デトロイト史上9度目のNO-NOはコンバインド
いやー、驚きましたね。
現地2023年7月8日、コメリカ・パークで行われたブルワーズ@タイガース戦で、デトロイト・タイガースのマット・マニング、ジェイソン・フォーリー、アレックス・ラングが3人のリレーによるコンバインド・ノーヒットノーランを達成しました!
【YOUTUBE】All 27 outs from the Tigers’ COMBINED NO-HITTER!
Congratulations!
まさかのNO-NO
このゲームは「まさかの」大記録達成になったのですが、そのまさか!と思わせたのは複数の要因があります。
【1】大雨の中のプレーボール
1つは天候です。雨による天候不順でこのゲームのファースト・ピッチは1時間以上遅れました。そしてゲーム開始後も雨は強くなり、1回の表裏の両クラブの守りは視界が曇るほどの強い雨脚。非常に気の毒な中のゲームスタートとなったのでした。
よって、投手のコンディション作り、試合序盤の雨といい、どちらかという荒れる展開が予想され、しかもブルージェイズ先発はケビン・ゴーズマンでしたから、タイガースの投手陣が相当苦戦するいう予想を立てるのは難しくない条件でもありました。にもかかわらず、タイガースの投手陣がノーヒッターを達成。
【2】マット・マニング、立ち上がりは大苦戦
さらに、雨の影響もあり、タイガース先発のマット・マニングは立ち上がりは荒れ模様。ボー・ビシェットにはかなり危ないコースへの死球を当て、ブランドン・ベルトには四球。大ピンチだったのですが、3番のヴラディーミル・ゲレロ・Jr.はSSゴロに打ち取り、2Bでアウトを取り、まずは1アウト。つづく、マット・チャップマンは1Bポップフライ。これが大きかったですね。さらにキャバン・ビジオはインローの難しいコースで三振を奪い、大ピンチを無失点に抑えました。
この状況でマット・マニングが終盤まで持つなど考えられなかったのでした。
【3】タイガース、電光石火の2得点
ゲームに勝つには、ケビン・ゴーズマンから得点を奪われければならないのですが、タイガースはレイン・ディレーや雨の影響で本調子ではなかったケビン・ゴーズマンの立ち上がりを捉え、この日にILから復帰したライリー・グリーンのCF前シングルを皮切りに、スペンサー・トーケルソンのタイムリー・ダブル、ケリー・カーペンターのタイムリー・トリプルで2得点を奪います。
タイガースがケビン・ゴーズマンに付け入るなら立ち上がりしかないという状況で見事にそれを体現したのでした。こうも、プラン通りの攻撃になるとは!というのがまさかの要因でもあります。
【4】ラング、まさかの選球!
これは後述します。
2回以降、天候も回復!ゲームも引き締まる!
マット・マニングは2回表もピリッとせず、先頭のウィット・メリフィールドに四球を出します。ところが、2Bに進塁したメリフィールドが3盗を試みて失敗。ブルージェイズのまずい攻撃にも助けられ、マット・マニングはお天気の回復とともに調子を上げています。
ブルージェイズ先発のケビン・ゴーズマンも天候がよくなった2回以降はタイガース打線に付け入る隙を与えませんでした。
だからこそ、タイガースの初回の2得点は効いたのでした。
マニング、91球で降板
マット・マニングはバックの固い守りにも助けられ、その後もノーヒッターを継続。強い4シームとコマンド力抜群のスライダーでブルージェイズ打線に仕事をさせませんでした。
ゲームはいよいよ7回に突入。ゲレロ・Jr.、マット・チャップマンと2者連続でアウトを奪った後、キャバン・ビジオには四球。なんとか低めへという意図がわかる粘りの投球を見せていたのですが、球数は91球を数え、残り7アウトまで保たないと判断したAJ・ヒンチ監督は抜群のタイミングで投手リレーを決断しました。
マニングは6.2イニングで、ノーヒットノーラン、BB 3、HBP 1、SO 5。
ジェイソン・フォーリーがパーフェクト投球
このパターンでよくあるのは2番手がノーヒッターどころか、ゲームをひっくり返されてしまうこと。ジェイソン・フォーリーはそれをやるんじゃないか?などと懐疑的な感じで見ていたのですが、フォーリーは良かったですね!
スイッチしてすぐのメリフィールドへの5球目のスライダーは危なかったのですが、直前にインコースに厳しいボールを投げていたのが良かったです。CFライナーに打ち取りました。
8回表は危なげのない投球。アレハンドロ・カークへの4球目は甘かったのですが、それ以外はすべて厳しいコース。これは行ける!と思わせた投球でした。
ラング、最大の試練を全球カーブで乗り切る!
そして9回表、マウンドにはクローザーのアレックス・ラングが上がりました。ここでタイガースには最大の試練が待ち受けていました。
ボー・ビシェット、ブランドン・ベルト、ヴラディーミル・ゲレロ・Jr.の上位打線です。いずれも一発のある打者。
しかし、ラングは落ち着いていました。先頭のビシェットにはなんと3球連続でカーブを投じ、3球三振!これは大きかったですね。
つづくブランドン・ベルトはインローにツボがあるので、徹底したアウトコース攻め。これもアウトコースに間違いなく投げ込み、しかも4球連続でカーブ。ベルトをCFフライに打ち取り2アウト。
最後の打者、ゲレロ・Jr.にもまさかのカーブ攻め。これでタイミングをずらしたラングはゲレロ・Jr.を3Bゴロに打ち取り、ザック・マッキンストリーが1Bへ送球してアウト!
なんとラングは全球カーブでブルージェイズの上位打線を3人で斬って取ったのでした。
スコアは初回の2得点のみ。2-0でタイガースが勝ちました。
今季2度め
MLBでは今季、2度めのノーヒッター。と言っても1度めはドミンゴ・ヘルマンのパーフェクト投球でしたので、それを含めての2度め。
- 6/28 NYY 11 @ 0 OAK ドミンゴ・ヘルマン=パーフェクト投球
2022年のノーヒットノーラン
ドミンゴ・ヘルマンのパーフェクトを除くと、直近のノーヒッターは、現地2022年11月2日のアストロズ @ フィリーズのワールドシリーズGame4でアストロズの投手陣が達成したコンバインド・ノーヒッター。
その前もコンバインド・ノーヒッターで、やはりアストロズが達成。ヤンキースを相手に偉業を達成。
2022年4月29日にメッツがフィリーズに対してやはりコンバインド・ノーヒッターを達成。
2022年に単独でノーヒッターを達成したのは、エンゼルスのリード・デトマーズが5月10日にレイズを相手に達成したのみ。4回のうち、3回がコンバインドでした。
2021年はノーヒッター・ラッシュ
なお、2021年はご覧の通り、ノーヒットノーラン・ラッシュの年でもありました。
【2021シーズンのノーヒットノーラン達成】
- ジョー・マスグローブ (SDP) : 現地2021年4月9日 @ TEX
- カルロス・ロドン(CWS): 現地2021年4月14日 vs CLE
- ジョン・ミーンズ(BAL): 現地2021年5月5日 @SEA
- ウェイド・マイリー(CIN): 現地2021年5月7日 @CLE
- スペンサー・ターンブル(DET): 現地2021年5月18日 @SEA
- コーリー・クルーバー(NYY): 現地2021年5月19日 @TEX
- コンバインド(CHC):現地2021年6月24日 @LAD
- ザック・デイビーズ/ライアン・テペラ/アンドリュー・チェイフィン/クレイグ・キンブレル
- タイラー・ギルバート(ARI): 現地2021年8月14日 vs SDP
- コンバインド (MIL) : 現地2021年9月11日 @ CLE
- コービン・バーンズ/ ジョシュ・へイダー
参考記録【7イニング】
- マディソン・バンガーナー(ARI): 現地2021年4月25日 @ATL
- コンバインド(TBR): 現地2021年7月7日 vs CLE
- コリン・マクヒュー/ ジョシュ・フレミング/ ディエゴ・カスティーヨ/ マット・ウィスラー/ ピート・フェアバンクス
なお、タイガース史上で行くと、史上9度目のノーヒットノーラン。直近は2021年のスペンサー・ターンブル。なお、9度うちジャスティン・バーランダーが2度達成しています。
3人のプロフィール
この日、頑張った3人のヒーローの簡単なプロフィールを。
マット・マニング
1998年1月28日生まれの25才。2016年のアマチュア・ドラフトのタイガースの1巡目指名。高校卒での1巡目指名。
ここまでメジャー3シーズンで9勝11敗、ERA 4.62。
なお、今季のスプリング・トレーニングでレッドソックスのジャスティン・ターナーの顔面に死球を与えたのはマット・マニング。ちょっと抜ける傾向があります。ボー・ビシェットへの初回の死球も危なかったです。
父は元NBAプレーヤーのリッチ・マニング。
ジェイソン・フォーリー
1995年11月1日生まれの27才。2016年8月2日、アマチュアFAとしてタイガースとサイン。マット・マニングは光の当たる街道を歩きましたが、フォーリーは腕っぷしで今のポジションを獲得。デビューは2021年6月。
2022年は60試合に登板し、ERA 3.88。
アレックス・ラング
1995年10月2日生まれ。フォーリーと同い年です。2017年、ルイジアナ州立大の時にカブスの1巡目指名を受けてプロ入り。
2019年のトレード・デッドラインでカブスがニック・カステヤーノスを獲得したトレードでタイガースへ移籍(ニック・カステヤーノスはタイガース→カブス→レッズ→フィリーズです)。2021年4月10日メジャーデビュー。今季は3シーズン目。すべてリリーフ登板。2022年は71試合に登板。ERA 3.41。
お読みいただき、ありがとうございました。
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