の50万ドルを放棄。今回のスネルの獲得により、さらに3巡目指名権(全体87位)とインターナショナル・ボーナス・プールから追加で$50Mの枠を失うことに。
なお、パドレスは2023年に贅沢税のしきい値を超えたため、QO辞退のFAを失った場合でも4巡目以降の指名権に限られます。
お読みいただき、ありがとうございました。
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