レッドソックス、延長戦でヤンキースを下す
レッドソックスは現地2024年7月5日からブロンクスでのヤンキース戦が始まりました。
このゲームはレッドソックスがタナー・ハウク、ヤンキースはネスター・コルテスの先発で始まり、ともに緊迫感のある引き締まった立ち上がりを見せたのですが、3回表を終えてレイン・ディレーが入り、文字通り水が差された状態となりました。ディレーは約40分つづき(公式では38分)、復帰後にゲームが動きました。
ヤンキースが先制
約40分待たされたタナー・ハウクは3回裏にアンソニー・ボルピーにCF前シングル、トレント・グリシャムに四球を与え、ノーアウト1、2塁のピンチを迎えますが、DJ・ルメイヒューを2Bゴロ、ベン・ライスをダブルプレーに打ち取り、無失点に。
しかし、4回裏にソト、ジャッジに連続四球を与え、1アウト後にグレイバー・トーレスに三遊間を抜けようかというヒット性の内野安打を打たれ、1アウト満塁のピンチに。
今季、67個目のエラー
ここでバッターは捕手のオースティン・ウェルズ。ハウクはウェルズとの4球目にスプリッターを投じ、引っ掛けさせ、4-6-3のダブルプレーコースの打球を打たせます。この辺りの投球はさすがでした。ところがこれを2Bのエマニュエル・バルデスがSSへ悪送球。これによりソトが本塁に生還し、ヤンキースがまずは1点を先制しました。
うまい守備が出ることもあれど、基本プレーが粗いことが多いレッドソックスのディフェンス。このエラーでシーズン通算のエラーが67個となり、もちろんこれはメジャー・ワースト。ワースト2位のマイアミが59個ですから、ダントツでワースト。ロン・ワシントンは今、エンゼルスの監督ですが、彼にショート・レンジからショートバウンドで取る基本練習をやってもらいたいくらいですね。
引き続き満塁でアンソニー・ボルピーに四球を与えたハウクはこのイニング2失点。ハウクはここで降板となりました。レイン・ディレーとエラーが重なり不運な登板になりましたね。
2番手のベイリー・ホーンはトレント・グリシャムを2Bゴロに打ち取るも、この間にさらに1点を許し、3-0とヤンキースが試合の主導権を握ります。
レッドソックスは直後の5回表に、このゲームに1Bで入ったロミー・ゴンザレスがLFへソロHRを放ち、1-3とまずは1点を返します。
吉田が起死回生の同点2ラン
ネスター・コルテスに6回まで3安打に抑えられたレッドソックスは2番手のルーク・ウィーバーにも簡単に打ち取られ7回、8回を無得点。
ただ、この間、2番手のホーンと3番手のキャム・ブーザーがスコアレスに抑えたのは大きかったです。5回と7回に回ってきたソト、ジャッジのターンを完璧に抑えました。彼らは影のゲームMVPですね。
レッドソックスは9回表はクレイ・ホームズと対戦。100mph近いシンカーが変化量豊富に動く訳ですから、これで終わりかと思っていました。実際、先頭のラファエル・デバースはピッチャー・ゴロ、このような状況を跳ね返すコナー・ウォンもSSゴロに倒れて2アウトに。
ここでアレックス・コーラはこの日、HRを放っているロミー・ゴンザレスに代えて、ベテランのドミニク・スミスを代打に送ります。クレイ・ホームズの1つの弱点はストライク、ボールが割とはっきり区別出来るシーンがあること。ドミニク・スミスは落ち着いており、2-1カウントから甘く入ってきたスライダーを叩き、RF前へシングル・ヒット。レッドソックス、首の皮一枚が残りました。
つづくバッターが吉田選手。ひょっとしたら、コーラはここで代打を送るのではないか?とヒヤヒヤしました。吉田選手はこの日はここまで3-0。しかし、コーラはこのまま吉田選手を打席に送ります。まるでテストするかのように。
打席での吉田選手の顔は集中力に研ぎ澄まされたような表情。これは行けるのでは?と期待をもたせる表情でした。しかし、吉田選手は早々に2ストライクと追い込まれます。ヤンキースからすれば勝利まであと1アウト。ただ、クレイ・ホームズははっきりとしたボール球を投げ、これも吉田選手を助けました。フルカウント後の2球はゾーンに来たものの、これをファウルでタイミングを調整していく吉田選手。8球目、96.1mphのシンカーがやや真ん中へ変化したのを吉田選手が強振。高さも低めだったことから、すくったというようなスイング。ちょうどWBCのメキシコ戦でのHRのように、吉田選手の打球は打った瞬間それとわかる大きなHRに。
レッドソックスが吉田選手の2ランHRで瀕死の状態から復活を遂げました。まさに起死回生の一打。いいHRでしたね。
セダン・ラファエラが勝ち越し2ランHR
9回裏、レッドソックスはジャスティン・スレイトゥンが下位打線を3人で打ち取り、ゲームは3-3のまま延長戦へ。10回表のヤンキースのマウンドにはトミー・ケインリーが上がりました。
先頭打者はセダン・ラファエラ。4月/5月は大苦戦した「守備の人」は6月にようやく本領を発揮し、AVG .315をマーク。今や打線に欠かせない存在に。
そのセダン・ラファエラがクレイ・ホームズの2球目の甘い4シームをCFバックスクリーンに弾き返し、レッドソックスが勝ち越し。オートマティック・ランナーがいたため、2ランHRとなり、5-3に。
10回裏、ケンリー・ジャンセンが登板し、先頭のソトにシングルを打たれ、ノーアウト1、3塁のピンチを迎えますが、カット・ボールが浮くように動き、ジャッジ、ベルドゥーゴを連続フライアウトに。最後はオズワルド・カブレラを1Bゴロに仕留め、ゲームセット。
レッドソックスがほぼ負けの状態から見事に復活しての勝利でした。
NYY、直近でERA大幅悪化
ヤンキースは直近15試合のチームERAが6.08に。これはMLBワースト2です。打線も直近15試合で.222とMLB24位。ここに来て双方でダウンしています。
これでレッドソックスは48勝39敗。ついにワイルドカード3枠目にも入ってきました。ヤンキースは54勝36敗。まだ3位レッドソックスよりも優位に立っていますが、この貯金をどこまでキープできるのか、オールスター前までにどう持ちこたえるのか、興味深いところです。
息を吐くようにヒットを放つ本来の吉田選手がこれで復活したと言っていいかもしれません。デバースの後ろで彼への警戒度を薄めて欲しいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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