かなりの大騒動になったホルヘ・ロペスの言動
日本では大谷選手の14号に湧いた現地2024年5月29日のドジャース@メッツ戦ですが、むしろサイド・ストーリーの方が大きくクローズアップされることとなりました。
その中心となったのはメッツのリリーバーのホルヘ・ロペス(Jorge Lopez)。衆目が目にしたところでは、降板時にグラブをスタンドに投げ入れたこと。そして試合後のインタビューで「メッツをMLBでワーストチーム」と発言したと報じられたこと。また降板時のグラブ投げ入れが一線を超えているとしてメッツからDFAとなったこと。さらに翌30日に前日の発言はノンネイティブゆえに誤解を招いたと説明した・・・そのような流れですが、もう少し詳細を見て行きます。
退場からグラブ投げまで
まず、メッツ自体が直近でかなり苦戦していた背景がありました。直近ではガーディアンズにスウィープされ、ジャイアンツにも危うくスウィープされそうになりながら、Gm3でなんとかサヨナラ勝ちを納めて連敗を5でストップ。そしてドジャース戦では連敗スタート。直近8試合で1勝7敗という厳しい状況だったのです。
そしてドジャースとの29日のGm3ですが、やはりドジャースが優位に試合を運び、ウィル・スミスのソロHRや大谷選手のタイムリーなどで5回表終了時でドジャースが3-0とリード。しかし、メッツは5回裏にトーマス・ニドの2ランHRなどで3点を奪い、3-3のタイスコアに持ち込み、さあ終盤勝負へという展開に持ち込みました。
ところが、8回表から登板したアダム・オッタビーノがドジャースに簡単に勝ち越しを許し、2点のリードを奪われて降板。ここで登板したのがホルヘ・ロペスでした。
そのホルヘ・ロペスも堰を切ったようなドジャースの攻撃の流れを止めきれず、まずは牽制悪送球で1アウト2、3塁としてしまい、ミゲル・ロハスに2点タイムリーダブルを打たれて、スコアは3-7に。ムーキー・ベッツはCFフライに仕留めて2アウトを奪ったものの、ミゲル・ロハスを2塁に置き、大谷選手には左中間に2ランHRを打たれて3-9と点差をさらに6点に拡げてしまう事態に。
そしてフレディー・フリーマンの打席で事件が発生。2−1カウント後に投げたボールに対するチェックスイングの判定をめぐり、スイングしていないと判定した3塁塁審のラモン・デヘスス(Ramon De Jesus)に猛抗議。双方、非常に激しい言い争いになりました。傍目から見れば、「あれをスイングと判定されてしまうと・・・」というくらいの動きでしたが、ホルヘ・ロペスはこれにブチギレました。
ここ2週間ほどのチーム事情、堪えなければいけい状況でさらに失点を重ねた自身への苛立ちも含め、沸点はかなり低い状況にあったと思われます。塁審への暴言で退場になったホルヘ・ロペスはダグアウトに下がる際にグラブをスタンドに投げ入れる行動に出たのでした。
これがグラブ投げまでの流れです。
なお、グラブを手に入れたことになったファンは大喜びだったようです。
I caught Jorge López's glove pic.twitter.com/anesZXQfoL
— Sam T ⚾️ (@EnterSamdman) May 30, 2024
ロッカールームでのインタビュー
そして、次に問題となったのが自軍への批判ととられたインタビュー。
グラブ投げ入れ
まず、グラブを投げ入れたことについては、”no regret “、後悔はないと答えました。
worst team か、worst teammateか
そして問題となったのがこの行で、
”I think I’ve been looking [like] the worst team in probably in the whole f—ing MLB.”
というのが最初に拡がりました。これは「おそらくMLB全体でも最悪のチームだと思う」となってしまいます。どんだけ自棄っぱちになったのか?と思っていたのですが、一晩明けた現地30日AMにホルヘ・ロペスはインスタグラムで誤解を解く方向で投稿。
Jorge Lopez released a statement on his Instagram pic.twitter.com/F4arcg7z2G
— Talkin’ Baseball (@TalkinBaseball_) May 30, 2024
まず、チームメイトやメッツ関係者に謝罪。その上で前日のロッカー・ルームでの発言はメッツ全体を貶める意図などなかったことを説明。自分の投球へのフラストレーションもあり、ほんとうは自分自身に当てた言葉であり、自身がノンネイティブゆえ誤解を招き、申し訳ないという趣旨の投稿を行いました。本当はこういう意図で使ったつもりであったと。
“I think I’ve been looking [like] the worst teammate probably in the whole f—ing MLB.”
「私自身がチームメイトとしてワーストであった」と。
DFA
ホルヘ・ロペスがインスタグラムに上述の投稿をする前、要は29日のゲーム終了後ですが、メッツはその日のうちにホルヘ・ロペスを40manロスターから外す決断を行いました。DFAですね。
実際の発表は30日午後で、時系列とすれば29日の夜にDFAを内部で決定→30日AMにホルヘ・ロペスがインスタグラムへ謝罪投稿→30日PMに正式にDFA・・・という流れになります。
DFA決定後のカルロス・メンドーサ監督のコメントです。「うまくプレーできていないとき、選手は感情をあらわにする。フラストレーションもある。でも、紙一重だ。昨日、彼は一線を越えてしまった。我々はそれを容認するつもりはない」
冷静さを欠いた行動の代償
29日のホルヘ・ロペスの投球は1イニングで3失点(うち自責点2)でリリーバーとして大乱調だった訳ですが、まだ31歳のロペスは、今シーズンは26イニングで ERA 3.12(ERA+122)をマーク。今季はとても好調だったのです。
複数要素のフラストレーションで冷静さを欠いてしまったホルヘ・ロペス。この一連の自棄っぱち行動はちょっと高い代償がつくかもしれません。損害賠償とかではなく、今後のキャリアについてです。問題行動と見なされれば獲得に手を上げるクラブがなくなるのがもっとも懸念するところです。
ここはどうなるか見守りたいですね。
もともと力のある投手
ホルヘ・ロペスはもともとは力のある投手です。だから、この行動は勿体ないの一言に尽きます。彼の名が知れ渡ったのは2018年のこと。あと3人のところでパーフェクトを逃す快投を見せたことがありました。この頃からシンカー、スライダーのキレがよく、将来性の高い投手でした。
さらに価値を高めたのが、オリオールズ時代です。ようやくオリオールズに春が来たという2022年、ホルヘ・ロペスは躍動しました。良い投球が続いたことと2022年はチーム事情でポストシーズンに進めなかったことでホルヘ・ロペスはトレードデッドラインでツインズへ移籍。
その後もブルペンで結果を出しつつ、2024年はメッツと契約していました。
ホルヘ・ロペスはこれからどうなるでしょうか??そしてメッツはこれから巻き返しを図ることが出来るか?見守りたいところです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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