この時期に予想外のトレード成立
現地2023年6月23日、内野手の負傷者続出で攻撃力に不安を隠せないエンゼルスが動きました。
ニューヨーク・メッツのベテラン内野手、エドゥアルド・エスコバーをトレードで獲得です。
翌月末に控えたウェーバー公示無しのトレードデッドラインまであと1ヶ月強。早めに動き出すことはあるものの、エンゼルスはどうやらそこまで待っていられないと判断したようです。予想外に早く手を打ってきたというディールとなりました。
トレード概要
今回のディール概要です。
エンゼルスGet
- エドゥアルド・エスコバー(Eduardo Escobar /34才)INF/右投げ両打ち
- 金銭
メッツGet
- コールマン・クロウ(Coleman Crow/22) RHP/ 2019年28巡目
- ランドン・マルソー(Landon Marceaux/23) RHP/ 2021年3巡目
エドゥアルド・エスコバーの契約
エドゥアルド・エスコバーは2021年11月末にメッツと以下の契約でサイン。
- 2年/$20M (2022-23) + 2024 $9M クラブ・オプション($0.5Mバイアウト)
- サラリー:$10M (22)、$9.5M (23)
上述の通り、エドゥアルド・エスコバーの2023年のサラリーは$9.5M。トレードの場合、受け入れ側のクラブがその契約を引き継ぐことになりますが、今回の場合はCash Consideration(金銭)も一緒に移動ということになりますから、金額は現時点ではわかりませんが、メッツはエスコバーの残りサラリーの大半を負担してトレードに出すことになった模様。その代わり、プロスペクトはもらうよというディールです。
背景
エンゼルスがディールを成立させた背景には、SSのザック・ネトーが腹斜筋で離脱、加えてジオ・ウルシェラも左骨盤骨折で今季はシーズン・エンディングの見込みで、主要内野手が次々と欠けたことによる補強。
アンソニー・レンドンも死球を受けてIL入りとなっていますが、レンドンは骨には異常がないと言われていますので、復帰までそれほど時間はかからない見込み。
ネトーもいずれは戻ってきますが、ジオ・ウルシェラは今季はもうないものと考えた方が良いので、ウルシェラの存在を補完したいというのが最も強い動機になると思います。
現時点ではブランドン・ドーリーを2Bに据えて、SS/3Bをアンドリュー・ベラスケス、ルイス・レンヒーフォ、1Bをジャレッド・ウォルシュ、さらにマイケル・ステファニックを流動的にということでリカバーしていますが、打撃力減は免れないところ。
逆にメッツの方はというと、$9.5Mのサラリーのベテラン内野手が不調によりゲームに出る機会がなくなった点。
両者の受給がそこで一致したことにあります。もう少し詳しく見ていきます。
エドゥアルド・エスコバーの状況
今季は34才のシーズンとなっているエドゥアルド・エスコバー。
2022年は136試合に出場。そのうち3Bとしては125試合に先発。打撃では542打席に立ち、495打数119安打、打率.240、OBP .295、SLG .430、HR 20、RBI 69 とまずますの成績を残しました。2022年6月6日にはサイクル安打を達成。
【YOUTUBE】Eduardo Escobar Hits for the Cycle
さらに2022年9月のNL Player of the Monthも受賞。
この選手の特徴でもあるのですが、OBPが低いです。2018年と2019年は3割を超えましたが、13シーズンでOBPがそれを上回ったのは、6シーズンのみ。
それをHRとRBIでカバーするというタイプの選手です。HRは20本以上のシーズンが6、キャリアハイはDバックス時代の2019年の35本。
2023シーズンは40試合に出場。メッツが73試合を消化した時点でそれですから、約半分しか出場していないことになります。打撃は110打数26安打、打率.236、OBP .286、SLG .409、HR 4、RBI 16。
やはり今季もOBPは低いのですが、これまではそれをHRとRBIでリカバリーしていたのです。ところが、今季はそのリカバリーが出来ていないことが悩みの種でもありました。
ブレット・ベイティーの台頭
さらに出場試合減に拍車をかけたのは、23才のトップ・プロスペクト、ブレット・ベイティー(Brett Baty)の台頭でした。エスコバーはシーズン序盤に不調で、4月16日までの成績が打率.125、OBP.173、SLG .229、HR 1、RBI 6。これがたたって、メッツは4月17日にブレット・ベイティーを昇格させ、以降は3Bに据えました。
ゆえにエドゥアルド・エスコバーがゲーム復帰する道は非常に限られてしまったということになります。
エスコバーをどこで使うか?
もともとSSだったエドゥアルド・エスコバーですが、SSに入る可能性は低そう。
エンゼルスは現地2023年6月24日、人気者のデービッド・フレッチャーを昇格させました。彼がベラスケスに代わってSSに入ると思われます。
そしてエスコバーとレンヒーフォで3Bということに。またエスコバーはメッツで2Bも守っていましたので、相手投手によっては、ウォルシュを下げてエスコバーを2B、ブランドン・ドゥルーリーを1Bに吸えるという選択肢もありそうです。
エスコバーはLHPに対しては打率.278、OBP .317、SLG .514、RHPに対しては打率.237、OBP.300、SLG.431。メッツは主にサウスポーに対して彼を起用していました。
ベイティー昇格以降は打撃もアップ
なお、上述のエスコバーの成績でウルシェラの穴を埋めることが出来るのか?と疑問に思われた方も多いと思いますが、エスコバーはベイティーが上がった4月17日以降、打席数は減ったものの、集中力を見せ、打率.323、OBP .373、SLG .548、HR 3、RBI 10と調子は上向いています。
LAAとNYMの状況
エンゼルスは現地2023年6月23日、大谷&トラウトの連続HRが出たにも関わらず、終盤に逆転を許してロッキーズに敗戦。41勝36敗で、ALワイルドカードの最後の3枠目をヤンキースと争っている状況。ポストシーズンには十分に可能性があるのです。
一方のメッツは、2022年に101勝をあげたものの、今季はここまでは34勝40敗と苦戦。ナリーグ東地区のタイトルは、見込み薄でメッツが大型連勝を遂げ、同タイミングでブレーブスが大型連敗でもしない限り難しい状況です。ワイルドカード・スポット3枠目はまだ射程圏内ではあります。
メッツに移籍する2人
エンゼルスからメッツへ移籍する2人に関して書いて置きます。
コールマン・クロウ
コールマン・クロウは、22才の右腕で、2019年のエンゼルスの28巡目指名の投手。高卒での指名です。スライダーの評価が良く、2023年はダブルAで4試合に先発し、2勝0敗、ERA 1.88と素晴らしい結果を残しています。
なお、彼は11月までに40manロースターに入らなければ、ルール5ドラフトの対象となります。
エンゼルスに残しておきたい右腕ですが、だからこそメッツとのトレードが成立したとも言えます。
ランドン・マルソー
マルソーはLSUから2021年に3巡目指名されてプロ入り。ファストボールは平均で90mph前半で球威の点でやや不安はありますが、コントロールに定評があります。今季はダブルAで過ごし、59.0 IPでERAは4.88。
エンゼルス、エドゥアルド・エスコバーを補強することで現状の課題を克服出来るか、注目です。ブルペンの補強の必要もあるのですが。
あとはトレードデッドラインでの大谷選手の去就も注目されています。
お読みいただき、ありがとうございました。
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