デービッド・ロス監督は急遽解任へ
これはなかなか衝撃的でした!現地2023年11月6日、ブルワーズで9シーズン監督を務め、2023年で契約満了となり、その動向に注目が集まっていたクレイグ・カウンセルがなんと同地区ライバルのカブスの監督への就任が決まりました。
急転直下
これはまさに急転直下の監督人事で、カブスはデービッド・ロス監督を解任した上で次期監督を据えるというあまり聞いたことのない交代劇でした。
デービッド・ロス監督の実績
カブスとデービッド・ロス監督はそもそもは2019年10月にサイン。この時の契約は3 年(2020-22)+ 2023 クラブ・オプションという内容。そして任期があと1年残っている中で2022シーズン開幕前の2022年3月11日に新しい内容で延長契約。これが現契約で2 年 (2023-24)+ 2025 クラブオプションでした。つまりデービッド・ロス監督はまだ任期途中だったのです。その中での急遽の監督交代。一体何があったのでしょうか?
2020年が監督初年度となったデービッド・ロスは、カブスをプレーオフに導きました。ご承知の通り、このシーズンはコロナ・パンデミックで短縮シーズンになった年。調整に手こずった選手が続出し、監督としての舵取りが難しい中、デービッド・ロス監督は初年度から結果を出しました。
ちょうどこの時期は2016年のワールドシリーズのメンバーがFAとなる時期で、カブスの2021年問題としてかなり前から話題になりましたが、カブスは解体→リビルドの方に舵を取りました。さらに2020年が無観客だったこともあり、ゲート収入が著しく落ち込み、収益が激減したカブスは解体をさらに加速させました。2020年オフにはカイル・シュワーバーにノンテンダーを出すなど、かなり思い切った決断を実行します。
再建の中、デービッド・ロス監督は2021年と2022年に負け越し。2021年は71勝91敗でNLセントラル4位、2022年は74勝88敗で3位に。極端な落ち込みはなかったものの、負け越しという残念なシーズンが続きました。
再建が見え始めたのは2022シーズンからでこのシーズン前には鈴木誠也選手を獲得。それでも2022年は結果が出ず、そのオフには収益も改善し、もはや再建モードを脱したということでダンスビー・スワンソンを獲得するなど大型補強を実施しました。
その甲斐もあり、2023年は83勝79敗で得失点差プラス96と大きく前進。シーズン終盤までプレーオフ進出を争いました。
シーズン終了後、主席オーナーのトム・リケッツはデービッド・ロス監督について「ロッシーは素晴らしい仕事をしたと思う。彼は素晴らしいクラブハウス文化を作り出し、選手たちは彼の下でプレーすることを愛している。彼は、162試合を戦い抜くために必要な、安定したバランスの取れたアプローチを続けている」と賞賛の言葉を送ったほどでした。
GMのジェド・ホイヤーもオーナーのトム・リケッツもロス監督を指示していたにも関わらず、この決断。やはりちょっと謎が多いですね。
考えられるのはPS逃しか?
上述のようにカブスは2023シーズンは83勝79敗で貯金ありでフィニッシュしました。ただ、ポストシーズン争いはシーズン終盤まで続き、カブスが参戦するかと思ったのですが、最後は失速してしまいました。結果、ワイルドカード枠は2位と3位に同率勝率でマーリンズとDバックスが入り、84勝78敗。直接対決の差でマーリンズが2位の座に。カブスとWC枠2位・3位の差は勝ち星にして1つ、ゲーム差にして1.0でした。
今回の人事で決め手になったのはこのPS逃しだったかもしれません。決めたのはオーナーでしょう。やはりその心変わりはちょっとわからないですね。
あまりにも意外だったのはカブス側の事情だけではなくクレイグ・カウンセルの方にもありました。
【カウンセル】カブスは候補にも挙がっていなかった
クレイグ・カウンセルの最も有力な着地先と見られていたのはニューヨーク・メッツ。今オフ、ブルワーズ時代からの知った仲であるデービッド・スターンズが編成トップに就任したからです。
その他にもカウンセルは、クリーブランド・ガーディアンズとも面談。カブスの名前などどこにもなかったのです。そもそもカブスが監督探しにレーダーを照射しているなどの話も一切なく。
ちなみにメッツ、ガーディアンズともに新監督が決まりました。メッツはカルロス・メンドーサ、ガーディアンズはスティーブン・ボートです。
5年/40Mドル
なお、クレイグ・カウンセルは最も評価の高いところを選んだに過ぎません。カブスとの契約は5年/$40M(2024-28)でAAV(Annual Average Value)で$8M/年。これは現役監督としてのサラリーとしては最高額です。過去にはジョー・トーリがヤンキースと$7.5M〜$8M/年の契約をしていたことも。トーリがいたのは1996年から2007年までで16年以上前でこのサラリーですから、実質的にはトーリの方が多くなりますね。噂ではブルワーズも残留のオファーを出したものの、$5.5/年がMaxだったとも。
クレイグ・カウンセルの実績
53歳であるクレイグ・カウンセルは、ブルワーズのフランチャイズ史上最も成功した監督としてクラブを去ることに。監督としての通算勝利数は707勝。これはブルワーズの歴代監督の中でもトップ。彼が評価されるのは、どう考えてもお金にシビア(しぶちん)なことで有名なブルワーズにおいて監督通算勝率.531を記録した点。そして3度の地区優勝と5度のポストシーズン出場を実現。監督としての力はやはり賞賛されるべきものがあります。
カブスはブルワーズほどお金にシビアではありませんが、かと言って大枚を振るうほどでもありません。環境としてはそれほど変わらないということになります。
ちなみにカブスが2016年にワールドシリーズ・チャンプに輝いた時の監督はジョー・マッドン。マッドンは2015年から2019年まで5シーズン指揮を執り、この間、NLCS進出3回、ワールドシリーズ優勝1回という素晴らしい実績を残しました。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント