どうなるストラスバーグ?
2週間前の現地2023年8月24日、スティーブン・ストラスバーグに向けて動いているという報道が出ました。そしてナショナルズ・パークで予定されている現地9月9日のドジャース戦を前に引退会見を行うということでしたが、現地2023年9月8日、その引退会見はキャンセルという事態に。
オーナーの見解
現地2023年9月8日、ナショナルズのオーナー、マーク・ラーナー氏が声明を発表。ラーナー氏は、クラブ内部で引退会見の可能性について話し合ったことは認めたものの、クラブがそれを確認したことはないとコメント。また、ラーナー氏は報道は状況を 「誤解している」とも述べました。
同時にオーナーは、スティーブン・ストラスバーグに正式な引退が差し迫っているわけではないことも示唆。最後に、「ナショナルズはスプリングトレーニングでスティーブンに会えることを楽しみにしている 」とも述べました。
つまり、引退報道を否定したということです。
この変転の要因は?
一体、この変転は何のか?というところですが、複数のソースを見てみると、このような事態のようです。
ストラスバーグの状態は?
まず、スティーブン・ストラスバーグの怪我の状態についてですが、胸郭出口症候群から来る神経痛と継続的に闘っていたのは間違いないところです。
2019年に華々しく活躍し、ワールドシリーズMVPにも輝きましたが、それから後は2020シーズンから現在まで(2023年9月)、わずか31.1イニングの登板にとどまっています。彼が最後にMLBで登板したのは2022年6月9日のマイアミ戦で、2023年は登板がありません。そのマイアミ戦では4.2イニングで被安打8、失点7、BB 2、HR1と本来の投球とは程遠い内容でした。
ストラスバーグは野球活動はもとより、日常生活にも支障が出ていたほどで、ドアを開けたり、幼い子供を抱っこしたりするような簡単な動作でさえも痺れを伴うなど神経痛はなかり深刻だったようです。それゆえに引退を計画していると。
そこまでは正しいようで、実際、引退報道から2週間が経過して、ストラスバーグの症状が劇的に改善したという朗報は入ってきておりません。つまり、依然投げられる状態ではないと。
ナッツとの齟齬
ではストラスバーグが現役続行かというと、上述の通りそのような状態ではない。だとしたら、やはり引退では?と思いますが、ではどうして会見をキャンセルしたのか?というところですが、残る要素は踏み切れない何かがあるということになり、こういう場合はだいたい、契約についてです。
『アスレチック』紙のブリット・ギロリ記者の情報によると、ストラスバーグとナショナルズとの間で、契約に関する意見の相違があったと指摘しています。つまりは両者の間に齟齬があると。同記者によると、ナショナルズは当初、ストラスバーグに残り金額を全額支払うことを提案したそうです。
ナッツとストラスバーグの現契約は7年(2020-26)/$245Mで、残りあと3年。繰り延べ払いも入れた総額は$35M/年x3で$105Mほど残っております。一旦はこの契約通りということで合意したと。
ところがナショナルズは後日になってその合意を変更することを求めたようです。
USAトゥデイのボブ・ナイテンゲール氏によれば7日(木)の午後、ナショナルズはストラスバーグとエージェントのボラス・コーポレーションに、引退合意を尊重したくないと伝えたと言います。つまりは契約通りに全額払うという条件を変えたいと。ただ、ナショナルズからはその変更についての説明はなかったようです。
ナショナルズはこの件についてコメントしておりません。
オーナーは上述の通り、ストラスバーグに寄り添うような発言をしていましたが、やはり2024年から26年までの残りサラリーを満額で払いたくないということでしょう。
トゥロウィツキーのケース
2018年12月にトロイ・トゥロウィツキーがブルージェイズからリリースされた時、残り2シーズンを残してのリリースでした。
トゥロウィツキーはロッキーズ時代に7年/$134M (14-20)+21 +オプション(バイアウト$4M)で延長契約を締結。2015年にトレードでブルージェイズに移籍した際、当然ブルージェイズはその契約を引き継ぎました。
しかし度重なる怪我で2017年途中からまるで機能しなかったトゥロウィツキーに対して、ブルージェイズは2018年終了後にリリースを決断。2019年($20M)と2020年($14M)、そして2021年のバイアウト分($4M)を含めた計$38Mが残っていました。
こういった場合、ブルージェイズが残り期間の支払いを負います。
当時、ブルージェイズは値下げ交渉を試みたという記憶があったのですが、改めて調べますとちょっとその情報が見当たりませんでした。結果的にブルージェイズは満額を支払いました。
正確に言えば、2019年にトゥロウィツキーはヤンキースと契約したので、ヤンキースがMLB最低年俸を支払い、ブルージェイズは$20Mから$0.55Mほど差し引かれてはおりました。
ナッツは支払うことになりそう
ストラスバーグは上記の7年契約の間、ほぼ機能しなかったことになりますから、満額は払いたくないというオーナーの心理も筆者は理解できます。
よって、少しでも下げたいと思えば、合意を取り付けるしかありませんが、ナショナルズは先述のようにすでに満額を払うと言っているので、ストラスバーグ側からすればその後に一方的に変更されても・・・となっている状態です。
ナショナルズはストラスバーグ側からの合意を取り付けないと満額を払うということになりそうです。
残り3年間、ILでも支払義務あり
仮に、ストラスバーグが引退せず、怪我の状態も今のままであった場合、ナショナルズはストラスバーグの今後の3シーズンをILに入れることも可能です。ただし、支払いは当然負います。
さらに言えば、それをやると、シーズン中は60 Day ILに入れることで、ロスターにカウントしなくても良いのですが、オフシーズンにはストラスバーグを一旦、40manロースターに登録する必要があります。
そのせいで、誰かをメジャー・ロスターから外さないといけない羽目に。
引退ならそのロスター調整は不要です。
ナショナルズ、内部が騒がしく
今回のストラスバーグの1件もそうですが、ナショナルズ内で色々と内紛が起こっているようです。
まず、ラーナー家のナショナルズ売却の話しですが、これは頓挫しているようです。詳細は追えていないのですが、テレビ放映権料の問題で交渉は暗礁に乗り上げたと伝えられていることから、価格を吊り上げたのでしょうね。
売却が進まなかったのが要因かと思うのですが、オーナーはコスト削減に走っているようです。
アシスタントGMの辞任
アシスタント・ゼネラル・マネージャー、ジョニー・ディプリア(Johnny DiPuglia )が現地9月2日に辞任しました。これももはや解雇のようなものでしょう。
スカウトが大量解雇
さらに、コストカットの一貫で、クラブは6名のスカウトを手放しています。これはインターナショナル部門の担当もそうです。編成に大きな影響を与えそうで、もはや強化する気がないようです。
The Nationals have informed six pro scouts they will not return, sources tell me and @BrittGhiroli. Those let go: Special asst’s Willie Fraser, John Mirabelli, Mike Pagliarulo, Matt Ruebel, Jon Weil, plus pro scout Jeff Harris. Cuts also made on amateur and int’l side.
— Ken Rosenthal (@Ken_Rosenthal) September 6, 2023
GMとの更新
さらに、GMマイク・リゾは、今季がファイナル・イヤー。クラブ・オプションを行使した後なので、継続するなら、更新する必要があるのですが、これも暗礁に乗り上げている状態。リゾとナッツは、少なくとも数週間は契約延長交渉を続けていたようですが、まだ結論が出ていません。
これに関してはリゾがクラブが提示した以上の長期契約を望んでいるためでもあるようです。
ストラスバーグの件は、ちょっと時間がかかるかもしれません。
お読みいただき、ありがとうございました。
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