ノン・コーチング・ロールでの就任
現地2024年1月15日、2023シーズンでアストロズの監督を勇退したダスティー・ベイカー(74才)がサンフランシスコ・ジャイアンツのスペシャル・アシスタント(特別補佐)として就任することが明らかとなりました。現場から一歩俯瞰するノンコーチング・ロールです。
Dusty Baker is joining the Giants front office as a special assistant, per @BNightengale pic.twitter.com/JcAhrGpH3f
— FOX Sports: MLB (@MLBONFOX) January 16, 2024
POBOとCEOを補佐
ダスティー・ベイカーがアシストするのは、POBO(President of Baseball Operations)のファーハン・ザイディ(Farhan Zaid)とCEOのラリー・ベア(Larry Baer )。編成トップとクラブ経営の双方で、フロント・オフィスには違いないですが、がりかりと編成やクラブ経営に乗り出す訳ではありません。あくまで助言を求められた時にこれまでの知見を提供すると言ったポジション。
ジャイアンツの組織
ジャイアンツの組織はご覧のような形態となっています。ベースボール・オペレーションはGM以下は省略で。
- 会長(Chairman):グレッグ・ジョンソン
- 副会長(Vice Chairman):ロブ・ディーン
- 主要パートナー(プリンシパル・パートナーズ):階層に関係なく複数
- エグゼクティブ・オフィス(Executive Office)
- 社長兼最高経営責任者(President & Chief Executive Officer): ラリー・ベア
- スペシャル・アシスタント:
- ウィリー・メイズ(92歳)
- バリー・ボンズ (59才)
- ウィル・クラーク (59才)
- スペシャル・アドバイザー: レネル・ブルックス=ムーン(Renel Brooks-Moon)
- 社長兼CEOのエグゼクティブ・アシスタント :テリー・ゲス(Terri Guess)
- 業務アシスタント: アリッサ・ラモン(Alyssa Ramont)
- スペシャル・アシスタント:
- 社長兼最高経営責任者(President & Chief Executive Officer): ラリー・ベア
- Baseball Operations
- POBO: ファーハン・ザイディ
- GM: ピート・プティラ
経営のトップのラリー・ベアとBOのトップのザイディの位置づけをイメージしていただく上でトップ層だけ記載しました。
こうやって見ると、「ザ・キャッチ」のウィリー・メイズ、バリー・ボンズ、ウィル・クラークとOB陣も名を連ねており、ダスティー・ベイカーもその1人として加わることに。ただ役割はボンズらとは異なり、現場から上がったばかりですから、編成も範囲に含まれます。
SFG監督時代
ダスティー・ベイカーは1993年から2002年まで10年間、ジャイアンツの監督を務めました。その間、MOY(Manager of the Year )を3度受賞(1993/1997/2000)。さらに、地区優勝2度(1997/2000)、NLペナント1度(2002)。840勝715敗。
因縁だった2023のALCS
ベイカーが2002年を最後にジャイアンツの監督を退いた後、その後を引き継いだのはフェリペ・アルー。MLB史上初のドミニカ共和国出身の監督でした。この風貌の人は見たことがあると思います。
Felipe Alou turns 88 today. Led MLB in hits in 1966 & 1968, runs in ‘66 & NL total bases that season. Was passed over for Expos manager far too often and deserved to manage Montreal in the unplayed 1994 World Series. He’s dedicated his life to the game. pic.twitter.com/iYHge2J4VP
— Stirrups Now! (@uniformcritic) May 12, 2023
そのフェリペ・アルーは2003年から2006年まで4シーズン監督を務め、地区優勝1度(2003)、2位を1度、3位を2度という好成績を収めました。
その後にジャイアンツを引き継いだのが、ブルース・ボーチーでした。2007年から2019年まで13シーズン監督を務め、ワールドシリーズチャンプ3度という輝かしい功績(2010年から偶数年に3度- 2010/2012/2014)。
ブルース・ボーチーは現時点で68才ゆえ、ダスティー・ベイカーより少し下の世代となるのですが、2023年のALCSは監督同士も意地の張り合いだった訳です。
その点で非常に興味深いCSでしたね。
- 【Gm1】10/15 🟡TEX 2 @ 0 HOU
- 先発:ジョーダン・モンゴメリー/ ジャスティン・バーランダー
- 【Gm2】10/16 🟡🟡TEX 5 @ 4 HOU
- 先発:ネイサン・イオバルディ/ フランバー・バルデス
- 【Gm3】10/18 🟡HOU 8 @ 5 TEX🟡🟡
- 先発: クリスチャン・ハビエル/ マックス・シャーザー
- 【Gm4】10/19 🟡🟡 HOU 10 @ 3 TEX 🟡🟡
- 先発:ホセ・ウルキディー/ アンドリュー・ヒーニー
- 【Gm5】10/20🟡🟡🟡HOU 5 @ 4 TEX🟡🟡
- 先発:ジャスティン・バーランダー/ジョーダン・モンゴメリー
- 【Gm6】10/22🟡🟡🟡TEX 9 @ 2 HOU🟡🟡🟡
- 先発:ネイサン・イオバルディ/ フランバー・バルデス
- 【Gm7】10/23 🟡🟡🟡🟡TEX 11 @ 4 HOU🟡🟡🟡 →TEXがWSへ
- 先発:マックス・シャーザー/ クリスチャン・ハビエル
唯一のWSチャンプは2022
ダスティー・ベイカーは監督として26シーズンのキャリアを誇ります。ただ、再建など難しい状態からお願いされることが多く、それゆえワールドシリーズ・チャンプになったのは2022年のアストロズでの1度だけ。
アストロズは引き受けた時から強かったのですが、いかんせん2019年オフにサイン・スティーリング・スキャンダルが明るみになり、大騒動になった後の火消しの役割も担っての就任でしたから、大変な逆風の中で指揮を執ることになったのでした。
泥臭いオールド・スクール・スタイルのダスティー・ベイカーは、ハイテクによるサイン検知とは真逆の存在ゆえ白羽の矢が立ったのでした。
このように大変な時に就任し、コツコツ積み上げて良いチームに仕立て上げる手法は、数字以上に評価されており、近い将来のHOF入りも間違いないとも言われております。
監督としての通算成績は2183勝1862敗で、勝率.540。
レッズ時代に不整脈で倒れたこともあり、健康問題が心配でもありました。
ドジャース対策の一貫
POBOのザイディとしては「ドジャースをなんとかしないと」という思いがあり、ベイカーの協力もお願いしたというところでしょう。今季からジャイアンツはボブ・ベルビンが現場の指揮と執ります。
ベイカーを含めて知恵の結晶が多数いるジャイアンツ。どんな戦いを見せるのか注目ですね。
ダスティー・ベイカーの 現役時代の映像です。1977年NLCS Gm2でグランドスラムを放ったベイカー。1976-1983の間はドジャースでプレーしていました。
お読みいただき、ありがとうございました。
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