気になるストラスバーグの今後
現地2024年3月17日、2024シーズンの全体の開幕まであと11日です。ナショナルズはすでに26才になったばかりの右腕、ジョサイア・グレイ(Joshiah Gray)をオープニング投手に指名。これは2013年にスティーブン・ストラスバーグ(Stephen Strasburg)が24才の若さでオープニング投手を務めて以来、クラブ史上2番目に若いオープニング投手となります。
ロスターに残ったまま
そのスティーブン・ストラスバーグですが、2023年9月にクラブ側から引退を打診。会見のスケジュールまで組まれていました。
ところがこの会見はキャンセルに。
オフシーズン、MLBではルール5ドラフトに向け、ロスター調整を行います。その際にはILに入っている選手も一度ロスターに入れ、選手をカウントすることになっています。引退会見キャンセル後、ひょっとしたらそのタイミングでストラスバーグに何等かの動きがあるのでは?と注視していましたが、そのまま40maロスターに復帰。
以降、その状態は変わらず、現地2024年3月17日の段階ではアクティブ・ロスターに名を連ねている状態です。
キャンプに姿を見せず
ナショナルズは現地2024年2月14日にピッチャーとキャッチャーのスプリング・トレーニングのワークアウトがスタート。やがてフルスクアッド(全体)のワークアウトがスタートし、2月終わりにはグレープフルーツ・リーグがスタート。そして3月に入り、現地2024年3月17日の段階でナショナルズは22試合を消化し、13勝9敗で好調。
しかし、ストラスバーグは未だパームビーチに顔を見せず。つまり、ナショナルズの40人ロースターどころか、アクティブ・ロスターにいるものの、プリング・トレーニングに参加していません。
GMのマイク・リッゾは「ああ、彼は40manロースターの他の選手と同じように招待されている」と答えるのみです。
やがてナショナルズはストラスバーグを60 Day ILに入れるのでしょうが、現状のままでは1人分の枠を潰しているのみ。一体、ナショナルズはこの問題をどう決着させるのでしょうか?
体調はかなり厳しい状態
ストラスバーグが最後に試合に登板したのは2022年6月のことで、その後は重度の神経損傷により、マウンド復帰を阻害されてきました。その治療過程は痛々しく、2021年の手術では肋骨と首の筋肉を2本切除。2023年の情報では、キャッチボールやワインドアップのシミュレーションができないほどしびれを感じ、日常生活にも支障をきたしているほど。
その後、改善したという情報はなく、とてもプレー出来る状態ではないと考えて良さそうです。
オーナーはナッツを売却せず
クラブ売却を計画していたオーナーのラーナー一族でしたが、ナショナルズが買われる前にオリオールズの売却が成立するなどディールはうまく行かず、現地2024年2月19日にクラブは売却しないと発表。
フアン・ソトを出した時や、ストラスバーグに引退会見を勧めた時とは状況が変わりましたが、コストは詰めて行くスタイルなのは変わりありません。
齟齬により会見はキャンセル
ストラスバーグは上述のような肉体的コンディションで本人が望もうにも体が言う事をきかない状態です。一旦は引退勧告を受け入れたのは、ナショナルズが当初、ストラスバーグに残り金額を全額支払うことを提案したため。
ナッツとストラスバーグの現契約は7年/$245M(2020-26)で、残りあと3年。繰り延べ払いも入れた総額は$35M/年x3で$105Mほど残っております。ところが、クラブ側がこの支払条件の変更を望み、全額保証とならなかったことから、引退会見はキャンセルとなったのでした。
自主引退なら残りは没収
ナショナルズは新たな合意事項を提案した訳ですが、ストラスバーグは回答しきれておりません。よって、まだ当初の契約のまま。
投げたくても投げられないストラスバーグが現状の契約のまま自主的に引退した場合、残り3年の金額は没収ということになります。
ナショナルズが提示したであろう妥協案にサインするか、あるいは現状の契約のまま3シーズンをILで過ごすのか。稼働していないのに大金をもらうのはこれはこれで非常に精神的に厳しいです。ストラスバーグにここで妥協しろという考えもあるでしょうが、今後の日常生活が取り戻せるのか?と考えた場合に、不安もあるのではないか?思います。
ストラスバーグが現状のままを選んだ場合、ナショナルズは次の3つのオフシーズンで40manロースター・スポットを犠牲にすることになります。
ナッツは保険に入らず
なお、ナショナルズにも強制的に解約する手段はあるようです。それはストラスバーグがスプリング・トレーニングに参加しなかったというペナルティー。ただし、これを実行した場合、双方ともに肉体的にプレーの準備ができてないことを認識している上での処置ですから、ナショナルズは悪者になるわけですから、あまり良い手ではないと言えるでしょう。よって、それはやらないのでは?とも思います。
過去、プリンス・フィルダーやメッツのデービッド・ライトも多額の契約を残しながら、肉体的にプレー続行不可と判断されました。
ただし、彼らの場合、サラリーの一部を支払う保険に入っていたと言われています。レンジャーズから解雇されたフィルダーもメッツの特別アドバイザーになったライトも保険会社と和解が成立し、年俸の一部が支払われることになりました。
ところがナッツはストラスバーグとの契約の保険には入っていませんでした。理由は、保険料が極めて高額になったからだと言われています。もし入っていれば、このような事態はなかったかもしれませんが、実際の保険料はとんでもない額だったのでしょう。
2019年のPSヒーロー
ナショナルズは2019年にワールドシリーズを制覇。1924年のセネタース以来となるD.C.でのワールドシリーズ制覇です。
スティーブン・ストラスバーグは、Game2(6回、2失点、7奪三振、1四球)と、勝敗がかかったGame6に登板(8回1/3、2失点、7奪三振、5安打、2四球)。ともに厳しい状況野中、アウェーで2勝。見事にワールドシリーズMVPに輝きました。
【YOUTUBE】Nationals’ Stephen Strasburg’s INSANE 2019 Postseason (3-0, 33 Ks 1.64 ERA)
ナショナルズはその数カ月後、ストラスバーグと現状の内容でサイン。
この決断の結果が今という解答になっています。
果たして、ナショナルズがどういう結論に持っていくのか、ここは注目ですね。結論はまだまだ先になりそうですが・・・。
お読みいただき、ありがとうございました。
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