1ヒット・シャットアウト・ゲーム
現地2024年9月13日のこととなります。
コメリカ・パークで行われたオリオールズ@タイガース戦で、タイガース投手陣がとんでもなくすごいことをやり遂げようとしていました。
先にこのゲームで何が起こったかを書きますと、
- 7回終了までコンバインド・パーフェクトを継続
- 8回の先頭打者に四球を与えてコンバインド・パーフェクトは破綻。しかし、コンバインド・ノーノーは継続
- 9回2アウトまでコンバインド・ノーノーを継続
- あとアウト1人でコンバインド・ノーノーが破綻
7回までコンバインド・パーフェクト
この日、オリオールズ先発はザック・エフリン。今夏のトレード・デッドラインでレイズから移籍してきたエース級のポジションのピッチャーです。一方、タイガースはブルペン・ゲームでボー・ブリスキー(Beau Brieske)が先発。
タイガースはそのザック・エフリンから1回裏にケリー・カーペンターがソロHRを放ち、1点を先制。ザック・エフリンは7回2アウトまで投げたのですが、奪われた得点はこの1点のみ。
ブリスキーはオープナーで起用
タイガース先発のボー・ブリスキーは基本的にはリリーバーなのですが、A.J.ヒンチ監督はオールスター後からオープナーの先発として起用するケースを増やし、このゲームを含めてはや10度目の先発。メジャー・リーグはリリーバーも連投を避けて起用するケースが多く、ブリスキーも今季の連投は1度しかありません。どうせ、リリーバーとして1.0イニングを中1日でこなすなら、先発でも同じことということで、ショート・レストでオープナーとして先発しています。
この起用がかなり当たっており、ブリスキーはこのゲームも13.2 IPで打者64人に対して、被安打15、失点9、ER 8、BB 9、SO 16、ERA 5.27。ショート・イニングなので、1点でも得点されるとERAはグンと上がってしまうので、高めのERAとなっていますが、10試合中6試合でスコアレスなら十分に機能していると言っていいと思います。
このゲームでは上位打線4人をパーフェクトに抑えました。
ブラント・ハーターが無双のピッチング
オープナーの場合、2番手が肝要です。だいたい2番手がゲーム中盤までの3から4イニングを担うことが多いのですが、この日のタイガースは2回1アウトから左腕のブラント・ハーター(Brant Hurter)を起用。彼がすごかったです。
ブラント・ハーターは記録的には7回終了まで計5.2イニングを投げたのですが、奪三振8をマーク。8回表にもマウンドに上がったのですが、先頭のアドレー・ラッチマンにフルカウントから四球を出してしまい、惜しくもコンバインド・パーフェクトを逃しました。
A.J.ヒンチ監督はここで落胆によるピンチを避けるため、ハーターに代わって右腕のブレナン・ハニフィー(Brenan Hanifee)にスイッチ。彼がこのイニングをパーフェクトで締め、コンバインド・ノーヒッターへ望みを託します。
あとアウト1つでコンバインド・ノーヒッターを逃す
9回、タイガースは左腕のタイラー・ホールトン(Tyler Holton)が登板。2アウトまでこぎつけ、あと1アウトでコンバインド・ノーヒット・ノーランの達成というところまで来ました。
ここでバッターはオリオールズで一番いい打者のガナー・ヘンダーソンが打席に。その初球、すウィーバーが真ん中へ入ってきたのをヘンダーソンが見逃さず、RFへ三塁打を放ち、これでノーヒット・ノーランは無くなりました。惜しかったです。
タイガースは同点に追いつかれるピンチでもあったのですが、ホールトンはアンソニー・サンタンデアを三振に仕留めゲームセット。
惜しくも、大記録を逃したのでした。
ブラント・ハーターとは?
このゲームの主役となったブラント・ハーターについて記載します。
彼は1998年9月6日生まれで26才になったばかり。ジョージア州出身で2021年のアマチュア・ドラフトでタイガースから7巡目指名を受けてプロ入り。左腕投手で198cmの長身。
プロデビューは2022年からでルーキー・レベルを飛ばしてクラスAからスタート。開幕から2ヶ月後にはクラスA+に昇格し、さらに8月後半からはダブルAに昇格。
2023年はダブルAで1年間過ごし、2024年はトリプルAで開幕を迎えました。今季のPre-2024のトップ・プロスペクト・ランク100には残念ながら入っておらず。こういう投手が活躍するのが面白いところではあります。
2023年のダブルAでは26試合に先発し、6勝7敗でERA 3.78。SO9は10.8、BB9は2.5。
2024年はトリプルAで19試合中、18試合に先発。71.1 IPでERA 6.18、SO 9は8.8、BB9は2.9。
2024年8月4日にメジャー・デビューを果たし、このゲームを含め8試合に登板。先発は1試合だけなのですが、この日のようにロングリリーフを任されることが多く、38.2 IPで5勝1敗、ERA 2.56。タイガースは彼が途中でロングリリーフする際に逆転し、彼に勝ち星が就くケースが多いです。
今、タイガースはALワイルドカード3枠目を狙っていますが、タリク・スクーバルの圧倒的な投球だけでなく、彼のような存在がタイガースを押し上げていると言えます。
4シームはほとんどなく、ファストボールはシンカーでだいたい91-93mphで速くはありません。しかし、ボールにキレがあり、計測以上のスピードを感じさせます。左打者に食い込むシンカーはとても厄介。また長身ゆえ、スウィーパー、チェンジアップも効果的で、そのMIXで打者が翻弄。
オリオールズ打線も的を絞りきれておりませんでした。
彼は来年楽しみですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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