カブスが来季に向けた決断
二桁勝利まであと1勝と迫る今永投手を抱えるカブスは、ここに来て順位を上げています。今ひとつ力を発揮できないカージナルスを尻目にいつの間にかNLセントラル2位に躍進。
ただし、2位とは言え、62勝64敗と借金2です。これは5月、6月と大失速して21勝34敗と大きく落ち込んだのが原因です。終盤の運命を左右する7月の戦績は13勝12敗と勝ち越したものの、順位は最下位が続いていましたので、沈滞ムードの中、トレード・デッドラインを迎えました。
トレードDLでは補強も行ったカブス
本来、この立場なら「売り手」となり、サラリー削減のために主力を放出するのですが、編成トップのジェド・ホイヤーは、何か感じるものがあったのか、大胆な解体は行わず、むしろ来季に向けてという名目のもと、補強に力を入れました。出したのはリリーバーのマーク・ライター・Jr(ヤンキースへ)と3Bのクリストファー・モレルくらい(レイズへ)。
また、モレルを出して獲得したのがアイザック・パレデス。貧打に苦しむ打線の救世主にというところでしたが、カブス移籍後は打率.143と貧打解消の効果は出ておりません。
良かったのはかつて豪腕と言われていたネイト・ピアソンをブルージェイズから獲得したこと。カブス移籍後はERA 2.89とこちらは大きな戦力になっています。
まだまだ貧打に苦しむカブスですが、ポストシーズンへの出場の芽もわずかながらまだ残っております。本当にわずかですが。
ヘクター・ネリスをリリース
そんなカブスが現地2024年8月20日に行ったのがクローザー・ロールのヘクター・ネリスのリリース。
カブスはこのベテラン右腕を一旦、DFAにしてロスターから外し、リリースしました。その発表が20日でしたが、正式にはウェーバーにもかけたようで、それもクリアー。つまり獲得の手が挙がらなかったとしています。
そのネリスのリリースで空いたロスターの枠には、3Aのアイオワから右腕のジャック・ニーリーを招集。彼はマーク・ライター・Jr.とのトレードでヤンキースから獲得した右腕です。
カブスがリリースした理由
ネリスの契約
ヘクター・ネリスはベテラン・リリーバーで35才。2023年終了後にFAとなり、市場ではかなり注目されていました。なにしろ2023年はアストロズのセットアッパーとして71試合に登板してERA1.71をマーク。しかも7回、8回の非常に厳しい場面でこの数字でしたから、一目置かれておりました。
本人はマルチイヤー・ディールを望んでいましたが、35才という年齢や直近3シーズンで70試合以上の登板が続いたことによる疲労などをネガティブに捉えたクラブが多く、実際の市場ではあまりヒートアップしませんでした。本人も早い内に妥協し、2月になる前に一番条件の良かったカブスと1年契約でサイン。内容は以下の通りです。
- 1年/$9M (2024) + 2025 クラブ・オプション
- 2024年に60試合に登板するか、あるいは45試合を締めるかのどちらかで2025年は$9Mのプレーヤー・オプションに変更可
- その他の条件としては2024年のファイナル・ゲームの時点で怪我をしていないこと、あるいは重大な故障をしていないこと
- その他、インセンティブ
- 2024年に60試合に登板するか、あるいは45試合を締めるかのどちらかで2025年は$9Mのプレーヤー・オプションに変更可
ヘクター・ネリスはカブスでの最後の登板となった現地2024年8月18日のゲームを終えて、46試合に登板。ゲーム締めは33試合でした。つまり、シーズン終了時に怪我がないことという付帯条件はつくものの、2025年のプレーヤー・オプションへの変換の条件の60試合登板が見えていたのです。
言ってみれば、この条件を崩すための処置がDFA→リリースだったということになります。
17SVという成績
今季のネリスの成績は、46試合、8勝4敗、17 SV。8勝というのが厄介なところで、ネリスは今季25回あったセーブシチュエーションのうち、5試合のリードを吹き飛ばしました。吹き飛ばして、直後に打線が逆転し、勝利投手になっているので8勝まで到達しています。これが最も痛いところでした。
SO%は23.5%とリーグ平均の22.0%を上回ったものの、2023年の28.2%、2022年の30.0%から悪化。さらにBB%は13.3%でリーグ平均の8.3%を上回り、これがセーブ失敗の要因の1つでもありました。
このクローザーとして不安定なパフォーマンスを考えると、カブスは来季は更新したくなかったと言えます。
リリース後のネリス
カブスは契約途中での解除で、残りサラリーも支払うことを了承してリリースしています。
すでにFAとなっていますので、もしもネリスが他クラブとサインすることになれば、獲得したクラブはメジャー最低年俸の日割りのサラリーで済むことになります。それが決まれば、その分だけカブスの残債から差し引かれます。
今季の他クラブの状況ですが、残りの期間で獲得に手を挙げるクラブは出てくる可能性が高いです。
そしてもしも9月1日より前に新しいクラブとサインすることができれば、それが仮にマイナー契約であっても、そのクラブのポストシーズン・ロスターに名を連ねることが出来ます。つまり、ポストシーズンに出場可です。上述の通り、サラリーも安くなるので、ブルペン・ヘルプで手を挙げるクラブは出てくると思われます。
カブスのクローザー
カブスはアドバート・アルゾレー(Adbert Alzolay)が前腕部を捻挫し、IL中。7月末に一旦はリハビリ登板でマイナーにアサインされましたが、8月初旬、トミー・ジョン手術ということになりました。2023年も前腕部を捻挫していましたから、もう肘は相当悪かったのだと思います。
現在、クローザーとしてカブスは23才のポーター・ホッジを起用。ERA 2.08、WHIP 0.89と好調です。また、ネイト・ピアソンもイニングまたぎですでに3試合を締めています。
5月、6月と違い、後ろがかなりよくなったので、あとは打線がもう少し機能すればNLのワイルドカード争いに影響を与えるかもしれないですね。そして今永投手の10勝目もかなり期待できます。今永投手はあと5回くらいは登板機会がありますので、12勝くらいしれたら良いですね。
追記あり:HOUへ
現地2024年8月23日、ヘクター・ネリスの移籍先が決まりました。
かつて2022年、2023年に在籍したヒューストン・アストロズとメジャー契約でサインです。アストロズはメジャー最低年俸の日割りのみで済みます。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント