ブライス・ミラー、3度目も輝く!
Bryce Miller's career is off to a hot start. 🔥 pic.twitter.com/eSxhQ4EWuJ
— MLB (@MLB) May 13, 2023
初登板で非常に良い結果を出したマリナーズのルーキー、ブライス・ミラー(Bryce Miller)。
現地2023年5月13日のデトロイト・タイガース戦で今季3度めの先発となりましたが、またしても好投。3戦連続で快投を演じ続けています。
ブライス・ミラー、またしても圧巻の投球
この日の相手、デトロイト・タイガースは5月に入り非常にホット。メッツとの3ゲームシリーズをスイープし、カージナルスとガーディアンズにはシリーズに勝ち越し。このシリーズのマリナーズとの初戦は2-9のスコアで落としましたが、調子の良いクラブであることに変わりありません。
そのタイガースに対してブライス・ミラーは、初回はピンチを招きました。2番のライリー・グリーンに、インローの厳しいコースの4シームをCFへラインドライブで弾き返されて1アウト2塁のピンチを背負います。
ハビアー・バイエスは3Bゴロに仕留め、2アウト。これが進塁打にならなかったのが大きかったです。つづくスペンサー・トーケルソンには、ファウルで粘られ8球勝負となり、最後は根負けした形で真ん中に投げてしまい、LFへのクリーンヒットを打たれますが、ランナーが還れず2アウト1、3塁。
つづくニック・メイトンには抜いたボールでタイミングを狂わせ、2Bゴロに仕留め3アウト。立ち上がりのピンチを脱しました。
その後、2回から6回まで三者凡退に仕留める圧巻の投球。久々に与えたヒットは7回裏で、先頭のハビアー・バイエスに97.5mphの4シームをLF前に運ばれました。しかし、7イニングでも97.5mphを出すのですから、恐ろしい!
久々に背負ったランナーでしたが、スペンサー・トーケルソン、ニック・メイトン、アンディー・イバニエスをいずれも打ち取り、無失点。
ブライス・ミラーはタイガース打線を7回、82球、被安打3、スコアレス、BB 0、SO 3に抑えるベテラン投手のような成績でマウンドを降りました。
J・ケルニックがHR
一方のマリナーズ打線ですが、3回表にようやくアレックス・ファエドを捉えます。1アウトからJP/クロフォードがシングルで出塁。タイ・フランスがRFフライに倒れて2アウトとなったものの、つづくジャレッド・ケルニックがインハイの94.3mphの4シームを捉え、これがRFスタンドに入る2ランHRとなり、2点を先制。
さらにマリナーズは4回表にも2アウトからテオスカー・ヘルナンデスにソロHRが出て1点を追加。4回を終えて、3-0とブライス・ミラーを援護します。
この日は、もうこの3点だけで十分でしたね。
ただ、マリナーズは9回表にもタイガース3番手のウィル・ベストの乱調をついてテオスカー・ヘルナンデスがタイムリーを放ち4点目。さらに代わったチェイスン・シュリーブのワイルド・ピッチでもう1点を追加し、5−0とリードを拡大。
最後はマット・ブラッシュが3人で締めてゲームセット。5-0のシャットアウト勝ちをおさめました。
ブライス・ミラーの3度のログ
さて、ブライス・ミラーのこの日も含めた3度のピッチングログはご覧の通り。
Date | vs | IP | H | R | ER | BB | SO | ERA | Pit | GB | FB |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
May 2 | @OAK | 6.0 | 2 | 1 | 1 | 0 | 10 | 1.50 | 81 | 2 | 8 |
May 7 | HOU | 6.0 | 2 | 0 | 0 | 1 | 5 | 0.75 | 85 | 1 | 13 |
May 13 | @DET | 7.0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0.47 | 82 | 5 | 16 |
もうご覧になっただけでこの優秀さがおわかりいただけると思います。3戦連続QS(Quality Start)なのは言うまでもありませんが、それ以上の成績と内容。BBが19イニングでたったの1つ!しかも、失点と自責点がともに1点のみ。
2戦目以降はアストロズを相手に6回2ヒッター、調子の良いタイガースも手玉に取りました。
そして球数の少なさに驚きます。1戦目のアスレチックス戦では10Kを奪いつつも、81球です。1イニング15球を目安とすれば6回で90球ですから、いかに効率の良い投球をしているかがわかります。
さらに、2戦目以降はあえて三振を取りに行っていないというベテラン顔負けの投球内容。すごいの一言です。
特徴は、フライボールの多さですね。これは、マリナーズの捕手カル・ラレー(Cal Raleigjh)のスマートなリードも光っていると思います。
最初の3先発で出塁人数8は1901年以来最少
そして上の表のH(Hit: 安打)とBB(Base on balls :四球)の数の合計を見てもらいたいのです。念の為、彼の3先発で振り逃げは記録されていませんから、この合計が出塁人数となります。
被安打7とBB1で計8名。
ミラーが最初の3試合の先発で許した合計8人の出塁は、少なくとも最低15イニングを投げた投手の中では1901年以来、最少となっています。
Bryce Miller’s 8 baserunners allowed are the fewest in a pitcher’s first 3 career appearances since at least 1901, min. 15 IP
— Sarah Langs (@SlangsOnSports) May 13, 2023
1試合6.0 IP以上で3人以下の出塁が3戦連続なのも最長
また、6回以上のイニングで許した出塁が3人以下というのを3戦連続で達成したのも、1901年以来、最長記録に並ぶようです。
ただ、これはすでに直近ではブレイク・スネルとコービン・バーンズが同様の記録を残しています。
ブレイク・スネルは2021年8月25日、8月31日、9月7日の3試合で記録。
【ブレイク・スネルの記録】
- 2021 8/25: 7.2 IP/ 3 Hit/ 0 BB
- 2021 8/31: 7.0 IP/ 0 Hit/ 2 BB
- 2021 9/07: 7.0 IP/ 1 Hit/ 2 BB
コービン・バーンズは2021年4月3日、4月8日、4月13日の3試合で記録しています。
【コービン・バーンズの記録】
- 2021 4/3: 6.1 IP/ 1 Hit/ 0 BB
- 2021 4/8: 6.0 IP/ 1 Hit/ 0 BB
- 2021 4/14: 6.0 IP/ 2 Hit/ 0 BB
ともに2021年に達成しているのですが、ルーキーでデビュー戦から3戦連続で6.0 IP以上、3人以下の出塁はブライス・ミラーが史上初になるかと思われます。
今の時代の打者の対応にピッタリ!
ブライス・ミラーのスピン・レートの良さ(2605.5rpm)は上述のリンク記事にも書かせていただきました。
4シームのアベレージ・ベロシティー自体も95.5mphで、これはMLB平均の94mphよりも上。
さらに、彼の4シームは完璧と言っていいくらいのバックスピンで、傾きは12:00に近いというデータも出ており、尚且つVAA(Vertical Approach Angle)は、-4.43で、MLB平均の-4.79より少ない。
VAAとは投球がホームプレートを通るときに、ボールがどれだけ急な上向きまたは下向きでゾーンに入るかを度単位の角度で表すものと定義されています。マイナスのVAAはボールが下向きに傾斜していることを意味し、プラスのVAAは上向きに傾斜していることを意味します。VAAが0度の球を投げると、キャッチャーの頭上を越えてしまう可能性が高い。
つまりは実際はVAAはオーバースローならマイナスになるのですが、傾斜が少ないということで打者にはホップして見えるくらいの球質であると言えるでしょう。
よって、ボールの軌道にバットを入れようとする今のバッティング・スタイルでは、予想以上に投球が伸びてきているがゆえに想像以上にボールの下を叩く羽目になってしまう。つまり、ブライス・ミラーにFB(フライボール)が多いのはこのためかと思われます。
面白い投手ですね。
マリナーズが勝率5割超えへ
マリナーズはこの救世主の活躍もありシーズン成績が20勝19敗でようやく5割超え。これでアストロズの勝率とも並び、2位エンゼルスの21勝19敗に手が届くところに来ました。
マリナーズは投手が良いだけにシーズン終盤に強さを発揮しそうですが・・・どうなるでしょうね??
ALウエストはともかくも、マリナーズとアストロズにエンジンがかかってきました。アストロズはホセ・アルトゥーベがWBCでの指の骨折が癒え、マイナーでリハビリ出場をこなし始めましたし、復帰も近い。今季、アストロズは投手にけが人も出ているとは言え、ホセ・アルトゥーベが上がってくると得点力はアップ。他のクラブには厳しくなってきます。エンゼルスもレンジャーズもなかなか大変です。
追記:初黒星
ブライス・ミラーは現地2023年5月19日、トゥルーイスト・パークで行われたブレーブス戦に先発。1回裏にロナルド・アクーニャ・Jr.とマット・オルソンの連続2塁打で1点を奪われたものの、2回以降はブレーブス打線を翻弄。0が並びます。
7回表にマリナーズがフリオ・ロドリゲスの2塁打を皮切りにエウヘニオ・スアレスとテオスカー・ヘルナンデスのタイムリーで2-1と逆転に成功。
7回裏、ブライス・ミラーは先頭のオースティン・ライリーに3B内野安打で出塁を許し、エディー・ロザリオを2Bゴロに仕留めて1アウト。つづくオジー・アルビーズに四球を出して1アウト1、2塁となったところで降板。その後、代わったトレバー・ガットが2本のタイムリーを浴び、ブレーブスに2−3と逆転を許しました。
さらに8回裏にブレーブスがマット・オルソンのHRなどで3点を追加し、6-2でブレーブスが勝利しました。
ブライス・ミラーは7回に出したランナーが決勝点となったため、デビュー後初黒星。とは言え、7回1アウトまで投げて被安打4、失点3、自責点3、BB1、SO 4と十分すぎるゲームメイク。今回はさすがに102球を費やしましたので、やはり今までで一番苦戦したようですが、それでも上記の通り、QS(Quality Start)を達成です。いやはや、良い投手ですね!!
お読みいただき、ありがとうございました。
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