現場を熟知している大ベテラン監督
現地2023年11月8日、ロサンゼルス・エンゼルスは新監督にロン・ワシントン(Ron Washington)を迎えると発表しました。すでにオフィシャルです。就任記者会見は13日から始まる週に行われる予定。
なお契約2年。2024年と2025年です。2026年にクラブオプションがあるかどうかはまだ不明です。
有名なノック
ロン・ワシントンと言えば、ブレーブスの3Bコーチであり、守備の基礎を徹底して大事にすることでも有名。ショートレンジからショートバウンドの打球をバットで放ち、基礎プレーを選手に仕込みます。グランドに三角形を書いてその頂点で処理することを徹底させます。
その軍門には現ドジャースのフレディー・フリーマン、オジー・アルビーズを含めたブレーブスの各選手など有名選手が勢ぞろい。ノックはかなり好評でオールスターではライバルのメッツのピート・アロンゾに対してもそれを行うことがありました。うまくなろうとする選手に惜しげもなく与える姿が印象的な人です。
"I'm your mechanic on duty, you just play.”
— MLB Network (@MLBNetwork) November 8, 2023
Back in 2019, we spent a day on the backfields with new @Angels skipper Ron Washington. pic.twitter.com/U2UGsMmrnZ
ダルビッシュ投手のMLBデビュー時の監督
ダルビッシュ投手を追っている方ならご承知のことですが、ロン・ワシントンはレンジャーズの元監督でもありました。ダルビッシュ投手は2012年がメジャー・デビューの年で、ロン・ワシントンは2007年から2014年までレンジャーズの監督を務めていました。よって、二人は3シーズンをともに過ごしたことになります。
レンジャーズで2度のワールドシリーズ進出
今季、ワールドシリーズ初制覇を遂げたレンジャーズですが、その前にワールドシリーズに進出したのが2010年と2011年でロン・ワシントンはその時の監督でもあります。
監督としてのキャリアを振り返ってみますと、初めて就任したのが2007年。これはキャリア初の監督就任でした。2007年と2008年は負け越し。初めて勝ち越したのは2009年で87勝75敗でALウエスト2位。ただし、首位と10.0ゲーム差がありました。
そして2010年。90勝72敗でALウエストを制覇。ALDSでレイズを3勝2敗で下し、ALCSに進出。ALCSではヤンキースを4勝2敗で破り、念願のワールドシリーズ進出を果たします。しかし、ワールドシリーズではジャイアンツに4勝1敗で敗れ、惜しくもチャンプを逃しました。
翌2011年、ミッチ・モアランド、イアン・キンスラー、エルビス・アンドラス、エイドリアン・ベルトレ、ジョシュ・ハミルトン、マイケル・ヤング、C.J.ウィルソン、コルビー・ルイス、ネフタリ・フェリスという強力な布陣で臨んだレンジャーズは96勝66敗でALウエストを連覇。
ALDSではまたしてもレイズを負かし(3勝1敗)、ALCSではシャーザー、バーランダーのいたタイガースに4勝2敗で勝利。しかし、ワールドシリーズでは先に王手をかけながら、カージナルスに4勝3敗で敗れ、またもチャンスを逃しました。Game6で9回表を終えて7-5で勝っていたのですが、土壇場でデービッド・フリースの2点タイムリー・トリプルで同点。最後は延長11回裏にデービッド・フリースにサヨナラHRを許し、3勝3敗のタイにされ、Game7では2-6で敗れました。
ダルビッシュ投手が加入した2012年、レンジャーズはマット・ハリソンの18勝、ダルビッシュ投手の16勝など強いローテーションで93勝69敗をマークするも、アスレチックスとの優勝争いに敗れて2位でフィニッシュ。レンジャーズはワイルドカードでポストシーズンに進出するも、オリオールズに1-5で敗れて敗退しました。
2013年も91勝を挙げるも、プレーオフには1ゲーム届かず、シーズンは終了。
翌2014年は一転して低迷。67勝95敗でALウエスト最下位に終わりました。
そして2014年9月、ロン・ワシントン監督は9月上旬に辞任。これはフィールド外の問題で、後に不倫問題があったことを認めました。
TEX解任後
その後、2015年はニュー・オーリンズ大学でボランティアでコーチを務めたロン・ワシントンは5月にはアスレチックスにスペシャル・インストラクターと採用され、MLBに復帰。2017年にはブレーブスに移籍し、さまざまなポジションをこなした後、今回、再びメジャーの監督就任のチャンスが巡ってきました。
オールドスクール採用傾向
メジャーの監督が現場を隅々まで知るベテランに委ねる傾向は続いており、実際良い結果が出ています。アストロズは2020年に向けてダスティ・ベイカーを70歳で起用。レンジャーズは、2023年に向けて、67歳のブルース・ボーチーを監督に起用し、見事にワールドシリーズを制覇。
結果は出ませんでしたが、メッツは65歳のバック・ショーウォルターを採用。
他の候補
エンゼルスの監督候補として噂になったのはそのバック・ショーウォルター。その他にもベンジー・ギル、ダリン・アースタッド、トリイ・ハンター、ティム・サーモン、ロン・レヌーキー(Ron Roenicke)、ゲイリー・ディサーシーナ(Gary Disarcina)、レイ・モンゴメリーなど名前が挙がっていました。OBに多く当たっていたようですね。
大谷選手はどうなる?
さて、すでにQOを提示されている大谷選手ですが、おそらく拒絶することになると思われます。ただし、前年より$10M安いQOを一旦は受けて別の内容で上書きすることも可能です。残るか出るかはわかりませんが、出る可能性の方が高いと思われます。
レンジャーズでの実績があるロン・ワシントンなら少なくとも守備力は確実に上がるでしょう。ただ、2年契約ということが投手陣整備に足かせになるかもしれませんね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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